
昨今のマーケティングにおいて、InstagramやUGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用は、ECサイトやLP(ランディングページ)の最適化において美容業界で注目されています。“リアルな声”やビジュアルを武器に、新規顧客獲得やCVR向上など成果を出している企業が続々と登場。
本記事では、InstagramやUGCを活用して成果をあげた7つの事例をご紹介します。それぞれの実例を通して、具体的な施策や成功要因を紐解き、自社のマーケティング課題に役立つヒントを探ってみてください。
Sparty:
【インハウスでのLP制作・改善スピード向上に】100のインフルエンサーLPの検証を実現した事例
日本発のD2Cブランド「MEDULLA」を展開する株式会社Spartyは、ヘアケア市場での競争力を強化するため、インフルエンサー施策を中心としたマーケティング戦略に注力しました。
特に顧客データを詳細に分析し、新たなターゲット層に合わせたペルソナを設定し、選定した100名のインフルエンサーに最適化されたLPを制作する方針を採用しました。
しかし、多くのLPを制作する上で、外部委託のコスト負担や社内工数の増大という課題に直面。
そこでインハウスでLPを効率的に制作できるツールを導入し、インフルエンサーに最適化したLPを100本制作することに成功しました。
結果として、従来の工数を約1/3に削減。柔軟かつスピーディにLPの改善や施策の展開が可能になりました。
これらの取り組みにより迅速で効率的なマーケティング基盤が構築され、さらなる施策の展開が期待されています。
参照:【インハウスでのLP制作・改善スピード向上に】100のインフルエンサーLPの検証を実現したLetroEditor活用事例
DECENCIA:
DECENCIAから学ぶ! UGC活用でブランド信頼性と顧客共感を高める方法
ポーラ・オルビスグループが展開する敏感肌専門スキンケアブランド「DECENCIA」は、多様な意見やレビューに触れやすくなった市場やユーザーの状況に対応するために、UGCの可能性を模索し始めました。
Instagram投稿を購買促進のための「アシスト」として適切に配置し、アフィリエイトなどの流入経路に応じた最適なコンテンツを検証することで、UGCの効果的な活用を実現。さらにテキストレビューを活用した施策ではCVRが1.16倍向上する成果を挙げました。
DECENCIAは敏感肌に悩む顧客層との信頼関係を強化し、新たな価値とストーリーの共有を通じてブランドの存在感を高め、市場でのポジショニングを強化すること目指しています。このUGCを強化した施策は、ブランドとしての信頼を自然に得る仕組みとして、消費者の共感を得る軸にもなっています。
ALOBABY:
自然検索流入数を1.4倍に!ALOBABYのレビュー活用術とCVR向上の秘訣
国産オーガニックのベビースキンケアブランド「ALOBABY」を展開する株式会社SOLIAは、ブランドの特性上、購入いただく顧客である期間が限定的であることから、限られた期間にLTVを最大化することに最注力しています。
その施策の一つとして、Instagram投稿やテキストレビュー、星評価をECサイトの商品詳細ページに掲載。UGCの位置やデザインを検証し最適化することで、CVRを最大1.5倍、平均1.2倍向上につながりました。
さらなるUGC活用を検討し、自然検索結果からより多く獲得すること・流入させることを目的にGoogle検索結果へのレビュー表示を開始。テキストレビュー・星評価も自動で収集し追加掲載することで、CVRが1.31倍向上する成果を挙げました。
また、Google自然検索結果にレビューを表示する仕組みを活用することで新たな顧客接点を創出。
特に「ALOBABY」ミルクローションの商品ページでは自然検索流入数を導入前の1.4倍に増加させました。引き続き他の商品ページにもこの手法を展開し、さらなるCVポイントの強化を目指していく方針です。
ECH:
【制作工数削減と検証スピード向上】ECHの記事LPにおける動画コンテンツ運用事例
ECH株式会社は、生活者一人ひとりのニーズに寄り添い、妥協せずこだわり抜いた商品を企画している自社D2C事業を展開する企業です。
生活者のニーズが多様化していることから、年齢・性別・居住地などのターゲティングだけでなく、趣向性や課題感など様々なニーズに応えるためのコンテンツを用意することが重要です。それに対し動画コンテンツ制作において、これまでは複数のツールを使い分けながら1コンテンツあたり約3時間を要していましたが、EC・LPのコンテンツ制作に適したツールを導入。テンプレートやリサイズを活用し、制作時間を1時間に短縮できました。
制作スピードが向上したことで、記事LPのCVR向上を図るための検証頻度を従来の5倍に拡大し、ファーストビュー動画やクーポン、CTAボタンを含むコンテンツを量産しています。
制作工数を大幅に削減し、効率的な運用体制を構築できたことで、機会損失のないサイト運用・動画コンテンツ運用を強化できました。
natural tech:
【離脱防止とCVR向上】natural techのチャットボットにおけるUGC運用事例
natural tech株式会社は、妊活期向け葉酸サプリ「mitas」を展開しています。
新規獲得LPの獲得効率を良化させるために、UGC掲載・運用を開始。顧客のステージにあわせてどんなUGCが商品の魅力をより反映するかを発掘するために細かな検証を積み重ね、CVRは1.38倍に向上しました。
こうした実績からUGCが購買行動にポジティブな影響をもたらすことが明らかとなり、さらなる成果を目指してチャットボットにもUGCを導入しました。
チャットボットの主な課題であった「離脱防止」を解決するため、UGCをファーストビューに掲載する施策を実施。
利用者が参考にしやすいUGCの内容やデザインを検証し、最適化を進めた結果、UGCを掲載したチャットボットは、UGCを載せない場合と比べて離脱率を20ポイント削減し、CVRを1.8倍に向上させる成果を達成しました。
この取り組みは、購入検討者の不安や疑問を払拭し信頼感を高めるとともに、顧客獲得効率の向上に繋がった取り組みです。
UGCをチャットボットに活用する、という新しい顧客接点を見出した事例となります。
再春館製薬所:
UGCの活用で新規顧客獲得と継続率向上を実現! 再春館製薬所のファンマーケティング戦略とは
再春館製薬所は、主力商品「ドモホルンリンクル」を中心に漢方理念に基づいた化粧品を展開するメーカーです。
同社は、生活者の購買行動がデジタル化・多様化によりお客様のニーズを汲み取りにくくなったと感じていることから、「お客様が自ら発信・拡散し、必要な情報が得られる環境」を目指し、ファンマーケティングを強化しています。
その中の一つとして重要視しているのが、お客様の声=UGCの活用です。
新規獲得LPでは、Instagram投稿を掲載し疑似的な「代理体験」を提供したことで、CVRを1.51倍に向上しました。
また、既存顧客向けの継続購入促進ページでは、共感を生むUGCを取り入れることで、離脱率を8%削減する成果を達成。
さらに、継続的にUGCが生まれる仕組みを構築するため、ハッシュタグキャンペーンやステップメールの活用、リアルイベントやオンラインコミュニティの運営を通じて顧客との直接的な交流を促進しています。
このように顧客体験を見える化し、自然にUGCが生成される環境を作る取り組みを実現をしました。
同社はUGCを各顧客接点で精度高く運用することにより、信頼感を高めながら「お客様とブランドの共創」を目指しています。
ファンケル:
【CVR約1.8倍】ファンケルのレビュー運用事例
株式会社ファンケルが提供するエイジングケアライン「エンリッチプラス」において、新規獲得用LPに顧客レビューを活用しました。
顧客レビューには「肌質」「肌悩み」「購入回数」などの具体的な項目を含めた顧客体験を反映し、潜在顧客が自身に合った情報を得られる設計を採用。
その結果、購入意欲を高める体験価値の提供に成功し、CVRを約1.8倍に向上しました。
さらに、迅速なPDCAサイクルを回すことで、レビューの生成・掲載・効果測定・最適化まで効率的に運用し、顧客体験向上と顧客獲得効率の改善を同時に実現。
このプロセスにより、複数のプラットフォームを使わずに一貫したレビュー運用体制を構築しました。
今後はテキストレビューだけでなく、視覚的な訴求力を持つInstagram投稿の活用にも力を入れ、お客様にとって最適なレビューを届け、更なる顧客体験と獲得効率向上を目指します。
まとめ:美容業界UGC活用の成功ポイント:成果を出す3つの共通点
1. UGCをどのように活用するかの徹底的な検証
どのSNS投稿やレビューを使うのか、どこに配置するのかを妥協なく検証し続けることで、企業は最大限の効果を引き出しています。
2. インハウス化と効率性の追求
外部委託に頼らず、社内で効率化を図る企業が増えています。特にノーコードツールを活用することで、UGCの配置やA/Bテストを迅速に行い、生産性を向上させつつ柔軟な運用を可能にしています。
3. 信頼感を高めるストーリーの共有
単に商品を売るのではなく、Instagramやレビューを通じて「共感」を生み出す工夫が成功の鍵となっています。
顧客が語るブランド価値:UGC活用で共感を生むマーケティング戦略
美容業界が積極的に取り入れるUGCやInstagramの活用は、化粧品やヘアケア商品の販売だけにとどまりません。実際の愛用者の声やビジュアルが、潜在顧客を後押しすることで、ブランドとしての存在感を高め、選ばれる理由を確立しています。
もし、UGC活用やEC最適化に課題を感じている場合は、まずは簡単な改善から始めるのがおすすめです。例えば、現状のサイトにUGC専用のセクションを設けてみたり、適切なツールを活用したりするのも一つの手段です。
これからの時代、顧客が自ら語るブランドの価値は、企業からの情報以上に強いインパクトがあります。UGCやInstagramなどを積極的に活用し、顧客の共感を惹きつけるマーケティングを進化させて、さらなる成長につなげていきましょう。