ドコモdマーケットセミナーレポート_OGP

D2Cというビジネスモデルが脚光を浴びてから業界に広く浸透し、大手企業の参入も相次ぐ昨今、D2Cブランドを取り巻く環境は日々変化しています。
多くの企業がD2Cに挑戦しその手法を取り入れている中で、商品自体の差別化・訴求の仕方、日々のマーケティング施策などに関して、日々頭を抱えているマーケターも多いのではないでしょうか?

そこで今回は「MEDULLA」「HOTARU」「Waitless」など多数のパーソナライズブランドを展開している株式会社Sparty 取締役・榊󠄀原 幸佑氏に、同社のマーケティング戦略やブランド展開、販促・体制作りなど、現場の具体的な取り組みをご紹介いただきました。

ブランド拡大戦略や、効果的なマーケティング施策を模索している企業担当者はもちろん、D2Cブランドを支援するパートナー企業にとっても有益なお話をお届けします。

※セミナー概要:
「D2C最前線 #7【MEDULLA取締役登壇】成長D2Cが描くブランド拡大戦略とは?」
アライドアーキテクツ株式会社と株式会社SUPER STUDIOが共同開催したセミナーイベント。2023年4月6日にWeb上でのライブ配信形式で実施された。

登壇者

スピーカー

榊󠄀原氏

榊󠄀原 幸佑氏
株式会社Sparty
取締役

1989年愛知県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。博報堂にて営業職を経て、近距離モビリティを手掛けるWHILLにて、営業・マーケティング・製造管理に従事。2017年10月からSpartyに参画し、現在はビジネス領域を管掌している。

モデレーター

西井氏

西井 敏恭 氏
株式会社シンクロ
代表取締役CEO 兼 オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員

株式会社シンクロを設立。株式会社シンクロでは、CMOのアウトソース事業として大手通販、スタートアップの企業など数社のマーケティングを支援したり、企業と提携してデジタル事業を協業している。現在はオイシックスのCMT(チーフマーケティングテクノロジスト)も兼任している。

1.業界になかった新カテゴリ「パーソナライズシャンプー」を生み出した「MEDULLA」

西井氏:
本日は、D2Cの中でも急成長を遂げている、株式会社Spartyの榊󠄀原さんにご登壇いただきます。

榊󠄀原氏:
Spartyで取締役をしている榊󠄀原と申します。新卒で博報堂に入社し、弊社代表の深山とは同期でした。その後、パーソナルモビリティのベンチャー企業「WHILL」でマーケティング業務に携わり、退職後、深山とともに株式会社Spartyを創業することになりました。

榊󠄀原氏

西井氏:
広告代理店のご出身で、その後に事業会社でも営業・マーケティングなどビジネスサイドの職務に携わられていたんですね。
現在、Spartyで展開されているブランドをご紹介いただけますか?

榊󠄀原氏:
パーソナライズに特化したD2Cブランドを展開しています。
パーソナライズシャンプー「MEDULLA」は、ブランド側からの質問にお客様が答えるとパーソナライズしたシャンプーとトリートメントをご提案します。
そのスキンケアバージョンが「HOTARU」で、その人に合った化粧水、美容液、乳液をお届けします。

また「Waitless」というブランドはダイエットがテーマで、その人に合ったサプリやエクササイズ動画、食事などを提案するサービスです。

Waitless

西井氏:
パーソナライズシャンプーという、業界になかったカテゴリーを新たに作り出された
ということですね。

榊󠄀原氏:
そうですね。「商品売り切り」という訳ではなく、その人に寄り添って、ケア・改善を行っていくことをミッションとしたプロダクトです。
よって、「商品」でありながら「サービス」的な要素も持っています。
一度お送りした商品についてお客様がフィードバックを行うと、次に送る商品を変更し、その人に合ったものや、季節に合ったご提案をしています。

西井氏:
お客様に長く寄り添って、常にフィードバックを生かす仕組みこそが、パーソナライズの本質ですね。

榊󠄀原氏:
弊社代表の深山も私も、化粧品畑の出身ではないのですが、創業時に「パーソナライズ」というキーワードを大きく意識していました。
例えばベンチャー業界を広く見渡すと、ニュース配信アプリの「Gunosy」さんなどは、ユーザー一人ひとりに合わせてニュースを出し分けるという取り組みをされていて。
「商品」ではなく「サービス」として捉えることもまたトレンドで、その発想から、化粧品をコアビジネスとして選び、パーソナライズシャンプーの開発に挑むことになった、という経緯です。

西井氏:
D2Cの本質的な価値とは、お客様と直接、繋がっていること
ですよね。
その中で「MEDULLA」をはじめ御社ブランドではパーソナライズな商品提案が実現し、お客様に対して新たな価値提案ができるようになった、ということですね。
ちなみに今、どれくらいの種類があるのですか?

榊󠄀原氏:
「HOTARU」の化粧品で言えば、セラム、クレンジング、ローション、モイスチャライザー の4種それぞれに対してパーソナライズを行っています。

西井氏:
それは、商品開発も非常に大変そうですね。次のセクションで、商品開発について詳しくお聞きしていきたいと思います。

2.ビジュアルから入ったことが、結果としてブランド力につながった

西井氏:
それでは、今日の本題に入ります。
「いかにブランドを拡大していくか?」に関しては、広告やマーケティング施策の話にもなりがちですが……。Spartyさんの場合、「パーソナライズ」がキーワードですよね。それを考えたうえでの製品開発についてお聞かせいただけますか。

登壇の様子

パーソナライズブランド立ち上げのキーワードは「網羅性」

榊󠄀原氏:
我々は、商品開発の言わば「応用編」からスタートしたと言えます。

創業当初は正直なところ、製品開発のノウハウが不足していて「どのような着眼点から取り掛かるべきか?」と思案していました。

そこで、シャンプーなど既に市場にあるヘアケア商品を座標軸にプロットしていく、という取り組みから始めました。

その取り組みの中では、「何を座標軸に置くか」を深く考えることが最も重要でした。具体的には、「軽い洗い上がり/しっとり」「仕上がった髪の柔らかさ/弾力」といった、お客様のヘアケアに関する志向を深掘りしていく取り組みです。なぜならば、お客様に(ヘアケアのニーズに関して)どんな問いかけをすればいいか、どんなコミュニケーションをすればパーソナライズ商品を振り分けることができるか、同時に決まっていくからです。

まずは市場にある商品を座標軸上にプロットしていき、消費者のヘアケアニーズを網羅できるように、考えていきました。

パーソナライズ製品を展開しようとする場合には、まずはこのようなアプローチから始めることをおすすめします。顧客に対してどんな質問をしていくかなどが、自ずと決まってくるからです。

キーワードは「網羅性」

西井氏:
非常に参考になります、「お客様のヘアケアニーズに関して、網羅性を見つける」というのが重要なポイントですね。

おそらく通常はどのようなメーカーも「このような商品を作れるか否か」といった話から始まり、その一方で市場ニーズを理解し、その双方のフィージビリティを考えつつ、さらに競合との差別化要素を盛り込んで、商品開発に取り組んでいると思います。

ところがSpartyさんは、そのようなものづくりのセオリーをぶっ飛ばし、いきなり応用編から入って、「網羅性」という考えをベースに取り組まれていったのですね。

代理店出身だからこそ大事にしている、ビジュアル起点の考え方

製品からではなくビジュアルから入る

榊󠄀原氏:
それから、通常のものづくりでは、商品を作ってから、ビジュアルを考えますよね。
ところが我々は、ビジュアルから作ったんです。
お客様の名前入りの英語の処方箋カード、ポンプ、グラフを配置する…といったブランドキービジュアルのイメージありきで「映えるシャンプーボトルを作ろう!」といった流れです。 これは、言わば広告代理店的な発想なのかもしれません。

西井氏:
ビジュアルから入って商品を作っている会社さんって、他に無いのでは?

榊󠄀原氏:
ところがこれ、結構大事だなと思っていて。
「MEDULLA」がうまくいった理由の一つだと捉えています。
お客様視点で言うと、スマホの画面上での見え方で買うかどうか決める側面もあって、商品そのものではなく、「映えるから」といった捉え方もあると思っています。
よって「ビジュアルでイケてるもの」を先に考えておき、後で商品詳細を詰めていく、というのも、非常に有効なアプローチだと言えます。

西井氏:
通常のものづくりとは、逆の発想から始まったということですね。

プロモーション視点から、プロダクトに逆算して作っていく考え方は非常に新しく、目から鱗という感じがします。
まさに、お客様目線から商品開発に入られたんですね。

榊󠄀原氏:
パーソナルシャンプーの世界は深掘りすればするほど、課題が次々に出てきます。
「N=1の需要があれば、取り組む必要がある」と捉えています。

榊󠄀原氏

西井氏:
私も「N=1」は非常に大事だと思っています。
一人のお客様からニーズがあって、非常に高く評価されている商品があるとします。そのインサイトを深掘りしに行くと、新たなベネフィットの発見ができたり、もっと良いものが作れて、ヒットにつながる場合もあります。

Spartyさんは既に取り組まれているかもしれませんが、アジャイル的な商品開発が非常に大事だと私は思っています。いきなり大量ロットで作るのではなく「最初は小ロットで製造し、原価割れしてもOK、マーケティングコストとして捉えれば良い」といった考え方もありなのではないでしょうか。テストマーケティングを実施して、お客様から反響が得られたごく一部の商品・サービスだけを成長させていけばよい、といったイメージで製品開発を捉えています。

榊󠄀原氏:
とにかくアイデアを数多く出して、考えていく中で不要な要素をどんどん切り捨てたり、アップデートする考え方こそが、大事ですね。

西井氏:
ソフトウェアを作るように商品を作る
のが良いのではないかと思いますね。

3.販促施策の成功例・失敗談

西井氏:
ブランド成長のプロセスで、さまざまな販促施策の成功・失敗もあったのではないでしょうか。まず、テレビCMのお取り組みの話からお伺いできますか?

スタートアップがテレビCMに取り組む場合の位置付け

TVCM

榊󠄀原氏:
テレビCMは2022年1月に1度、タレントさんを3名起用して結構、大々的にやりました。実際に取り組んでみて、学ぶべき点も多かったので、CMをいかに位置づけるべきか、という観点でお話しします。

弊社の取り組みの場合には、新規獲得への貢献は、それほど芳しくありませんでした。

しかしアフィリエイターさんに向けてブランド訴求がしやすくなり、連携が容易になりました。一般的に、CM施策を行うと注目度が上がるため、小売店への棚取りの交渉をしやすくなります。この考えは、EC・D2C、アフィリエイトの世界でも成立するな、という点が大いに学びになりました。

そして、LP上で「CM放送中!」と訴求できた点も良かったです。

西井氏:
アフィリエイターさんも、当然ながら有名かつ売れる化粧品やシャンプーを宣伝したいですよね。オンラインチャネルにおいて「棚」に近いアフィリエイターさんとしっかり連携を果たせたという点はポジティブですね。

榊󠄀原氏:
つまり、「棚取り」や「企業への信頼獲得」のようなイメージでCMに取り組むなら、一定の意味があると言えます。媒体予算は、それほど掛けなくて良いと思います。目的に応じて配信エリアを決め、限定すれば媒体費は安価になります。 そのような手法でも、タレントさんを起用して、「テレビCM放映中!」といった訴求はしっかりできます。

西井氏:
CMに「お客様からの信頼を得る」という効果を求めるなら、スタートアップなどでも結構できるんじゃないでしょうかね。
媒体費を掛けるよりもCM制作費、つまりクオリティ、中身が大事ですね。

榊󠄀原氏:
スタートアップがCMをやるなら、この考えに振り切ることをおすすめします。

LTVを上げるには「原価を下げる」

原価を下げる

西井氏:
続いて、LTVを上げる3つのポイントについてお聞かせいただけますか。

榊󠄀原氏:
LTVとにらめっこしていても数字は上がらないので、もう少し分解して考えると

  • 1.クロスセルとまとめ買いを促して単価を上げる
  • 2.継続率の引き上げ
  • 3.細部にこだわり原価を下げる

これら3つに分別されると考えています。

西井氏:
「クロスセル戦略」「継続率を上げる」というのは、よく言及されますが、「原価を下げる」ことも、非常に大事なポイントだと言えます。

榊󠄀原氏:
ところが、「原価を下げる」について言及する人が、あまりいませんよね。

「MEDULLA」では当初、シャンプーを送る箱の金額が割高でした。しかしそのままでは採算が合わないと考え、必死にさまざまな印刷会社にアプローチをし続けて、箱の原価を3分の1まで下げることに成功しました。仕様も良く、お客さまへ提供するクオリティを諦めずに取り組めることも分かりました。

数多く問い合わせをしてみるなど、実際に行動することで、最適解を見つけられるんです。
「原価を下げる」に関しては、「クロスセル戦略」「継続率の引き上げ」と同じくらい、リソースを割いて頑張るべきポイントです。

西井氏:
結構、見逃しがちなポイントですよね。一度、原材料の供給者が決まってしまうと、もうそれで「終わり」みたいになる場合も多いのではないでしょうか。でも、常に変え続ける、見直し続ける取り組みをやったほうがいいですね。

榊󠄀原氏:
「クロスセル戦略」と「継続率向上」に取り組むと、無理やり売ろうとしたり、お客様側に負担を強いる可能性もあります。その一方で「原価の見直し」は、純粋にブランドにとって何も毀損しないような方法でできる施策です。

4. SaaSツールや外部パートナーとの良い連携が、ブランド成長の速度を上げる

西井氏:
続いて、「売り場」に関するお話をお聞きしたいと思います。Spartyさんでは、売り場づくりにおいてSaaSツールの活用や、外部パートナーさんとの連携も積極的に取り入れられていますよね。

榊󠄀原氏:
弊社のパーソナライズ香水ブランド「mila」の売り場は、ecforceで構築しました。

「MEDULLA」はじめ、弊社他ブランドはフルスクラッチで作っているのですが、「mila」はecforceのパーソナライズD2Cシステム「1d-color」を採用しています。

創業当時には汎用パーソナライズカートシステムがそもそも世に存在しなかったため、自社で構築しましたが、今はこのようなSaaSも登場し、十二分なクオリティだと判断したので導入に至りました。

以前はカート構築のプロセスで大きなハードルがありましたが、もはや、つまづく要素がなくなったことを意味します。

mila

西井氏:
ecforceさんでパーソナライズのカートシステムを提供しているということですね。すごいですね。
構築ハードルが下がったことで、数多くの競合が参入してくる可能性もありますが、新ブランドを横展開しやすくなったり、D2C市場全体がさらに盛り上がる期待感もありますね。

今までは社内にエンジニアを抱えて、フルスクラッチで売り場を構築していたリソースを、もっと商品・サービスに振り向けられるようにもなりますね。

榊󠄀原氏:
そもそも自分たちで、カートやシステム周りを構築することが、結構ナンセンスになってきた
な、と思っていて。西井さんは、どう思われますか?

西井氏:
AIやプログラミング、データベース処理が理解できる人材など、もちろん知識を持っているほうが良いとは思いますが、ビジネスサイドでITスキルをいかに活用し、何を構築するかを考えるのが大事な時代になりましたよね。

汎用SaaSなどをうまく使い倒しながら、自社の価値をいかに打ち出せるか考えることが、マーケターの大事な仕事になってきたと思います。

初めて「MEDULLA」を拝見した時、私は「凄い!」と思いました。購入前のフェーズから独自のブランド体験をとことん、作り込むことができているのが、本当に素晴らしいなと感じました。
それも、今の榊󠄀原さんのお話だと、汎用系ECカートシステムを活用することで売り場構築への近道になるんですよね。

榊󠄀原氏:
汎用的に活用できるSaaSで言うと、「Letro」も導入しています。

UGC活用

UGC、つまりお客様のSNSやレビュー投稿を、LPやメールマーケティングなど、各タッチポイントに合わせて柔軟に活用できるようになります。それも、ただ「SNS投稿をメールに抜粋」「LPにベタ貼り」のようなイメージではなく、タッチポイントごとにUGCを出し分けるなど、ノウハウや見せ方が大事だからこそ、Letroを活用しています。

結果から言うと、どの局面でも数値が改善しており、導入効果を実感しています。

この話を聞いて、「うちもUGC施策をやろう」と思う方も多いかもしれません。そこで「自分たちでも、仕組みを作れる」という思考に寄ってしまうのは、ナンセンスなのでは?と私は思います。エンジニアが工数を割けば、何かしらのシステムは作れるかもしれません。ただ、仕上がりの頃には、SaaS製品に機能面で先行されてしまいます。一方、Letroはさまざまな会社で汎用的に活用できることを意図して作られているから、開発費が自社とは桁違いのはずです。だからこそ、機能面でもどんどん先へ行けるのだと思います。

西井氏:
やはりカートシステムにしても、UGCツールにしても、最先端の状態をずっと保ち続けている汎用ツールをしっかり使い倒した方が費用対効果もいいし、SaaSを使いこなせる人材を育てていくことも大事なのでは、と思います。

榊󠄀原氏:
SaaSは、API連携によって複数のツールを繋げることもできます。この観点からも、ますます汎用カートでやっていきたいと思いますね。

5.パーソナライズD2Cブランドが成長を続けるうえで、売上やCPAより大事なこと

西井氏:
今日はブランド拡大にまつわる話の中で、「戦略」「ものづくり」など本質的な話をお聞きできました。

今日、榊󠄀原さんのお話しを聞いていて思ったのは、全体的に「ものづくりドリブン」ではなく「マーケドリブン」ですよね。お客様の視点・心理を理解して、マーケティングドリブンでブランドづくりをしていったことが、結果的に成功につながったのでは、と思いました。

最後に、今後の展望をお聞きできればと思います。

西井氏

榊󠄀原氏:
パーソナライズ自体は世界的なトレンドで、日本にも数多くのブランドが存在しています。その中で「MEDULLA」は「パーソナライズD2Cブランド日本代表」的なところまで市場で一定の評価を得て、急成長してきました。

今後も「Spartyには勝てない」と言われるようになるまで、ブランドや、顧客体験を磨き上げていきたいです。

日々のブランド運営の中では、どうしても目先の「今月の売上は?」「CPAは?」といった部分に着目・注力しがちです。

しかし私は、本質的なブランド体験を磨き込む以外、今後さらなる成長の方法は無いだろうと強く思っています。

この記事の著者

景山 真理

景山 真理

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、Webメディア・紙媒体で活動しています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、デジタルトランスフォーメーション。
Website:Mari Kageyama Writing Works