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Twitter2.0の発表以降「アルゴリズムの公開」「APIの有料化」「認証済みバッジの新制度」など、Twitterをとりまく環境は大きく変化しています。
今回はそんなTwitterの主な変化について紹介し、今後の企業のTwitter活用のあり方のヒントを解説しました。

※本記事は最新・完全・正確な内容を保証するものではなく、解釈や推測が含まれます。必ず公式サイトの情報やアナウンスを確認してください。

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そもそもTwitter2.0とは

Twitter社が2022年11月に発表した同社の今後の展望を「Twitter2.0」といいます。この中で、Twitter社は自らの使命を「公共の会話を促進し、保護すること」であるという立場を示しています。

そもそもイーロン・マスク氏はかねてよりTwitter買収について「言論の自由を包括的に実現できる場」が必要という理由を掲げていました。そして同氏はCEO就任以降、この実現のために様々な変革を遂行してきています。

「Twitter2.0」はいわばその中核となるビジョンを宣言したものなのです。

イーロン・マスク氏CEO就任後の出来事をまとめた記事はこちらです
今Twitterに何が起きている?イーロン・マスク氏CEO就任後の主な出来事まとめ

Twitterアルゴリズムの公開

Twitter2.0発表の後起きた変化のなかで大きなもののひとつに「アルゴリズムの公開」があります。

<Twitterのアルゴリズムとは>

アルゴリズムとは、Twitterにおいてそれぞれのユーザーに適したコンテンツ(ツイート)を表示させるための仕組みのこと。

各SNSはそれぞれ独自のアルゴリズムを採用しており、自分たちのユーザーにアクティブにプラットフォームを利用してもらえるよう努めています。

これまでTwitterのアルゴリズムは非公開であり、Twitterをマーケティングに活用している企業は、実際の運用の中で反応率や効果の高いツイートなどを見極め、運用していく必要がありました。
今回、Twitter社はこのアルゴリズムのソースコードを公開。それらを紐解くことにより、Twitter社がどういったプラットフォームを目指しているのかを理解しやすくなります。

<Twitterのアルゴリズムの一部ソースコードが公開される>

Twitter社は、2023年3月31日に、「For You(おすすめ)タイムライン」にツイートが表示されるためのアルゴリズムについて、ソースコードを公開し、解説しました。
これによると、TwitterのFor Youタイムラインに表示されるツイートは、以下の3つの段階を経て選別されることがわかっています。

①Candidate Sourcing:様々なソースから、おすすめになり得る候補のツイートを抽出
②Rank:機械学習モデルを用い、①で抽出した候補ツイートをランク付ける
③Heuristics and filters:ツイートの閲覧状況やブロック状況などをもとにフィルタリング

つまり、Twitter上にあるたくさんのツイートの中から、①候補となるツイートを選び、②そのツイートにランクづけをし、③さらにそこからフィルタリングされたものが、ユーザーの「For You(おすすめ)タイムライン」に表示されることとなります。

また、この他にも、検索のアルゴリズムにも利用されるコンポーネントのソースコード、Candidate Sourcingで大切となる「User Signals」の説明や、「Timeline Aggregation Framework」、埋め込みスペース(Embedding Spaces)を管理する「Representation Manager」、埋め込みスペースのスコアリングを行う「Representation Scorer」のコードなど、続々とアルゴリズムに関するコードがオープンソース化されています。

Twitter社はこれからもこうしたソースコードの公開を積極的に実施する予定であると示しており、今後ますます注目が集まりそうです。

Twitterのアルゴリズムの仕組みについてさらに詳しく知りたい方へ
【2023年5月最新版】Twitterのアルゴリズムを攻略。企業のTwitter担当者が今取るべき施策とは?|echoes blog

<公開されたアルゴリズムによってわかること>

公開されたソースコードによって大まかに以下のようなことがわかっています。

①ユーザー自体にスコアが存在する

そのツイートを投稿したアカウントがどのようなアカウントであるのか、具体的には

  • 他のユーザーとのやりとりの回数や質
  • アカウント状況(作成日やフォロワー数など)
  • フォロー数とフォロワー数の比率

などによって、ユーザーそのものにスコアをつけ、それがおすすめ表示にも影響を与えていることがわかります。

参考:https://github.com/twitter/the-algorithm/tree/ef4c5eb65e6e04fac4f0e1fa8bbeff56b75c1f98/src/scala/com/twitter/graph/batch/job/tweepcred

②Twitter Blueのユーザーはおすすめされやすくなる

Twitterの有料サブスクリプションである「Twitter Blue」へ課金しているアカウントは、おすすめされる確率が高くなることもわかっています。コードによるとTwitter Blue加入アカウントは、フォロワーに対して4倍、それ以外に対して2倍スコア倍率が高くなることが示されています。

参考:https://github.com/twitter/the-algorithm/blob/main/home-mixer/server/src/main/scala/com/twitter/home_mixer/param/HomeGlobalParams.scala#L89-L103

③ツイートに対するユーザーのアクションごとに評価が変化

ツイートに対する「いいね」や「コメント」、「リツイート」などリアクションごとに、ランクの重みが変化します。
例えば、

  • そのツイートにいいねがつく:0.5
  • リツイートされる:1
  • ツイートをクリックして「いいね」かリツイート:11

といったように、ツイートに対するリアクションによって、スコアがつけられていきます。

なかでも、他ユーザーからのコメントに対して返信、いいね、リツイートなどリアクションを行うと、評価は「75」と高く評価されることがわかっています。

一方で、ミュートやブロックなど、他のユーザーから肯定的でないアクションを取られると、評価はマイナスされることも明らかになりました。

④古いツイートは時間とともに関連性が低くなっていく

ツイートのスコアは時間の経過とともに減少していき、他のユーザーに表示される頻度も低くなります。具体的には、ツイートのスコアは360分、6時間ごとに半減することがわかっています。

Twitter APIの有料化

続いて見ていきたいのは「APIの有料化」についてです。

<Twitter APIとは>

Twitter API(Application Programming Interface)とは、Twitterが提供しているサービスのひとつです。このTwitterAPIを利用することで、Twitterの多様なデータにアクセスすることができ、それを利用してサービスやプロダクトの開発が行われています。

具体的には、

  • Twitterの予約投稿、スケジュール管理
  • Twitterアカウントや投稿の分析ツール
  • Twitterキャンペーンツール
  • Twitterアカウントと連携したログイン機能
  • 各種診断系ツール

など、Twitterに関連する様々なツール、ソフトウェアがこのTwitter APIを活用して提供されており、一般のTwitterユーザーから企業公式アカウントにいたるまで、多くのユーザーに利用されてきたのです。

<Twitter社がTwitter APIの有料化を発表>

Twitter社はこれまで無料で提供してきたTwitter APIについて、2023年2月2日に有料化を発表。さらに3月30日に新しいAPIプランについて明らかにしています。

この発表によるとこれまで提供されていた「エンタープライズプラン」「ADs API」は継続。そして新たに「無料プラン」「ベーシックプラン」という2つのプランが加えられています。この新プランの発表によって、Standard (v1.1)、Essential (v2)、Elevated (v2)、Premiumを含む以前のプランは、提供終了がアナウンスされました。

Twitterの新APIについてはこちらの解説記事もご覧ください
【2023年5月最新版】TwitterのAPIが有料化。各種ツールへの影響とは?

<Twitter API有料化によって何が変わる?>

この新プランの発表以降、アクセスが停止になったといった事象が起こっていると報告されており、TwitterのAPIを利用したアプリの提供者が廃止されるプランを利用していた場合はプラン移行が求められています。

この新APIプランに関して大きな問題とされているのがレート制限。

レート制限とは、Twitter APIを利用したアプリから送られるリクエストにかけられる呼び出し回数の制限のことです。Twitterでは、日々たくさんの開発者がTwitter APIに対してリクエストを実行しています。こうした膨大な量のリクエストを管理しやすくするために、Twitterでは実行できるリクエストの数には制限を設け、APIの信頼性と拡張性を保っているのです。

新プランの「無料プラン」「ベーシックプラン」では、レート制限に細かな規定が設けられ、以前より提供されてきたプランと比較するとより厳格な内容となっていることが判明しました。また、大規模な商用向けの「エンタープライズプラン」については、Twitter Enterprise API Interest Formにて、月額42,000ドル(約560万円)からと記載されており、高額になることがわかっています。

よってエンタープライズプランを利用できるだけの売り上げ規模を持たないアプリ開発者は、自分たちの提供しているソフトウェアが、ベーシックプランでも正常に動作するかを見極めて、サービスの変更やプラン変更を行なっていく必要があります。

そのため、新プランのレート制限内で提供できないユーザー規模や機能を有する個人向けツールは、残念ながら多くがサービスの終了を選択すると考えられるでしょう。

企業のTwitter公式アカウント担当者は、自分たちがTwitter運用において利用している外部ツールについて今一度確認をしていく必要があります。

Twitter認証済みバッジの新制度

そして企業公式アカウントにもダイレクトに関わってくるのが「認証済みバッジ」についてです。

<Twitter認証済みバッジとは>

Twitter認証バッジとは、そのアカウントに対してTwitter社が公式であると証明するものです。TwitterをはじめとしたSNSアカウントでは度々、有名人や企業の「なりすましアカウント」が登場し、問題となっています。
こうしたなりすましアカウントによるユーザートラブルを未然に防ぎ、プラットフォームの安全性を保つために役立つのが、認証バッジや公式マークとなっているのです。

<従来の認証済みバッジと新しい認証済みバッジ制度>

これまで、Twitterの認証バッジは「青色の認証済みバッジ」のみでした。この青色の認証済みバッジはTwitter社がそのアカウントに対して「信頼できる」「著名である」「アクティブである」と判断したものにのみ付与されるバッジで、認証リクエストを送り、上記の条件を満たしているとみなされることで取得できました。

従来の認証ポリシーについてはこちらをご覧ください。

Twitter社は、2022年12月に従来の認証ポリシーの廃止を発表。これまでポリシーに従って付与されてきた「青色の認証済みバッジ」に代わり、

  • 有料サブスクリプションサービス「Twitter Blue」加入者に付与される青色バッジ
  • 政府や公的機関に付与する灰色バッジ
  • 企業公式アカウントに付与される金色バッジ

の3種類に分けられることとなりました。

そして、従来の青色の認証済みバッジについては、2023年3月に削除していく方針を発表し、実際に4月より削除が開始。今後青色の認証済みバッジを維持するためには「Twitter Blue」への加入が必須とし、同時に企業や公的機関に向け、灰色及び金色の認証済みバッジを取得できる「Twitter Verified Organizations」への申請受付をスタートさせました。

ただし、この青色の認証済みバッジの削除については、一部で削除されたはずの青色の認証済みバッジが大量復活している、とも報道されており、詳しい状況についてはまだ不明確なままとなっています。

<Twitter Verified Oganizationsとは>

企業や公的機関向けとして発表された「Twitter Verified Oganizations」は月額13,500円、従業員などの関連アカウント追加は1人8,000円/月で利用ができます()。

このサービスに加入すると、Twitter Blue加入者が利用できる「ツイートの編集」「長文ツイート」など全ての機能が利用できるほか、Premium Supportを受けることが可能となります。そして、関連する個人、企業、ブランドのアカウントをいくつでもリンクさせることができ、リンクされたアカウントには、認証済みマークの横に、親会社のプロフィール写真の小さなバッジが表示され、そのアカウントのアイデンティティが一目でわかるようになります。また、こうしたつながりによってTwitter上に組織内のネットワークを作ることも期待されています。

なお、金色の認証済みバッジは、月額で1000ドル以上Twitterで広告出稿を行うことでも取得することができます。ただし、Verified Organizationsの契約で利用できる機能が使えるわけではなく、今後条件は見直される可能性もあるため注意が必要です。

Twitterの認証済みバッジについて加入方法など詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
Twitter公式マーク(認証バッジ)の種類・費用まとめ。金と青の違いや申請方法も紹介

※)Twitter認証済み組織とは|Twitter ヘルプセンター

今後、企業はTwitterとどう向き合っていくべきか

ここまで、Twitter2.0に関連して行われた「アルゴリズム公開」「API有料化」「認証済みバッジ新制度」について見てきました。
Twitter2.0を掲げ、変化を続けるTwitterに、企業はどう向き合っていくべきなのでしょう。

ツールなど運用環境の見直し

Twitter API有料化による外部ツールの変更やサービス停止が予測されるなか、これを外部ツールなど、自分たちの運用環境の見直しを行うよい機会ととらえることもできます。自分たちの利用しているツールがAPIプラン移行の影響を受けているか否かを確認し、ツールの選定を行なっていく必要があります。

また、利用する外部ツールの選定については、NTTデータ社の「Twitterデータ提供サービス(インテグレーション)」を利用しているサービスTwitter Enteprise data customersサイトに記載されているツール一覧を参考にするのもおすすめです。

ツールにかけるコストも気になるところではありますが、ツールとしての実績の長さや提供元の企業規模にも注意しながら、安定的にTwitter活用ができるツールを選ぶことが大切です。

認証済みバッジを取得に動く

おすすめ(For You)タイムラインには、そのユーザーがフォローしていないアカウントからのツイートも表示されます。これは企業公式アカウントにとって新しいユーザーにアカウントを見つけてもらうチャンスでもあります。

そして、イーロン・マスク氏は、おすすめ(For You)タイムラインに表示されるツイートについて、認証済み(青色、金色、灰色マークを取得している)アカウントからのツイートのみ表示する意向を示しました。

これは、2023年4月15日より開始され、現状は「認証済みアカウントからのツイートを優先する」という着地となり、「表示されなくなる」状態ではありません。

しかし今後は、

  • Twitter Blueへ加入する
  • Verified Organizationsを契約する
  • Twitter広告を月1,000ドル以上出稿して金色の認証バッジを取得する(※今後条件が変更される可能性があるため注意)

いずれかを選択しなければ、おすすめ(For You)タイムラインにツイートが表示されにくくなり、新規フォロワーに出会うチャンスが減ってしまう可能性があります。

そもそも、企業アカウントがTwitterに認証されることは、なりすまし被害対策にもなります。

また、今後さらにTwitterの仕様変更、機能拡充により、「アカウントが認証されていないと不利益になる」、「認証されていると利益がある」といった状態になっていくものと予測されます。よって、企業公式アカウントには認証バッジ取得に動くことを推奨します。

アクティブに会話が生まれていくアカウントを

Twitter運用のKPIのひとつとしてフォロワー数を見ているアカウントはたくさんあると思います。フォロワーはTwitterアカウントから情報を届けるための基盤となるものなので、もちろんフォロワーを確保していくことは大切です。

しかし、公開されたアルゴリズムから、Twitterのスコアで高評価を得るためには、ツイートに対していいねやコメント、またそれに対する返信などアクティブな会話が生まれるツイートが高い評価を得られることがわかっています。
一方で、ツイートをミュートにされるなどマイナスなリアクションをされた場合にはスコアが大幅に低くなってしまうことも明らかになりました。

つまり、たくさんのフォロワーを集めることは大切ですが、闇雲に数を集めてもかえってツイートに対するエンゲージメントが低くなり、スコアが低くなってしまう可能性もあるのです。

よって、今後はより「どんなユーザーにフォローしてもらいたいのか」「どんなツイートをすれば会話が盛り上がり、生まれていくのか」といったような一歩その先のアクションを考えたTwitter運用が求められていきます。

また、アカウント自体がアクティブと認識されるように、Twitterのツイート頻度をあげる、ログイン時間を長くするといった工夫も有効です。

「公共の会話を促進し、保護する」をビジョンに掲げるTwitter2.0。
企業は自らのアカウントの健全性を証明しつつ、アクティブに会話が生まれる運用を行うことが、効果的なTwitter運用へつながっていく、と考えられます。