2023年7月5日(米国時間)、Meta社はテキスト共有アプリ「Thereads(スレッズ)」の初期バージョンを発表しました。今回は注目があつまっている新アプリの詳細について現時点でわかっていることをまとめ、企業のThreads(スレッズ)活用可能性について探ってみました。
※こちらの記事は2023年7月7日時点での情報をまとめた記事です。最新の情報については、Meta社の公式発表をご確認ください。
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Threads(スレッズ)とは
Threads(スレッズ)は、Instagramチームによって開発されたテキスト共有アプリです。アカウントの規模に関わらず、リアルタイムの近況や興味のあることについて発信し、会話ができるアプリとなっています。ビジュアルに特化したInstagramと比較し、テキストでの情報発信がメインであることが最大の特徴です。
Threads(スレッズ)の使い方、Threadsでできること
次にThreadsで具体的にできることについて見ていきます。
①最大500文字までのテキスト、リンク、写真、最大5分までの動画の投稿が可能
Threadsで発信できるテキストは最大500文字まで。また、テキストだけに止まらず、写真や動画の投稿にも対応しています。
そして、Instagramとの大きな違いは「リンクの添付が可能」であること。Instagramではリンクからダイレクトにページ遷移を促すことができるのは「ストーリーズ」のリンクスタンプや、プロフィール画面、ショッピングタグを利用した場合で、フィード投稿ではリンクを貼っての誘導はできませんでした。Threadsでは、メインの投稿にリンクのURLを貼り、そこからダイレクトに外部サイトへ遷移させることができます。
②一度に添付できる画像は10枚まで
Threadsの投稿で一度に添付できる画像は10枚まで。この10枚は、静止画(写真)、動画を組み合わせて投稿することができます。
③Instagramアカウントを使ってログイン可能
Threadsを利用するにはInstagramアカウントが必要です。すでにInstagramアカウントを持っており、Instagramにログインした状態であった場合、Threadsアプリを開くと画面下部にInstagramのアカウントが表示されます。そこをタップして初期設定を行うと簡単に登録が完了します。
また、Instagramでは複数のアカウントを利用している場合、アカウントの切り替えが可能となっています。しかしThreadsには現在アカウントの切り替え画面はなく、別のアカウントを紐づける場合には一度ログインしているアカウントからログアウトしなくていけません。
④現在のところ検索できるのはユーザー名のみ
Threadsには検索タブがあります。Instagramと同じ虫眼鏡マークのこの検索タブをタップすると、Threadsを利用しているユーザーを探すことができます。
⑤投稿には「いいね」「コメント」で反応。リポスト機能も搭載
投稿に対してはInstagramと同様に「いいね」や「コメント」で反応をし、そこから会話を楽しむことができます。また、Threadsにはリポスト機能が搭載されています。リポストは単純に投稿を拡散する「再投稿(Repost)」と投稿に引用して投稿する「引用(Quote)」の二種類があります。
⑥ハッシュタグは現時点で利用不可。メンションは可能
Threadsでは現在InstagramやTwitterのようにハッシュタグを利用することはできないようです。しかし、Instagram責任者であるアダム・モッセーリ氏が、Threadsの中で「ハッシュタグが必要である」という声に対して「It’s on the list(=それはto do リストにはいっている)と発言していることから、今後ハッシュタグが利用できるようになる可能性は高いと見られます。
また、「@+アカウント名」によって投稿を送る相手を明確にするメンションは利用ができます。メンションに関しては、セキュリティ設定として自分のアカウントをメンションできる範囲を選ぶことが可能です。
⑦タイムライン上には、フォローアカウントとおすすめが混ざって表示される
Threadsのタイムラインは自分がフォローしているアカウントからの投稿以外に、おすすめのアカウントの投稿が混ざって表示されます。
投稿が表示されるアルゴリズムについては現時点では不明ですが、時系列で表示されるわけではないようです。
⑧現時点ではアプリでの利用のみ
Threadsのサービスは現時点ではアプリからの利用に限られています。パソコンからの閲覧は可能ですが、コメントや投稿、いいねをする場合にはアプリを利用する必要があります。
企業アカウントにとってのThreads(スレッズ)活用とは
通常の商用利用は可能
Threadsでは、Instagramのコミュニティガイドラインが適用されています。よって、InstagramやFacebookと同様に「悪意がある」「詐欺的である」「公序良俗に反する」「誤解を招く」場合の商用利用が禁止されています。
つまり、これらの違反に抵触しなければ通常の商用利用は可能であると理解できます。
例えば、
- お店やブランド、商品のアカウントを運用
- 商品やサービスに関する情報を発信
- 商品やサービスの購入リンクや申し込み先のURLを投稿
などの範囲での運用は問題なく利用できそうです。
アカウントの削除に対しては注意
Threads(スレッズ)はInstagramのアカウントと1対1で紐づけられています。そのため現段階では、「Threadsのアカウントを完全に削除するためには紐づいているInstagramのアカウント自体を削除」する必要があるようです。
ただ、これに関しては Instagram 責任者であるアダム・モッセーリ氏がThreadsの アカウントを個別に削除する方法を検討していると自身のThreadsで発言していることから、今後アップデートが加えられる可能性は高いと見られています。
いずれにせよ、現時点ではThreadsのアカウントのみの削除はできないため、企業がThreads アカウントを開設する場合には注意が必要です。
フォローがされやすいUIはメリット
先述の通り、Threadsのタイムラインにはフォローしていないアカウントのおすすめ投稿が表示されます。フォローしていないアカウントからの投稿の場合、投稿アカウントのアイコンの横についている「+マーク」をタップすることでそのアカウントをフォローすることができます。
Instagramの場合はプロフィールに移動し、そこからフォローするという流れが一般的でしたが、それと比較するとThreadsは定期的に情報発信をすることで自然にフォロワーを獲得しやすい仕組みとなっていると考えられ、企業アカウントにとって大きなメリットとなりそうです。
新しいサービスと捉え、企業が利用する場合には運用ルールを改めて作る
TwitterのAPI呼び出し制限が話題となっている最中のアプリリリースであり、テキスト共有という部分に類似点もあったことから、ThreadsがTwitterの代替になるのでは?という見解も多く見られます。しかし、サービスの提供は開始されたばかりであり、今後どのように使われて広がっていくのかというのは現段階では不明確です。
よってThreadsについては全く新しいサービスであると認識し、企業が利用する場合には独自の運用ルールや戦略を改めて作っていく必要があります。
活用のヒントにしたい、実際にThreadsの利用を始めている企業事例
事例①MOUSSY
アパレルブランドのMOUSSYはThreadsの運用を開始。ブランドの名前の読み方がわからない、読めなかったという声を多くもらうということから、改めてブランド名の読み方と発音について説明する投稿をしています。また、同アカウントでは寄せられたコメントに対しても丁寧に返信。また、「伝えたいことがたくさんあります」との返信も見られることから、Threadsを通して顧客にブランドとしてのメッセージなどを伝えていく姿勢を持っていることがわかります。Threadsには、Instagramでのコミュニケーションよりももう少し踏み込んで、自分たちの考えや思いをのべ、深い顧客との関わりや関係性を築いていくことができる可能性がありそうです。
事例②WEGO
WEGOのThreadsアカウントでは、投稿していく内容について、ユーザーに意見を求めるコミュニケーションを取っています。同アカウントでは「ここだけの情報を見せたい」という意思を示しながらどんな投稿が見たいのかを絵文字で答える質問を投げかけ、答えを募集。今後のアカウントの運用の方向性について、ユーザーと意思疎通を測りながら運用しています。新しいサービスのため、手探りで運用を始めるアカウントがほとんどであると考えられますが、このようにフォロワーと会話を行いながら投稿内容やアカウント設計を進めていく方法も良いでしょう。
事例③ことりっぷ
旅行情報メディアのことりっぷも、Threadsのアカウントを開設。旅の情報やメディアに掲載されている内容を投稿しています。Instagramでも同じようにメディアの内容を投稿していますが、リンク投稿はできないため、本文の中でプロフィールに掲載されているURLからストーリーズへの移動を促しています。しかしThreadsはリンク投稿が可能となっているため、ダイレクトにメディアへの導線を置くことができています。Threadsの特性をしっかりと活かした運用事例です。
事例④Sephora
コスメ専門店のSephoraのThreadsでは、運用初日から既にフォロワーとカジュアルなコミュニケーションをとっています。
Threadsの活用を始めた初日の最後には、新しい1日を労いながらフォロワーに対して「What little treat will you pick up for yourself?(自分に小さなご褒美あげるなら何にする?)」という質問を投稿。寄せられたコメントに対しても積極的にリプライを行い、フォロワーとの交流に取り組む様子が見られました。
Threadsの「会話を楽しむ場所」であるというコンセプト通りの運用を行なっている事例です。
Threads活用のポイントとなってくる「会話量」
ここまで、Meta社の新サービス・Threadsについて見てきました。 同社が明言しているように、現在は初期バージョンということで、今後段階的に機能の拡充や仕様変更が行われていくと予想されます。
そんな状況ではありますが、Threads活用のポイントを現段階でひとつあげるとするならば「会話量をいかに増やすか」ということではないでしょうか。
例えば、Threadsのタイムラインにはフォローしていないおすすめ投稿が表示されますが、フォローしているアカウントが自分のフォローしていないアカウントの投稿にコメントした場合、コメントした元の投稿そのものが表示されることもあるようです。これは、自分たちの投稿からフォロワーとの会話が生まれれば、そのフォロワーの周辺のフォロワー以外のユーザーに自分たちの投稿を届けることが可能であることを示しています。さらにThreadsは前述の通りタイムラインから気軽にフォローを行うことができる仕組みとなっています。よって、会話を増やしてたくさんのユーザーのタイムラインに投稿が表示されればそれだけフォロワーを獲得するチャンスが増えると予想されるのです。
そもそもThreads自体、「会話」が生まれる場所というコンセプトを掲げ、現時点でDM機能を持たずにサービスが公開されています。このことからも、同サービスがDMのように親しい人と1to1のコミュニケーションを行うというよりは、Threadsのなかで活発な会話が生まれることを望んでいると捉えることができます。
また、Threads(スレッズ)は「相互運用可能なネットワーク」を目指していると公言しています。これは例えばThreads以外の互換性のアプリでThreadsアカウントの運用が可能になる未来がくることを示しています。その結果、これまでのプラットフォームで分断された形とは異なる、新しい繋がりを作ることができるプラットフォームとして注目されているのです。
そして、「近い将来、興味・関心のあるスレッドやクリエイターを発見するための新機能をいくつか追加する予定です。これには、フィードのおすすめの改善や、トピックとトレンドをリアルタイムでフォローしやすくするための検索機能の強化が含まれます。」と発表されていることからも、今後の動向には要注目であると言えるでしょう。Threadsの機能面でのアップデートに注目しながら、ユーザーからの使われ方にも着目し、活用可能性を探っていくことが求められそうです。