CSRとは

CSRとは?言葉の意味から、普及した背景、企業のCSR活動事例まで、分かりやすく説明します。

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用語解説・意味/定義の説明

CSR(Corporate Social Responsibility)とは?

CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業の社会的責任を意味します。企業が自社の利益を追求するだけでなく、自らの組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆるステークホルダー(利害関係者:消費者、取引関係先、投資家等、及び社会全体)からの要求に対して適切な意思決定をすることを指しています。日本では利益を目的としない慈善事業(寄付、ボランティアなど)と誤解・誤訳されることもあります。

CSRが普及した背景

環境の汚染、資源・エネルギー・食糧需給の逼迫、児童労働などの人権問題、自然災害。人類社会の持続を脅かすような様々な要因が顕在化しています。そのような背景のもと、企業が未来永続的に存在していくためには、企業自らが社会の一員として、「社会そのもの」が永続的に発展していくために貢献する存在でなければなりません。

2010年11月1日には、ISO(国際標準化機構)より、国際規格としてISO 26000(Guidance on social responsibility:社会的責任に関する手引き)(※1)が発行されました。

現在は、企業活動におけるグローバルスタンダードとして、世界中で多くの企業がCSR活動に取り組んでいます。

CSRとサステナビリティ、SDGsの違い

最近よく聞く「サステナビリティ」や「SDGs」と「CSR」にはどのような意味の違いがあるのでしょうか?

  • CSR:企業の社会的責任。企業はあらゆるステークホルダーに対して責任を持つこと。
  • サステナビリティ:環境、社会、経済をバランスさせ、世の中全体を持続可能な状態にしていく考え方のこと。企業が事業活動を通じてサステナビリティに取り組むことをコーポレート・サステビリティと呼ぶ。
  • SDGs(Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標と訳される。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のこと(※2)。

つまり、サステナビリティとは世の中全体を持続可能な状態にしていく考え方のことを指し、サステナビリティ持続のための具体的な企業活動は、ステークホルダーへの責任を果たすCSR活動の一環とも言えます。SDGsはサスティナブルな世界を実現するための国際的な目標のことを指しています。

CSR活動の具体的な取り組み事項

ISO26000では、7つの原則として「説明責任」「透明性」「倫理的な行動」「ステークホルダーの利害の尊重」「法の支配の尊重」「国際行動規範の尊重」「人権の尊重」を挙げています。

典型的なCSR活動として具体的に知られるのは、

  • 地球環境への配慮ボランティア活動支援などの社会貢献
  • 地域社会参加などの地域貢献

などがありますが、他にも

  • 安全や健康に配慮した職場環境と従業員支援
  • 関連法規の遵守やコンプライアンス
  • 適切な企業統治と情報開示
  • 誠実な消費者対応
  • 誠実な取引先との関係

などもCSR活動の一環と言えます。

CSR=ボランティア活動という誤解

日本で「CSR」と言うと、企業の利害に関係ないボランティア活動であると誤解されている向きがあります。そのため、CSR活動そのものが「ボランティアなどの社会貢献活動をしている企業というブランディング」やPR目的の延長線上として捉えられることがありますが、それはあくまでも「企業利益」が優先の活動であり、本来のCSRとは一線を画するべきものです。

また、本来CSRとは、企業が社会に与えるかもしれないネガティブな影響に対して責任を持って対処することを指します。まったく関係のない分野における「社会慈善事業」を行うことで、別分野でのマイナスイメージを払拭しようとすることは、社会の永続的な持続に反しています。

企業のCSR活動事例3選

①HONDA(本田技研工業株式会社)

2019年度の社会貢献支出額は95.7億円、「社会貢献にお金を出す」100社ランキング(※3)の一位にランクインしたホンダは、グローバルをベースに、環境保全活動・安全への取り組み・社会活動におけるさまざまなCSR活動に取り組んでいます。

②ユニクロ(ファーストリテイリング)

ユニクロは、「服のチカラを、社会のチカラに」を掲げ、さまざまなCSR活動に取り組んでいます。全商品のリサイクル活動、固形燃料へのリサイクル、衣料支援、難民の雇用、出張授業など、その活動は多岐に渡っています。

③武田薬品(武田薬品グループ)

武田薬品グループは、「すべての人々が医療にアクセスできる世界の実現を目指して」を掲げ、「パンデミックへの対応と準備、保健サプライチェーンの強化」、ユニセフとパートナーを組んだ「子どもたちの『人生最初の1,000日』の健康状態を改善」プログラム、「世界10都市でがん治療アクセス改善の持続的・革新的システムの構築」などに取り組んでいます。

ソーシャルメディア時代のCSRとは

ソーシャルメディアが普及し、消費者は自ら気軽に発信できるようになりました。またその発信は友人などのソーシャルネットワーク上のつながりを介して、あっという間にリアルタイムで共有されています。

このような状況下において、企業はもはや隠し事をすることはできません。企業として消費者に説明責任が取れない商品やサービス、従業員の劣悪な労働環境、不透明な経営体制、見せかけのボランティア活動などはソーシャルメディア上でいずれ暴かれ、その後急速に悪い評判として広まっていきます。もちろんその逆で、消費者窓口での真摯な対応、顧客の安心・安全を守る取り組み、環境保護への熱心な活動などは良い評判として人々に急速に伝えられていくでしょう。

企業はいまや透明であることが必然として求められており、常に企業のあるべき姿勢が問われています。CSR活動は、ボランティア活動やPR活動としてではなく、企業がそもそも社会の一員として持続していくための必須事項となっているのです。

イラスト:速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、
デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。
広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ