日頃の業務で何気なく使っている専門用語。でもその言葉の意味、ちゃんと理解して使っていますか?
ソーシャルメディアマーケティングラボが、なんとなく分かっているつもりでも、実はよくわからなくて「もやもや」している?!今さら人に聞くのはちょっと恥ずかしい、ウェブマーケティング用語を分かりやすく解説します。
用語説明
ソーシャルグラフ(Social Graph)
ウェブ上における人間の相関関係、またはその結びつきの情報のこと。ソーシャルグラフの「グラフ」はグラフ理論におけるグラフ、すなわち「点と点の結合関係」のことであり、統計・関数の棒グラフや折れ線グラフなど、視覚的に描かれた図とは区別される(kotobankより)。
2007年に米国人プログラマーBrad Fitzpatrick氏が、“Thoughts on the Social Graph”という論考の中で、ソーシャルメディアの相互運用を促進させるための概念として提唱、その後Facebook、Twitter、mixiなどのソーシャルメディアの普及により、日本でもマーケティングにおける重要なキーワードとして知られるようになった。
インターネット上で「リアルのつながり」が生まれる
ソーシャルメディアの普及により、インターネット上に「人間関係」や「人と人とのつながり」が生まれるようになりました。
Facebook、Twitter、mixiなど、それぞれのプラットフォーム毎に、「つながり方」の特徴の違いはありますが、その中でも特にFacebookのインパクトは大きいものと言えるでしょう。それまで匿名性が当たり前だったインターネット上に、「実名登録の原則」を持ち込むことにより、インターネット上に実際の「リアルな人間関係=ソーシャルグラフ」を構築することを可能にし、極めて実社会に近い関係性の保持とコミュニケーションの実施を実現したためです。
Facebookは、自身のミッションを「to make the people more open and connected(=人々につながる力を与え、よりオープンにすること)」としていますが、まさに、実名制の原則によって、インターネット上でより人と人がつながりやすくなり、現実の世界でのコミュニケーションにも、従来とは異なる変化が生まれていると言えます。
皆さんも、ソーシャルメディア、特にFacebookの普及により、それまでなかなかコミュニケ-ションを取る機会がなかった人とのつながりが生まれたり、周囲の人の間でも、日々のコミュニケーションに変化が生まれる経験をしているのではないでしょうか。
「小さなグループ」へのアプローチがカギ
元Googleのユーザー体験(UX)担当者で、現在はFacebookに勤務しているPaul Adams氏の著作「Grouped」では、リアルな世界での交友関係について、以下のような構成が平均とされています。
- 5人:家族・親友などアドバイスをくれたり、困った時に助けてくれる最も大切な人
- 15人:社会学で「シンパシー・グループ」と呼ばれる、居なくなると喪失感を感じる人
- 50人:近況を把握している程度に交流している人
- 150人:心理学的に脳の限界だとされる、いわゆるダンバー数
- 500人:「Weak ties(弱いつながり)」と呼ばれる、会ったことがあってもそれほど親しくない人。
人生ではもっと多くの人と出会うかもしれないが、名前で個人を認識出来るのは500人程度が限界。
さらにこの交友関係の中には、自分を中心とした共通項で繋がり、それぞれが独立した10人以下のグループが4つから6つ存在するとされています。例えば、家族・親戚関係、職場関係、学生時代の交友関係、趣味のサークルなどが挙げられるでしょう。
Facebookは、まさにこのようなリアルのつながりをインターネット上で実現しています。リアルと比べると規模が小さく、限定されたものとはいえ、そこでの会話が多く行われれるようになった今、企業のマーケティングには、「だれにでも通用するようなメッセージの発信」だけではなく、「少人数の仲良しグループ」の間で話題になるようなコンテンツ発信の重要性が増していると言えます。
「友達」の情報は92%の人が信頼している
マーケティングにおいて「ソーシャルグラフ」へのアプローチが求められている背景には、インターネットやモバイルの普及による情報過多により、従来型のマスマーケティングのように消費者を大きな括りの中で分類し、傾向をとらえるだけではニーズを満たすことができなくなっている現状があります。また、経済が成熟することでより消費行動が複雑になっていること、また、消費意欲そのものが減退傾向にあり、製品クオリティーや価格だけでは購買意欲を刺激することが難しくなっていることも挙げられるでしょう。
このような中、消費行動に大きな影響を及ぼすとされているのが「ソーシャルグラフ」で話題になること、つまり知人からのお勧めやクチコミです。少し前の調査にはなりますが、2011年のニールセン発表によると、テレビ広告を信頼すると答えた人は全体の47%にとどまった一方で、知人からのお勧めを信頼すると答えた人は92%にも上ったそうです。
これからのマーケティングにおいて、ソーシャルグラフの存在をきちんと認識し、それぞれの「小さなグループ」に合った緻密なアプローチを行っていく重要性は、ますます増していくと考えられます。
イラスト:速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、
デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。
広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ