今年7月に公開され、世界(主に英語圏)の業界関係者の間で話題になっていた
調査レポート”ENGAGEMENTdb”の日本語翻訳版がアジャイルメディア・ネットワーク
(AMN)のサイトにてダウンロード可能となっています。
http://agilemedia.jp/blog/2009/10/engagementdb.html
この調査レポートは、書籍『グランズウェル–ソーシャルテクノロジーによる
企業戦略』(関連ブログエントリー)の共著者であるCharlene Li氏らが、
BusinessWeek/Interbrandのグローバルブランドランキング上位100社を対象に、
ソーシャルメディアの活用実態を調べ、その取り組み方と企業業績との間に
相関関係がみられるかを検証したものです。
「ソーシャルメディアの活用度が高い企業ほど
業績(売上・利益)も好調、という傾向がみられる」という
調査結果をお伝えしたいと考えたら。実際のところ、
その直接的な因果関係は証明されていませんし、
本文中にもある通り「業績が好調だからこそ、
ソーシャルメディアの取り組みをより積極的に進められる」
という『ニワトリとタマゴ』の関係が
存在しているといえるかもしれません。
ただ、この相関関係の傾向が具体的にどういうことかについて、
なるべくわかりやすい形で示されたものがあれば、
きっと役に立てていただける方がいると思えました。
また「ケーススタディ」のなかに盛り込まれた
有名企業の具体的な取り組みについても、具体的な分だけ
企業のみなさんが採り入れることの可能なティップスが
含まれているのではないかと考えました。
引用元~アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)
このデータを少し詳しく見てみましょう。
以下はリストアップされている評価の上位企業と下位企業の
取り組んでいるソーシャルメディアとその開始時期です。
《評価上位ブランド》
■スターバックス(1位)
・Flickr 2005/4~
・Youtubeメンバー登録 2005/11/30
※フォーラムやブログで客の意見を取り上げたり、
座談会活動を2008/3~活発に活用開始
■Dell
・Youtube:2006/6/13
・フォーラム:2007/2~
・ブログ:2007/2~
・Flickr:2008/1~
■eBay
・ブログ:2006/6/19(確認できる最古記事)
・Youtube:208/4/28
・flickr:2008/2~
■Google
・Youtube:2005/09/18
・ブログ2004/4/19
■マイクロソフト
・Youtube:2005/10~
■Thomson Reuters
・Youtube 2007/10/11
■Nike
・Youtube:2006/4/13
■SAP
・Youtube:2007/6/18
■Intel
・Youtube:2007/9/7
■Yahoo!
・Youtube:2007/6/27
《評価下位ブランド》
■McDonalds
・ブログ:2007/11/14
・Flickr:2009/3/13
■Chanl
・Flickr:2008/1/~
■ネスレ
・Youtube:2008/7/~
■IKEA
・Youtube:2006/1/~
■Siemens
・Youtube:2008/1/~
こうしてみるとさすがにグローバルブランドランキング
上位100社では上位でも下位でもソーシャルメディアの
開始時期の前後による違いは顕著にはなりませんでした。
しかし、その取り組みの内容を見てみると、下位の企業は、
YoutubeやFlickrなどのビジュアルメディアを企業からの発信に使う
マスメディアの補完的な使い方に留まっていますが、
上位企業は、ブログやフォーラムなどコミュニケーションが
発生する可能性のあるメディアを積極的に利用していることが伺えます。
これはソーシャルメディアをユーザとのコミュニケーションに
活用することに積極的な企業ほど、現段階で高いエンゲージメントを
獲得しているといえるのではないでしょうか?