後編_Pinterest

Pinterestでは2022年6月から日本における広告事業がスタート。Shopifyとの連携や「プロダクトAPI」の提供など、ビジネスにおけるPinterest活用は本格化しています。
今回も前回に引き続き、Pinterest Japanビジネスマーケティング統括責任者の石井恵子氏にインタビュー。企業がPinterestを活用するためのポイントや事例についてお話いただきました。

日本においてもPinterest活用で成果をあげる企業が増えている

ー前回はPinterestというプラットフォームの特性や企業活用におけるメリットについてお話いただきました。ここからはもう少し具体的に企業のPinterest活用についてお伺いしたいと思います。今年の6月には日本における広告事業がスタートしましたね。

石井氏:
はい。日本では長期的視点で、日本のユーザーに適し、かつパーソナライズされた体験を提供できるよう時間をかけてサービスの向上に力を入れてきました。Pinterestで広告出稿を開始したいという国内外の広告主様からの高いニーズと、伸長を続けるPinterestの協力なユーザーベースの双方が合致した今年、ふさわしいタイミングであると考えて6月1日より広告事業を開始しました。

ー日本の企業のご担当者からの反応はいかがでしょうか?

石井氏:
購買意欲の高いという特性をもつPinterestユーザーに対して、認知から理解促進までフルファネルでアプローチできるため、小売や消費財をはじめとした様々な企業様にご活用いただいています。

ーPinterestを活用している企業様の施策について具体的な事例がございましたら教えてください。

石井氏:
広告事業のスタート以前からPinterestをご活用いただいていた企業事例では、住宅の施工資材を扱うToolbox様の事例があります。
同社ではリッチピンの一つであるプロダクトピンを活用しています。

ープロダクトピンというのはどういった機能なのでしょうか?

石井氏:
プロダクトピンは商品について通常のピンよりより詳しい情報を表示させることができる「リッチピン」の一つです。プロダクトピンを利用すると、そのピンで表示している画像の商品名、価格、在庫情報、商品詳細を表示させることができ、また画像やボタンをクリックするとそのままECサイトの商品ページへと遷移することができます。

ーPinterestで出会ったインスピレーションからダイレクトに購買へと促す導線なんですね。

石井氏:
その通りです。消費購買行動に積極的なPinterestユーザーに対して、そのままダイレクトにコンバージョンへと促すことのできるプロダクトピンはPinterestの強みと特徴を活かした機能の一つです。実際、Toolbox様では、プロダクトピンの活用前後でPinterest経由の売上が3倍に成長しています。
「商品を探しているけれどまだブランドは決まっていない」購買意欲の高いPInterestユーザーにリーチし、インスピレーションを与えながらそのまま購入へと繋げることに成功している事例です。

プロダクトピン
ToolboxのPinteretアカウントプロダクトピンを利用したピン(左)。画像をクリックすると同社のECサイトの該当商品のページ(右)へと遷移する。

ーありがとうございます。その他はいかがでしょうか?

石井氏:
インテリアショップのトコライフ様も2019年からPinterestを利用し、画像や動画などの自社コンテンツの発信に取り組んでいらっしゃいます。
同社の取り組みで特に注目したいのは動画ピンの利用です。昨今様々なプラットフォームで動画化が加速するなか、Pinterestでもユーザーの動画視聴回数は伸びています。特に、動画ピンは現在ビジネスアカウントのみが作成可能なピンで、インスピレーションを求めているユーザーに対し、商品やサービスの使い方や使用イメージを的確に訴求できる機能となっています。

ー動画で訴求することで、より具体的に商品の利用イメージや購入後の生活が想像できてそれが購買の後押しになっているんですね。

石井氏:
はい。実際、同社では2020年動画に注力してPinterest活用をすすめ、前年と比較して閲覧者や流入が2倍以上に増加しました。また、他のプラットフォームと比較しPinterestはCV率が2倍以上という結果もでています。

TOCO LIFEの公式Pinterestアカウント(@tocolife)で投稿された動画コンテンツの一例。「ルームツアー」というボードに保存された動画コンテンツは、インテリアコーディネートのヒントを動画でわかりやすく伝えている。

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石井氏:
また、広告キャンペーンでは消費財系(化粧品、食品、飲料など)の企業様からコマース系の企業様まで、幅広い規模のビジネスでPinteretをご活用いただいています。

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企業のPinterest活用で大切にしたいポイントとは?

ー企業がPinterestを効果的に活用するためのポイントについて教えてください。

石井氏:
ポイントはいくつかありますが、まず一つ目は「ビジネスの目標を明確にする」ことです。Pinterestはフルファネル、認知から購買までありとあらゆる段階の顧客にリーチできることがメリットのプラットフォームです。そのため、ユーザーの興味を引きつけて認知を獲得したいのか、商品購入後の生活を想起させて購入イメージをもたせたいのか、はたまたPinterestからダイレクトに購入へ結びつけたいのか、などビジネスの目標によってアプローチの仕方も変化します。Pinterestではその段階に合わせた様々な機能を提供しているので、目標を明確にしてそれに適したアプローチをすることが大切なのです。

アイデアアド
2022年6月にリリースされた「アイデアアド」機能も豊富な機能のひとつ。クリエイターが作成した、スポンサー企業をタグ付けしたタイアップコンテンツの「アイデアピン」を広告として配信することもできる。
画像引用:新たな形でインスピレーションを提供する広告主やクリエイター向け機能「アイデアアド」を導入

石井氏:
同時に、「顧客を知り、インサイトを把握」することも重要です。自分たちのブランドや商品に興味をもってくれそうなオーディエンス像を知ることで誰に対して情報を届けたり広告を配信すべきなのかが明らかになります。そしてPinterestのインサイト機能を利用して、オーディエンスがPinterest上で何を検索しているのかを把握することで、オーディエンスが興味を引くコンテンツを把握し、オーガニック投稿や広告クリエイティブの作成に活かしていくことができます。

オーディエンスインサイト
オーディエンスインサイトはビジネスアカウントを取得することで閲覧が可能。アカウントのコンテンツにエンゲージしたユーザー=オーディエンスの属性を調べたり、Pinterest全体のユーザーとの比較などを行うことができる。

石井氏:
また、認知、比較検討、コンバージョンと様々なステージにいるユーザーにリーチできるPinterestでは、それぞれのファネルでユーザーにリーチするため多様なコミュニケーションをとることがパフォーマンスの向上に繋がります。認知獲得目的だけ、コンバージョン目的だけ、とコミュニケーションを限定的にするのではなく、ユーザーの心理状況や段階にあった訴求を包括的に実施することで、最終的に売上を作っていくことができるのです。

ユーザーと企業双方が満足する購買体験が生まれるプラットフォームでありたい

ー今後の機能追加やアップデート予定についてお話できることがあれば教えてください。

石井氏:
弊社では、毎年年末に、ユーザーの検索動向に基づいた翌年のトレンドを予測するレポートである「Pinterest Predicts」を発表しており、今年も例年通りこちらを発表する予定です。
「Pinterest Predicts」は「未来志向で日々の暮らしをよくするために、意欲的にアイデアや商品を求めて利用するユーザーが多い」というPinterestのユーザー特性を活かしたレポートであり、過去2年のレポートでは発表したトレンドが平均して80%ほど当たったという実績もあります。

人々が次にどんなことに挑戦しようとしているのかについてのユニークなインサイトや、そこから見える未来のトレンド情報をご提供することで、企業の皆さまにはユーザーが求めるものに合致したインスピレーションの発信にお役立ていただければと思っています。

Pinterest Predicts2022
昨年末発表された「Pinterest Predicts2022」レポートの一部。ビューティーやインテリアなどジャンルごとにトレンドが予測されている。

ー特に力をいれていきたい点や、今後取り組みたい施策についてはございますか?

石井氏:
Pinterestは購入などのアクションに繋がりやすいという強みがあります。また、ユーザーの好みを学習していく機械学習と、ユーザーの好みと似た画像を認識するコンピュータービジョンによって、それぞれのユーザーに最適な広告を表示できるという強みももっています。こうした強みを活かして、新しくユニークな広告プラットフォーム作りに力を入れていきたいです。

また、あわせてショッピング体験の向上にも引き続き注力していきます。今年6月に開始したShopifyとの連携や、小売業者をサポートする「ショッピングAPI」の提供開始はその取り組みの一部です。Pinterest自体の機能拡充にとどまらず、ECサイトの商品データとの連携を進めていくことで、これまでにない新しいオンラインでの購買体験を提供できると考えています。

Pinterest Predicts2022
「Shoping API」はPinterestでのコマースを盛り上げることをビジョンに掲げて提供を開始。カタログと商品のメタデータ管理などショッピングと計測機能の拡充を行い、効率的な商品のデータ品質の改善を目指している。
画像引用:Pinterest がショッピング機能を強化:小売業者をサポートするショッピング API とピンの商品のタグ付けを導入

ー新しいインスピレーションを得たいユーザーと、そうしたユーザーに商品を届けたいブランドを適切な形で結びつけるプラットフォームを目指しているんですね。

石井氏:
はい。Pinterestは他のSNSのようにユーザーが友人と繋がるためでなく、日々の暮らしのアイデアを求めて訪れるプラットフォームです。こうした特徴から、ソーシャルメディアではできない購入体験を提供し、ユーザーとビジネス双方にとって充実したショッピング機能や体験を提供したいと考えています。

ー最後にPinterest活用をご検討中の企業様に向けて一言お願いいたします。

石井氏:
新しいアイデアに挑戦することに前向きなユーザーが多いPinterestは、企業にとって潜在顧客に効果的にリーチし、エンゲージメントを築き、販売促進に繋げる機会として役立てていただける場だと考えています。

私たちは今後も、出会いから購入までをフルファネルで体験できるポジティブなプラットフォームを目指し、様々なアップデートを行いながら事業を拡大していきたいと思っています。ぜひ、この機会にPinterestをビジネスにご活用頂ければと思います。