老若男女を問わず、幅広いユーザーが利用するLINE。2022年6月末時点で国内MAUは9,200万人超、人口の約7割(※1)をカバーするほどメッセージインフラとして定着、企業・店舗においても、顧客との1対1の関係を深めるためにLINE公式アカウントの活用がますます進んでいます。
本記事では2022年以降、LINEがどのような新メニュー追加やアップデートを行ってきたのかをまとめてご紹介します。
企業のLINE担当者の方は、ぜひ今後のマーケティング施策のヒントにしてみてください。
(※1)LINE Business Guide_202207-09
https://www.linebiz.com/sites/default/files/media/jp/download/LINE%20Business%20Guide_202207-09.pdf
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LINEは“スーパーアプリ”としてさらなるユーザー利便性を拡充
2022年のLINEのサービスアップデートについて、大まかな傾向を解説します。
企業・店舗向けにはプラットフォームの外部拡張が進んだ
LINEと、外部サービス・メディア等との連携がますます広がっています。例えば「ふるさと納税」プラットフォームや、グルメメディアとの連携といった動きが新たに見られました。
ユーザーはLINEを入口としてより多種多様なサービスを手軽に利用でき、企業・店舗側は、今までリーチできていなかったユーザー層に新たに接触できるチャンスが広がりました。
LINEのプラットフォームを外部へ拡張することで、さらなるユーザー利便性向上を図りつつ、企業が参画する意義も高まっていることが伺えます。
また広告機能においては、各企業がLINE上で取得した1st Party Dataを広告配信にそのまま活かすことができるよう、アップデートが行われました。
ユーザー向けには生活に寄り添う多様なサービスが追加された
ユーザーの立場で見ると、より日々の生活に寄り添う多様なサービスが追加され、いわゆる「スーパーアプリ」として、さらなるサービス拡充が進んでいることが伺えます。
<例>
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【2022年版アップデート情報はこちら!】
▶【2022年最新版】LINEの新機能・新サービス&アップデートまとめ
【2021年版はこちら!】
▶LINEの新機能・新サービス&アップデートまとめ【2021年総ざらい】
企業・店舗向け LINEの新機能・サービス
企業・店舗のLINE担当者に向けたアップデート内容をまとめて紹介します。
①LINE広告のCV計測・最適化の精度向上に期待「LINE Conversion API」
2022年9月から「LINE Conversion API」の提供が開始されました。これはLINE広告運用担当者に関係の深い内容です。
以前は、広告主が自社で保有するデータ(1st Party Data)をLINE広告で利用したい場合、「LINE Tag」を通じてLINE側のサーバーに連携する手法が主流となっていました。
新たにリリースされた「LINE Conversion API」を活用すると、1st Party Dataを広告主のサーバー経由で直接LINEに送信することが可能になります。
LINE広告のコンバージョン計測や最適化の精度向上が期待できます。
【LINE広告運用のプロ、ソウルドアウト社に聞く!LINE広告活用事例】
▶https://smmlab.jp/article/soldout_linead_interview/
②LINE公式アカウント・LINE広告について学べる「LINEキャンパス」がオープン
2022年2月、LINE公式アカウントやLINE広告について学べる「LINEキャンパス」がオープンしました。
企業・店舗として公式アカウントや広告に取り組みたいと考えているものの「どう運用したら良いかわからない」「やりたいことがあるのに実現方法がわからない」といった声も多いよう。そこで、企業担当者がLINEのビジネス活用について学べる無料のオンラインコースが創設されました。全27コース、約90を超えるレッスンから自分のスキルレベルや目的に合うものを選択し、学ぶことができます。
LINEキャンパス
▶https://campus.line.biz/
▶LetroStudio、「LINE広告初期設定代行サービス」のクリエイティブ制作ツールに採用
LINEでは、WEB広告初心者でも安心してLINE広告の出稿・運用をスタートできるように、LINE広告の運用に長けた専門スタッフが初期設定を実施する「初期設定代行サービス」を提供しています。
この度、LINEの専門スタッフが「初期設定代行サービス」を利用する広告主の画像制作を行うクリエイティブ制作ツールとしてLetroStudioが採用されました。
詳しくはこちらをご覧ください。
▶https://www.aainc.co.jp/news-release/2022/02445.html
③LINE公式アカウントの自動応答が可能に
LINE公式アカウントにおいて自動応答が可能になりました。「応答メッセージ」と「AI応答メッセージ」という機能です。
・「応答メッセージ」
友だちがLINEでメッセージを送ってきた際、自動返信ができます。
この機能を活用するには、友だちのメッセージに含まれる特定のキーワードに対して、返信内容を事前に設定しておく必要があります。例えば「営業時間」「電話番号」など自動返信できるようあらかじめ設定しておけば、問い合わせの負担を軽減、営業時間外や定休日でも、ユーザーを待たせること無く対応が可能になります。
・「AI応答メッセージ」
友だちがLINEでメッセージを送ってきた際、その内容をAIが判別し、適切な内容を自動返信します。「一般的な質問」「基本情報」「業種カテゴリー別」「予約」というカテゴリーに対応可能で、管理画面からあらかじめ設定の必要がありますが、テンプレートを活用できるので手軽にAI自動応答の体制づくりができます。
カテゴリー | 質問タイプ |
---|---|
一般的な質問 | あいさつ、使い方、お礼、応答不可、クレーム、お問い合わせ |
基本情報 | 営業時間、予約、支払い、予算、住所、最寄り駅、Webサイト、電話番号、Wi-fi、コンセント、座席、禁煙・喫煙、駐車場 |
業種カテゴリー別 | 選択した業種に合わせて質問タイプが変更されます。 業種カテゴリーの選択画面で質問タイプの確認が可能です。 |
予約 | 予約、キャンセル、変更、遅れ |
【デジタル販促で来店客数&店頭売上アップにつなげよう!】
▶https://smmlab.jp/article/digital-sales-promotion-solutions-and-case-studies/
④「LINEで予約」、グルメメディア「ヒトサラ」と連携
LINEで飲食店予約ができる「LINEで予約」のサービスが、2022年9月からUSEN‐NEXT GROUP運営のグルメメディア「ヒトサラ」との連携を開始しました。
「LINEで予約」は他にも「ぐるなび」「PayPayグルメ」といったグルメメディアとも連携体制を取っていて、累計35,000店舗を超える飲食店の予約が可能、ユーザーはLINE上で手軽に飲食店を検索し、そのまま来店予約ができます。
LINE公式アカウントを運営している飲食店にとっては、これまでリーチできなかった新たなユーザーとの接触・集客を期待できます。
[参考]「LINEで予約」、新たにグルメメディア「ヒトサラ」との連携を開始
【外食業界・飲食店のLINE活用】
▶https://smmlab.jp/article/line-smb-day-report-for-restaurants/
⑤LINEでふるさと納税が可能に
2022年5月、LINEと、ふるさと納税ポータル「さとふる」が連携したことで、LINE上でふるさと納税が可能になりました。
各自治体にとっては、寄付を行ったユーザーに対して「寄付金の活用報告」など、次年度も寄付を継続していただくようなコミュニケーションをLINE上で積み重ねていくことが可能に。
今後は「オンラインで寄付の手続きを行って、返礼品を受け取る」という従来のふるさと納税のフローに留まらず、訪問先で寄付申し込みをするとその場で各種アクティビティなど「体験型ふるさと納税」の提供など、各自治体とユーザーのつながりを深めるサービス拡張も検討されています。
⑥LINE公式アカウントの料金プランを改定
企業・店舗が運営する「LINE公式アカウント」の料金プランが改定されます。
2022年10月31日に発表、改定は2023年6月からです。
友だち数が多く個別メッセージ送信件数が多い企業・店舗では、上位プランに切り替えることで送信件数を増やすことができます。
新料金プラン | |||
---|---|---|---|
コミュニケーションプラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
月額固定費 | 0円 | 5,000円(税別) | 15,000円(税別) |
無料メッセージ | 200通 | 5,000通 | 30,000通 |
追加メッセージ | ✕ | ✕ | 〜3円/通(税別) |
現行料金プラン | |||
---|---|---|---|
フリープラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
月額固定費 | 0円 | 5,000円(税別) | 15,000円(税別) |
無料メッセージ | 1,000通 | 15,000通 | 45,000通 |
追加メッセージ | ✕ | 5円/通 | 〜3円/通 |
⑦2023年3月「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」を提供開始
2023年3月から、LINE/PayPay/Yahoo!ショッピングの提携が始まる予定です。
このサービスはまず、「店舗&EC」の両方を構える企業のLINE担当者に大きく関係すると言えるでしょう。
要点は、オンライン(Yahoo!ショッピング)の購買データと、オフラインでの購買データ(実店舗でのPayPay利用データ)を統合し、そこへLINEも連携して「OMO(Online Marges with Offline=オンラインとオフラインの統合)」が実現することです。
オンライン・オフライン双方の購買データを元に、LINE上でユーザーの趣味嗜好に応じたメッセージ送信など、新たなマーケティング施策の可能性が広がります。ユーザーのニーズ・好みに合ったアプローチを日頃から積み重ねていくことで、LTV向上・ロイヤルカスタマー育成も期待できます。
この取り組みが徐々に定着・拡大していけば、例えば「オフライン店舗+LINE公式アカウント」の運営のみの企業でも「LINEとPayPayが連携しているなら、レジにまずPayPayを導入・推進したほうが、ユーザー利便性が高まるのでは」「店舗に付随して物販ECを始めたい。LINEとYahoo!ショッピングが提携しているなら、Yahoo!ショッピングに出店したほうがユーザー利便性が高まるのでは」といった発想も、具体的に膨らんでいきそうです。
[参考]オフラインとオンラインを横断したマイレージ型の販促プラットフォーム 「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」を来春提供開始 | ニュース | LINE株式会社
ユーザー向け LINEの新機能・サービス
ここからは、ユーザー向けのアップデート内容をまとめてお伝えします。
①「LINE NEWS」のデザインを大幅リニューアル、 一人ひとりの興味に最適化
2022年12月、LINEニュースのUIデザインが大幅にリニューアルされました。まずはLINE NEWSユーザーの約20%にあたる約1,500万人に向けて「タイムライン型」に変更。2023年春ごろに全面移行を目指すとしています。
配信されるニュースの内容も、AIを活用しユーザー一人ひとりの興味関心に合わせて最適化されています。
②「LINEレシート」で食品や日用品の価格比較機能を提供
LINEプラットフォーム内には、レシート管理ができる「LINEレシート」という機能があります。スーパーやドラッグストア等で買い物をした後、レシートを撮影してアップロードするだけで支出管理ができるサービスです。
このサービス内に蓄積されたレシート情報を活用し、食品や日用品の価格比較ができる「ショッピングサポート」という機能が2022年12月から先行提供されています。
「近隣店舗をあちこち巡って価格比較をするのは面倒」「どの店で買うのがお得かわからない」といったユーザーの不便を解消し、日常の買い物をよりスマートにサポートする機能です。
③「LINE NFT」、スタンプ付きNFTを提供開始
LINEプラットフォーム内には、「NFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)」のマーケットプレイス「LINE NFT」があり、簡単な手続きを踏むだけでLINE上でNFTの購入・取引が可能です。
今までは、保有NFTをLINEのプロフィールアイコンとして活用できる機能がありました。
2022年12月には、「LINEスタンプ付きNFT」の提供を開始。「スタンプ付きNFT」を保有するユーザーだけが、希少性の高い数量限定のLINEスタンプをトークルームで送れるというものです。
LINEでは、NFTが日常生活の中で身近に感じられる世界を目指して、人気クリエイターとのコラボなど、さまざまな試みを続けています。
④オンライン診療「LINEドクター」、処方薬の配送サービスを開始
LINEプラットフォーム内に「LINEドクター」というオンライン診療サービスがあり、LINE上で診療予約、無料ビデオ通話での診療、決済まで完結できます。
2022年12月から、全国を対象に処方薬の配送サービスもスタートしました。LINEで医師の診療を受け、薬局まで処方薬を受け取りに行くことなく、自宅まで配送してもらえます。
現状、主な取り扱い薬は以下のようにアナウンスされています。
[引用]皮膚科の薬・鼻炎の薬・ニキビの薬・高血圧の薬・風邪の薬・便秘の薬・低用量ピル・AGAの薬
[引用元]オンライン診療「LINEドクター」 処方薬の配送サービスを全国エリア対象に本日より提供開始 | ニュース
今後、対応医療機関、対応する処方薬、薬局との連携などを拡充していく見込みとのことです。
⑤LINE経由の行政手続きで、マイナンバーカードによる本人確認が可能に
全国の自治体で、LINE公式アカウントを開設する地域が増えています。その数は2022年8月時点で1,200と、全国の7割近くに達しています。(※1)
そこで「LINE Pay 公的個人認証サービス」を提供開始。居住自治体がこのサービスを導入していれば、住民はマイナンバーカードとスマホだけで簡単・確実に本人確認をして、各種行政手続きを完了させることができます。
想定される活用シーン
※居住自治体が「LINE Pay 公的個人認証サービス」を導入済みの場合
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⑥AI音声認識アプリ「CLOVA Note(クローバ・ノート)」 を無料提供
LINEは独自のAI「LINE CLOVA」の開発を行っていて、生活やビジネスにまつわる煩わしさの解消を目指しています。
その取り組みの一環で、スマホ・タブレット向け音声認識アプリ「CLOVA Note(クローバ・ノート)」の無料提供を2022年5月から開始しました。
例えば会議や打ち合わせなどの場面で「CLOVA Note」のアプリを立ち上げて会話を録音しておくと、AIが自動で文字起こしをしてくれて、議事録作成などを手伝ってくれるという便利なサービスです。
まとめ:LINEはユーザーニーズの細分化・多様化に対応
老若男女問わず、多くの人が日常生活の中で活用するLINE。単なるメッセージアプリ、ビデオ通話アプリというだけに留まらず、そのサービスの全体像は日々どんどん進化を遂げています。
昨今、「多様性の時代」といったフレーズを、ニュースをはじめ各種メディアでよく見聞きします。LINEの直近のサービスアップデート傾向を見ても、まさに「多様化するユーザーニーズに対して細やかに応え続けている」といった様子が伺えます。
企業・店舗のLINE公式アカウント運用担当者の方も、LINEプラットフォーム全体の変化傾向をまずは理解することが大切です。ユーザー宛てにアプローチする際にも「ニーズにできるだけ、細やかに対応するには?」「どのようなコミュニケーションを取れば、ユーザーの立場で喜ばれるか?」といった視点で考えてみると良いでしょう。