Facebookマーケティングが目指すのは、企業と個人の「つながり」の構築。
目指すべきは直近の成果ではない。長期的な視点でブランドとの関係性を醸成するためにFacebookページで出来ること、するべきこととは?

 
こんにちは、SMMLabの藤田です。
前回につづき、日本で初めて開催された、企業のマーケティング担当者向けカンファレンス「fMC Tokyo」の模様をお伝えします。今回は、午後のセッションから具体的なFacebookページ運用のヒントを中心にお届けします。
 
前回記事はこちら
・【fMC Tokyo 2012レポート】Facebookが目指すマーケティングの本質とは?(1)http://smmlab.jp/?p=6302
 

 
オープニング・キーノートの最後は、Facebook 日本担当グロースマネージャーの児玉太郎氏による「日本におけるFacebookの現状」です。
 

Facebook日本オフィスが設立された2010年当初を振り返り、携帯電話対応に苦心したことを語りました。特に日本語での名前表示には大変な苦労がありましたが、日本での開発を受けて、英語圏以外の各国言語で名前の表示が可能になったのだそうです。
 
Facebookが日本に参入した当初、「実名制のSNSは定着しない」と言われていたため、一度だけ「匿名にしたら」を真剣に議論したことも明かされました。しかし「実名だからこそ友達が見つかり、実生活が拡張され、世の中の役に立つ事ができる。Facebookの掲げるビジョンから踏み外して成長したとしても、意味がない。実名である事の意味をきっと分かってもらえる」と信じてやって来たと語りました。東日本大震災を機に、開発された災害用掲示板も実名制だからこそ出来たもの。そのビジョンは徐々に浸透し、2年経った結果、月間訪問者数1, 000万人を達成したそうです。
 
Facebookが広く使われるようになるきっかけは、各国様々なそうですが、日本では新しい顧客を既存の顧客が連れてきてくれるコミュニケーションツールとして、企業・ブランドが積極的に活用し始めたのが大きかったそうで、これも実名だからこそだったと分析しました。
 
「Facebook Marketing Solutions Japan」
 
そのため、今後はFacebook自身も企業やブランドともっと「つながり」を持つために、「Facebook Marketing Solutions Japan」というFacebookページを新たに開設。マーケティング情報を日本語で発信したり、フィードバックも受け付けるとのこと。また、エンジニア向けの「モバイルHack(開発)」イベントや、マーケター向けの実践的なイベントなども積極的に開催していく予定だそうです。
 
 

より一層ビジネス活用を支援していく方針が示されましたが、その後のQ&Aでは、Facebookのビジョンは「OPENで、よりつながれる世界を作ることであり、人々とビジネスをつなげることもその一つ」としながら、「つながる」ことを決して短絡的な金儲けに結びつけないで欲しいとの呼びかけもありました。
 
また、日本人は海外のユーザーよりもリアクションが控えめなのでは?との質問に「すでにソーシャルメディアに慣れ親しんでいる海外と違って、日本はまだ練習中。日本人好みのコンテンツを工夫するべき」と答え、日本ではクイズやアンケートなどが人気があると紹介しました。
 
気になる「ソーシャルコマース」に関しては、購買行動に影響があるとされる「友達からの情報」を、シェアする流れを促進するのが今の課題とし、今回のリリースされた「オファー」によるクーポンもそこを意識したものだそうです。あくまでも人の購買行動への関与を高めることを目標にしており、「人々の会話を盛り上げる」ことで、自然な購買意欲の想起につなげたいとのことでした。
 
午後は、マーク・ザッカーバーグのビデオからスタート。「Facebookはみなさん一人一人の素晴らしいパートナーとなることを目指しています。人とビジネスがよりオープンになり、つながれば、両者にとってメリットなり、つながったソーシャルな世界がビジネスにとって今以上に大きな成功につながると僕らは考えています。」というメッセージでした。

 
 
ここからは、リードデザイナーやクリエイティブ・ストラテジスト、マーケティング・リーダーによるセッションで、Facebookが考える「ビジネスにおけるFacebookの有効的な活用方法」が紹介されました。
まずは、プロダクトデザイナーのブレーズ・デバージア氏による新デザインの解説とタイムラインの運用について、具体的なヒントをご紹介します。
 
※タイムラインの変更点について詳細は以下をご参照下さい。
・【速報】デザイン変更だけじゃない!Facebookページのタイムライン導入情報詳細!fMCまとめhttp://smmlab.jp/?p=5660
・Facebookページタイムライン化が企業に与えたインパクトとは?押さえておきたい3つのポイントhttp://smmlab.jp/?p=6093
 
 

 

<デザイン変更を活かすヒント>

 
・今までの「ウォール」メインのデザインでは、伝わりづらかった企業・ブランドの姿を、ガラスのような透明性でシンプルに凝縮したエッセンスを伝える事が出来るのが、新しい「タイムライン」
 
・カバー画像は最新の情報を伝えるのにも役立つ場所。随時新鮮な情報を取り入れたデザインに変更することで、ユーザーを飽きさせない事が大切。
※デバージアさんにカバー画像のNG項目であるテキストの表記について質問したところ、企業・ブランドのキャッチコピーやスローガンを記載するのはOK。また、キャンペーンの告知についても期間を表示したり参加を呼びかけるのはNGだが、現在開催中のキャンペーンタイトルだけを記載するのは問題ないとの事でした。
Verizon事例
このセッションで紹介された、ベライゾンの事例のようにフォトコンテストでピックアップした写真と投稿者をカバーに利用するのは良いアイディアだと思います。
 
・プロフィール画像は、アイコンとしてファンのニュースフィードにも流れる大切な画像。ブランドの顔として一貫性があり、30px×30pxのような小ささでも、目に留まるように工夫するべき。
 
・今まで使っていたアプリはすべて継続利用が可能。サムネイルは写真以外カスタマイズが可能なので、優先順位を考えれば、より目立つ工夫も出来る。
 
・基本情報には、ビジネスやブランドの詳細を、ページの訪問者に分かりやすく端的に伝わるように記載する。
 
 

<タイムラインの運用で大切な3つのポイント>

 
(1)タイムラインに掲載。
 
(2)ハイライトさせる。
・訪問者にとって魅力的な投稿をTOPに固定したり、ハイライト表示する。動画やクエスチョン、クーポンを活用すると良い。キャンペーンの予告や結果発表にも使える。
 
(3)過去の日付で投稿する。
 
・「大切な出来事」で企業・ブランドのストーリーを語ることで、より親近感を感じさせ、深い理解を促すことが出来る。
 
 

<管理者パネルで一元管理が出来る>

 
・新規「いいね!」では、直近500「いいね!」がリスト表示される。
 
・「Facebookページのヒント」では、今後「この画像のリアクションが良かった」などのヒントが表示される予定。
 
・5種類の管理者権限も近日中にリリース。チームでの運用がしやすくなる。
 
 
続いて、アジアパシフィック担当からグローバルアカウントチームのマルコ氏と、グローバルカスタマーマーケティングのナミタ氏が登場。実際のFacebookページ運用で、どうやってファンと繋がり、エンゲージを高めていくかについて紹介されました。
 
マルコ&ナミタ
 

<1. つながる>

 
つながる
 
1)すべてはつながりから始まる
2)真のアイデンティティーを構築ー見せかけはやめる
3)量ではなく質
4)常にオンの戦略をとる
 
ヒュンダイ事例
・ファンとそうでない人を比べた場合、ファンの人は2.2倍ヒュンダイ自動車を所有し、週に一回は来店し、友達にすすめる可能性が20%ある。
 
・大切なのは「いいね!」の数ではなくファンの質。頻繁にページに訪れてくれるユーザーを大切にし、エンゲージメントを高めることこそが重要。
 
Always ON
 
・単発的なキャンペーンはOFFが出来てしまう。そこでFacebookページでは「常につながっている状態」=「オールウェイズ・オン(常にオン)」の戦略をベースにする。
 
・+αとしてハイプロファイルなイベントやキャンペーンを定期的に実施することが効果的。
 

<2. 関わる>

 
ベストプラクティス
 
1)簡潔に保つ
簡素に保つ
 
・投稿は100から200文字(3行以内)だと、それ以上の投稿より60%以上のいいね!される確立が高まる。
 
2)定期的に投稿
定期的に投稿
・一日1回、一週間に5〜7回、定期的に投稿すると効果が高い。
・無印良品の場合、3時に食べ物の写真をアップしている。この投稿が多くシェアされている。
・ブランドごとに最適な時間は変わってくる。小売業は2時、レストランは10〜11時が効果が高いというデータがある。
・自社にとって最適な投稿時間を把握する事が重要。
 
3)ビジュアルの効果
ビジュアルの効果
・「バーバリー」はコレクションのランウェイ動画を効果的に活用している。ビジュアルによるインパクトは大きいので、写真・絵・動画のコンテンツを重要視する。
・Facebookページを自分たちを表現できるキャンバスだと思って、ユーザーを引きつけるクリエイティブなコンテンツを工夫する。
 
 
4)真の声を知る
真の声を知る
・TVニュース番組「ワールドビジネスサテライト(WBS)」では、毎日、放送前にアナウンサーが当日の番組内容を紹介したり、質問を募集したりしている。これによって、ファンから期待の声や質問、番組の感想などのリアクションが得られている。
 
 

<3. 利用開始>

 
1)明確なオーナーを指定
 
明確なオーナーを決める
 
・どの部署の誰が中心となって運用するのか、主体をはっきりさせる。
・社内で「ソーシャルメディアチャンピオン」や「ヒーロー」を作ることも有効。
 
2)目的をもってプランニング
 

 
・ブランドの事業目的を特定
・Facebookページで目的を達成する方法を検討
・効果を評価する方法を決める
・ベンチマークを設定
 
Facebookページはトライ&エラーが出来るメディア。「ファンに試してもらう」、「何人が欲しいというか?」といったプリローンチプログラムにも使える。
 
 
3)会話カレンダーを作成
 
会話カレンダーを作成
 
・広報、CRM状況、媒体発信、自社のキャンペーン予定、測定結果、世の中のイベントなどを一覧出来るようにカレンダーに落とし込む。
 
・出来上がったカレンダーからマーケティング施策全体を見渡して、Facebookページで「何を語るか」を決めて投稿し、「どの投稿が効果的だったか」を検証する。
 
 
Facebookページのデザイン、タイムラインの運用、マーケティングプランの作成までの、実務的なセッションのポイントをご紹介しましたが、ヒントはありましたでしょうか?
「fMC Tokyo 2012」レポートもいよいよ終盤。最終回は「新しいインサイトの活用方法」と「Facebookマーケティングの本質を理解するための基本思想」をご紹介します。引き続き次回もご覧下さい!
 
■【fMC Tokyo 2012レポート】
・Facebookが目指すマーケティングの本質とは?(1)http://smmlab.jp/?p=6302
・Facebookが目指すマーケティングの本質とは?(2)http://smmlab.jp/?p=6322
・Facebookが目指すマーケティングの本質とは?(3)http://smmlab.jp/?p=6364
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・【速報】デザイン変更だけじゃない!Facebookページのタイムライン導入情報詳細!fMCまとめ
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