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もう財布は不要!?日本の先ゆく中国のスマホ事情 ~割り勘に出前・自転車も~<中国向けビジネス入門編>

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投稿日: 2017年5月30日

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中国のテレビ番組を見ていると、街中でスマホを使い支払いをしているシーンを見かけます。実際、大都市を中心に、カフェからコンビニ、ドラッグストアまで「支付宝(アリペイ)」や「微信支付(WeChatペイメント)」での決済に対応しているところが増え、利用者も急増中のようです。さらには割り勘から個人間での立替払い清算なども、それらのスマホアプリを使ってさくっとスマートに処理できてしまう便利な時代。

「振り込むから銀行の口座情報教えて」
「Amazonギフト券でもいい?」

中国でのスマホアプリ決済・支払いに慣れた人には、日本でのそんなやりとりがまどろっこしく感じるそう。

 

そうした中国人のスマホ決済習慣を背景に、ドラッグストアはじめ訪日中国人顧客が多い日本国内の小売店店頭でも、これらスマホアプリを使った決済システムの導入が進んでいます。

●ラオックスが中国人向けモバイル決済サービス「WeChat Pay」取扱開始(アプラス) « ペイメントナビ – カード決済、PCI DSS、ICカード・ポイントカードの啓蒙ポータルサイト
●ニュース – 日本ユニシス、全国のローソンで中国の決済サービス「支付宝(Alipay)」を利用可能に:ITpro

 

今回は中国のスマホ普及状況とインターネット決済サービス、さらにはそれをベースとした中国の人気スマホアプリサービスを見ていきたいと思います。

 

2016年末のモバイルインターネットユーザー割合は95.1%

 

日本のJPNICに相当する「CNNIC」ことChina Internet Network Information Center(中国互聯網絡信息中心)が半年に一度、国内のインターネット利用状況に関する統計報告を発表しています。インターネット人口やユーザー属性といった基本的なデータの他、利用しているサービスや都市農村格差、インターネットにおける最新トレンドについてもまとめた、充実した内容のものとなっています。その最新版が2017年1月に発表されました。

●第39次中国互聯網絡発展状况統計報告(中国語/PDF)

このひとつ前の統計報告をベースにした記事を1月に書いていますので、興味ある方はそちらもご覧ください。

●<中国向けビジネス入門編>2016年中国インターネット利用状況~ネット人口・接続環境・用途 他~- SMMLab(ソーシャルメディアマーケティングラボ)

 

・2016年12月時点のインターネットユーザー数は7.31億人で全人口の53.2%

・モバイルインターネットユーザーは6.95億人で7,550万人増加/インターネットユーザー全体の95.1%

・モバイル決済利用は4.69億人で31.2%の増加、「線下支付(オフライン決済)」が定着

 

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2015年に初めて全人口の半分を超えたインターネット利用者数。
ここ数年の伸び率はひと桁パーセンテージ台と鈍化していますが、それでも年間4,299万人も増加し、総数は欧州人口にほぼ匹敵する規模となりました。

 

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うち、スマホなどモバイル端末からインターネットアクセスしているユーザーの割合は95.1%と非常に高い数字となっています。中国では、格安スマホの普及などもあり、都市部でのスマホ保有率の高さは日本以上とも。通信料が安いこともあり、スマホでインターネットアクセスし、ドラマや映画を楽しんでいる人の姿を至る所で見かけます。

●中国都市部でのスマホ保有率は日本の約2倍の93.1%、スマホユーザーのタブレット保有率は日本の約3倍の47.3.% | MarkeZine(マーケジン)
●スマホ普及率74%!中国最新動向と企業進出のカギ | Bizコンパス

統計報告には、モバイルインターネットの利用目的に関するデータも載っています(「机」は機の簡体字で、「手机」は手の中の機械で携帯電話を指す)。

 

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9割以上のユーザーが「即時通信」、つまり「微信(WeChat)」「QQ」などのチャットを利用しています。日本だと「LINE」に該当するサービスですね。2位以下に「新聞(ニュース)」「捜索(検索)」「音楽」「視頻(映像)」と続きます。

利用されているアプリのトップ5は以下の通り。

 

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中国インターネット大手の騰訊(テンセント)が運営する「微信」「QQ」のチャットアプリが群を抜いて多く、続いて「淘宝(タオバオ)」「手机百度(検索大手・百度のモバイル版)」「支付宝(アリババが運営する決済サービスのAliPay)」がきていますが、上位2つのチャットアプリに比べると、その率は大幅に下がります。

 

2016年注目すべきは「オンライン出前」に「リアル店舗でのスマホ決済」

 

報告の中では、2016年飛躍的な伸びを見せたサービス領域についても言及されています。
そのひとつが、この一年で急拡大している「網上外買」つまり「オンライン出前」です。都市部のランチ風景を大きく変えました。

 

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ユーザー数は2.09億。
インターネットユーザー全体の3割未満にもかかわらずこれだけの規模の市場になってしまうのは、中国ならではでしょう。うち、モバイルインターネットでの利用は1.94億で、ユーザーの大半を占めます。
これは後で紹介する、“中国版UberEATS”とも言える従来とは違った出前システムとスマホアプリの存在が大きくかかわってきます。

もうひとつが「網上支付(インターネット決済/支払)」です。
中国ではタオバオなど運営するアリババの「支付宝(AliPay)」が、オンラインショッピングの決済手段として圧倒的なシェアを占めています。

日本ではクレジットカードや銀行振込が一般的で、いわゆるPayPal的なオンライン決済サービスを利用する機会は少ないのですが、実際使ってみると非常に便利。
オンラインショッピングの支払いにとどまらず、友人から借りたお金の返済だったり、携帯電話料金の支払いだったりと、多岐にわたる支払いや個人間の金銭のやりとりに使えます。私も中国在住時は、銀行口座から支付宝のアカウントに常に一定の金額を入れておき、ちょっとした支払いはそれで済ませていました。銀行口座からのお金の移動も、支付宝の管理画面や専用アプリ上でできるので手軽です。銀行に預けておくより利回りがいいと、かなりの金額を支付宝などにトランスファーしている人もいるようです。

ここ数年はさらに、街中のカフェやコンビニ、スーパーなどリアル店舗での支払いも支付宝などのスマホアプリで可能となり、リアルの世界でも「重要な財布」となってきました。アリババ「支付宝」と騰訊「微信支付」間の、決済プラットフォームとしてのシェアを巡る覇権争いも勃発し、激化しているようです。

●中国の実店舗で利用できる電子決済、支付宝と微信支付とは? : ツーチャイナ – 中国の生活、ビジネス情報を発信するサイト

ちなみにこの報告書では、「網上支付」を「線上(オンライン)支付」「線下(オフライン)支付」の2つに分けて解説を加えています。「線上支付」は水道・ガス料金などの支払いなど、「線下支付」は街中のレストランやスーパー、コンビニなどリアル店舗での購入に伴う支払です(実際の仕組みとしては「線下支付」もオンラインでの決済です)。

個人にとって様々な支払いをスマホで一元的に済ませられる利便性は大きく、また店舗にとっても現金の取り扱いが減ることは大きなメリットになり、集客施策のバリエーションも広がるでしょう。都市部で普及しているだけでなく、農村エリアでの使用ユーザー率も30%を超えているというので、短期間で一気に全国に普及・浸透したことがわかります。

●これは便利、ローソンで支付宝が使えるようになるらしい。 – 異邦人になってみた~上海の人
●支付宝アプリ払いに目覚めた2015年夏 – タクシーで初支払い!! | 上海の日本人理容師店長ブログ
●【微信支付】超便利!we chatの支払い方法を写真で手順解説します。: 香港・中国深セン的観光旅行生活情報局

実際に使った方のレポートも参考になります。
「簡単で便利」なだけでなく、これら決済手段が使えないと利用できないサービスもあって中国で生活するうえで不可欠と語る人もいます。

 

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ちなみにこれが「支付宝(AliPay)」のスマホアプリの画面です。「付銭」をクリックするとバーコードが現れ、店舗での支払いではそれを読み取ってもらい支払いをします。

そのすぐ左に「扫一扫」と書かれたところがあり、それがスキャン。同じく店舗での支払いで、相手のスマホやプリントされたバーコードを読み取って支払いをすることもできます。

 

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他にも様々な支払いがスマホ画面上だけで簡単に実行できます。電話帳連携などで友達を登録しておけば、食事の割り勘や貸し借りの清算なども簡単。会費制のイベント受付で現金回収ということもきっと減っているでしょう。

こうした億単位のユーザーを抱える、少額決済にも便利な決済インフラが存在することにより、便利なスマホアプリを使ったサービスも次々登場しています。そのうちのいくつかを見ていきましょう。

 

配車アプリでタクシー探しはもう不要「滴滴出行」

 

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出行(ディーディーチューシン)

昨年5月にアップルが10億ドルの出資を発表したことで日本でも注目を集めた「中国版Uber」こと「滴滴出行」。

2012年の創業と歴史は浅いものの、サービス開始後すぐ注目を集めメディアでも盛んに取り上げられ、QQや微信などを運営する騰訊(テンセント)から出資を受けました。2015年には最大のライバルだった快的打車と戦略的合併を果たし滴滴快的となり、中国全土に一気に配車ネットワークを構築・拡大しました。

配車アプリというとタクシーを呼ぶアプリをイメージすると思いますが、滴滴出行がネットワーク化しているのは従来のタクシー運転手だけではありません。米国の「Uber(ウーバー)」同様、車を保有している一般の人が時に「副業」として自家用車を使ってタクシー業務を行う、日本でいうところの「白タク」のネットワーク。実際にはフルタイムで運転手として活動している人が多いようです。それゆえ都市によってはグレーゾーンのサービスでしたが、新法が2016年11月から施行され、合法化されました。

●中国、配車サービス合法化 新法11月施行:日本経済新聞

北京・上海ともに、2014年までは都内中心部で夜タクシーを捕まえようとしても全く空車がなく、時に1時間以上もさまよう羽目になることもありましたが、そんな状況は一変しました。当然これまで、既存のタクシー業界との間で衝突も起こっていますが、タクシー業界自体がこの新しいシステムに飲み込まれ再編成されそうな勢いです。

 

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アプリの画面はこんな感じ。白い車アイコンが駅周辺で何台も待機しています。目的地を指定すれば料金目安も表示されます。

支払いは、あらかじめアプリの設定画面で「支付宝」「微信支付」「QQ銭包」などを設定しておき、そこから決済がされる仕組みです。乗客・運転手双方が相手の評価も行う仕組みとなっており、通常の車の他、高級車でグレードの高いサービスを受けられる「専車」を選ぶこともできます。

実際に利用した人のレポートがありますが、中国ではもともとタクシーの運転が粗かったりサービス精神に欠けていたりという事情もあり、価格優位性だけでなく質の面でも滴滴出行を評価する人は多いようです。

●便利すぎる!中国で滴滴快车(ディーディー)に乗ってみた! – C-STUDY
●北京(中国)配車アプリ 滴滴打車(didi)の使い方 – でこぼこ北京ブログ

 

配達料もリーズナブルなオンライン出前「饿了么」

 

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么(餓了麼/ウーラマ)

中国在住の人たちが「みんな使っている」と語る評判のオンライン出前アプリです。タイトルは「お腹すいた?」という意味。こちらも「UberEATS」に近いものとなっています。どういうことかというと、顧客と出前対応可能な飲食店の間を仲介するだけでなく、さらに「配達人」のマッチングも行うシステムだからです。

先に、利用した人のレポートなどをご紹介しておきましょう。

●中国の出前アプリ「饿了么」、上海で見かける配送バイク! : ツーチャイナ – 中国の生活、ビジネス情報を発信するサイト
●第197届.中国O2Oフードデリバリーサービス「餓了么-Ele.me-」アプリの使い方(ざっくり編) : ニーハオNINJA、中国なう。
●中国の出前(外卖)はネットで簡単!登録方法から注文まで | Guanxi Times

スマホアプリの他、パソコンからも注文ができます。操作方法も簡単で、スマホアプリの場合、GPS情報から今いる場所に出前してくれる店を表示させ、写真を見て注文したい料理を選ぶだけ。店舗・料理ごとに利用者の口コミ情報も入っているので、選びやすいのも特徴です。日本の出前だと、デリバリーピザでも出前寿司でも、1500円以上など最低注文金額が決まっており、1人で頼むにはちょっと難しい金額のことが多いのですが、このアプリでは、基本ラーメン一杯でも注文可能です。そして配達料金も100円前後など非常に安く、頻繁に利用する人なら配達料金が無料になる有料会員制度もあります。決済も「支付宝」や「微信支付」などで簡単。

日本の従来の出前システムでは、各店舗ごとに配達役のスタッフや原付バイクを抱えておく必要がありました。デリバリー専門店ならともかく人材不足に悩む外食産業でその余裕はなかなかありません。「饿了么」はじめここ数年で立ち上がった出前サービスでは、ネットワークに登録している配達人達が、店舗の配達人募集をスマホでチェックして都度立候補し、店舗から手数料を受け取って出来高制で配達を担うという仕組みです。

豊富な選択肢の中から好きなものを注文でき、わずかな配達料でびっくりするほど迅速に届けてくれるこのサービス。利用した知人によると、あまりの便利さに、週末でも料理を作ったり外に食べにいこうというモチベーションが減退するほどとのこと。日本でもUberEATSが始まったばかりですが、まだ一部エリアのみ。早期の普及が期待されます。中国では他にもいくつかの企業が同様のサービスを展開しており、割引クーポンなど大量にばらまいての集客も行われています。

 

“乗り捨て放題”の自転車シェアリング「Mobike」

 

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単車(Mobike)

最後はこちら。日本の大都市でもここ数年、自転車シェアリングサービスを実施する自治体が増えてきました。最近では、東京都内中心部の6つの区で実施されていた自転車シェアリングサービスが連携し、全部で200か所以上あるポートのどこで借りても返してもOKというサービスが実験的に始まっています(詳細)。

中国で今爆発的に広がっている自転車シェアリングは、おそらく日本の社会ではなかなか許容されないだろうシステムです。どういうことかというと、基本「ポート」が存在せず、どこで返してもいいというもの。返すというより「どこでも乗り捨てられる」という表現のほうが適切でしょう。

結果どういうことになるかというと・・・

●鴻海、アップルも注視 中国で急成長「自転車シェア」:日本経済新聞

上の記事の写真にあるように、交差点や歩道、商店の前など街中至る所にこのシェアリング自転車が乗り捨てられている状況が発生し、ちょっとした社会問題にもなっているようです。

そんな課題はありつつ、歩くには距離があるけどタクシーを使うまでもないくらいの場所で、ちょっと利用するのに非常に便利だろうことは想像がつきます。Mobike以外にも複数の企業が参入しており、短期間で膨大な数の自転車を各社が投入した結果、都市部では「探さなくてもいくらでも転がっている」ほどなのだそう。自転車にはGPSとロック、あとQRコードが取り付けられているだけで、利用料の支払いなどはすべてスマホアプリ上で行うというのも、ポート返却方式の日本との違いです。

こちらもぜひ、実際に体験した人の体験談を読んでみてください。

●上海の自転車シェアリングサービスが便利すぎる件 | tsublog
●スマホ1つで自転車レンタル Mobike(摩拜単車)登録と使用ルール – 中国生活-アラフォー中国奮闘記

 

+ + +

 

私自身、一年ちょっと中国を訪れておらず、今回ご紹介したスマホサービスを実際に利用した体験はありません。関連記事や他の方の利用体験レポートは読みましたが、おそらく自身で実際に使って体感しなくては理解できない部分も多々あるでしょう。今夏には中国を訪れる予定なので、少し長めに滞在し、ネットとリアル融合したこれらのサービスを使い倒してきたいと思います。

アプリ自体はもちろん日本でもダウンロードして中身を見ることができます。
中国の銀行口座がないと「支付宝」「微信支付」のアカウントを作っても銀行口座と連携することができませんが、国際クレジットカード連携で利用できるサービスもあります。

中国出張の機会がある方は、事前にアプリのダウンロードと会員登録までしておき、現地で試しに使ってみてはいかがでしょうか。
そこから何か、ビジネスのヒントが生まれてくるかもしれません。

 

 


和田 亜希子

和田 亜希子(Akiko Wada)

都市銀行、検索エンジン等を経て2001年独立。企業からの受託でクチコミを活用したマーケティング、アフィリエイト・プログラム導入運用支援などを行うかたわら、「東京ビアガーデン情報館」「台湾温泉ガイド」などの専門サイトを企画運営。主な著書「アフィリエイト・マーケティング実践マニュアル(翔泳社)」「ひとつの ブログで会社が変わる(技術評論社)」「ミニサイトをつくって儲ける法(日本実業出版社)」。


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