こんにちは、SMMLab研究員の藤田です。
ソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)に積極的に取り組まれている企業の担当者に、現場でのSMM活動の実際についてお聞きするインタビューシリーズ【企業担当者に聞くSMM最前線】。今回は、250年の歴史を誇る世界的な名門ワイングラスブランド「リーデル」を展開するRSN JAPAN 株式会社で、マーケティングを担当する西村敏雄氏に、Facebookを中心としたSMMの運用についてお聞きしました。

ーーまずは、「リーデル」ブランドのPR活動に関して、ソーシャルメディア活用開始以前はどのような取り組みをされていらっしゃいましたか?
西村:やはり広告出稿が主流だったと思います。以前は色々な媒体に幅広く出稿している時期もありましたが、最近は広告予算の都合もあり、ワイン専門誌を中心にターゲットを絞った媒体のみに出稿していました。
ーーそれでは、SMMに取り組まれる段階では、一般的に幅広く訴求するPR活動は一旦止まっていたということでしょうか?
西村:そうですね、まとまった予算が必要となるところでは、止まっていたと言えると思います。
ーーSMMに取り組まれようと思われたきっかけは?
西村:海外の本社からの提案という事もありましたが、コストをかけずに全国のお客様にアプローチ出来るのではないかと考えました。実際にそこへリーチするのは大変だということは、やってみてわかったんですけれども(笑)その当時は、限られた予算の中で出来る事としては非常に魅力的に感じられて、まずは始めてみようかと。ちょうど映画があって(注:Facebookを題材とした映画「ソーシャルネットワーク」)、Facebookが注目され始めていて、今始めればそれなりの効果が見込めるんじゃないかという仮説の元にスタートしたという感じです。(注:リーデルのFacebookページ開設は2011年3月初旬)
ーーSMMというとまずはブロガーマーケティングから始める企業が多い中で、なぜ最初にFacebookに取り組まれたのでしょうか?
西村:Facebookは海外経験(旅行・留学・転勤・出張など)があるユーザーが多く、リーデルのブランド認知度やワインに対する興味関心が高いターゲットへの、アプローチが可能であるという仮説を元に導入を決定しました。実際に運用してみて出て来た数値でも、それは実証されています。
ーー西村さんがご担当になられた社内でのきっかけというのは?
まずマーケティング部がやることなのかなというのはなんとなくありました。その中で僕が、パソコンだったり、iPhoneだったり、いわゆるガジェット的なものが好きでよく使っているということがあって、「デジタル」な感覚にスッと入っていける素地がある世代なんじゃないかと思われたみたいですね(笑)
ーー西村さんご自身はそうした素地があると感じていらっしゃいましたか?
西村:全然(笑)現在はマーケティングを担当していますが、キャリア的にはあまり一貫性がないんです。大学を卒業してしばらくは、海外を放浪していた時期もありますし、帰国してからは ITサプライ専門商社のマーケティング、レコード会社のA&R(アーティストの発掘・契約・育成、楽曲の発掘・契約・制作、さらに企画、宣伝に至るまでレコード会社の業務全般に関わる責任者)を経て、リーデルに入社しました。
ーーグローバルなコミュニケーションの感覚はそうしたご経験によるものでは?
西村:自分では何とも言えませんが、経験が役に立っているとは思いたいですね(笑)
ーーご自身がSMMの担当者に指名された時、内心どう思われましたか?
西村:SMMだけに専念出来れば、ちょっと面白そうだなと言う気はしましたが、様々な業務がある上にソーシャルメディアもということになると、やりがいと大変さを同時に感じる複雑な心境でした。
ーーやはりSMMを運用するのは手間がかかって大変だと思っていらしたということですか?
西村:そうですね。実際始めてみても最初はやはり大変でした(笑)今は運用も落ち着いて来て、チームのメンバーと分担したり、執筆等はほとんどお任せしているので、負担は大分減ってきていますが、それでもやはり、全体の状況をみたり、確認したりすることを含めて、トータルで見ればそこそこの時間がかかっています。
ーー現在はどのようなチームでご運用されているのですか?
西村:私の他にPRから1名、グラスの専門知識をもったワイングラス・エデュケイターが3名の5名体制で運用しています。Facebookページで紹介しているブログ記事や、ニュースやセミナー・イベント情報の投稿は、主にワイングラス・エデュケイターの3名が執筆してくれています。
ーー運用をチーム分担していることで感じる難しさはありますか?
西村:今のところ内容面で困るということはあまりないですね。運用開始前には関係部署の担当を全て集めマーケティングチーム主導のミーティングを持ち、同じ方向性を持って動けるようにしました。今でも必要な時は関係部署を横断したミーティングを持つようにしています。
ーー複数の関係部署の担当者を一堂に会したミーティングを持つというのは、なかなか難しい事なのではないですか?
西村:確かに会社の規模がそれほど大きくないからこそ出来る事かもしれませんね。しかし、スタッフが限られる中で多岐にわたる関係部署の連携が求められるからこそ、社内一丸となってという感覚を持てているのかもしれません。
ーースタッフ向けのソーシャルメディアポリシーのようなものはおありですか?
西村:今のところはホントに簡単なもので、誹謗中傷しないとか守秘義務を守るとか、内容的な部分で言えばグラスやワインの話題から外れないなど基本的なことだけだったんですが、最近ではそれだけだと逆に「どこまで」の判断が難しく、やり辛いとの声も上がって来ているので、もう少し詰めたものを作らないといけないとは感じています。
《次回へ続く》
前半はSMM取り組みのきっかけと運営体制を中心にお聞きしました。後半はSMMに対する評価に関してお聞きします。次回もお楽しみに!
後半記事:【企業担当者に聞くSMM最前線】リーデル(RSN JAPAN 株式会社) 西村 敏雄氏(2/2)
———————————————————————–
西村敏雄氏 プロフィール
RSN JAPAN 株式会社
マーケティング&ウェブ担当
RIEDEL リーデル公式サイト http://www.riedel.co.jp/
RIEDEL Facebookページ https://www.facebook.com/riedeljapan
インタビュアー :藤田 和重(アライドアーキテクツ株式会社 SMMLab)