こんにちは、SMMLabの藤田です。
ソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)に積極的に取り組まれている企業の担当者に、現場でのSMM活動の実際についてお聞きするインタビューシリーズ【企業担当者に聞くSMM最前線】。今回はFacebookを活用し新規事業の認知拡大を目指すライフカード株式会社の鎌倉早佑理(さゆり)氏と、その活動を陰で支える上司の武井秀樹氏にお話を聞きました。
 

ーーまず、SMMの運用はどちらの部署が担当されているのですか?
鎌倉:営業部門である当部(営業二部)が担当しています。営業二部は、新商品の企画、マーケティング施策やリサーチ、既存会員向けのプロモーション全般、主にWEB経由でのクレジットカードの新規獲得等をカバーしている部署です。
 

ーー広告・マーケティング施策全体の中でSMMはどのように位置づけられていますか?
鎌倉:今まで、当社ではソーシャルメディアを実施したことがなく、今回開始したFacebookが初めての試みです。きっかけは、2011年の6月末にリリースした新商品の「Vプリカ」のプロモーション施策を行う上で、純広告などの既存の広告手法の他に、効果的な手法はないかと考えたことでした。
さらにVプリカ自体が、ネット専用でかつ国内初の商品※ということで、割とネットや新ビジネス等の新しいものに感度の高い、アーリーアダプター的(企画当時の2011年2月~3月頃)なFacebookのユーザー層にマッチするのではないかと考えたこと、そしてバイラルマーケティングの有効性を検証してみたかったということもあり、社内で企画を通し、テスト的に始めてみたというのが実情です。
SMMならでは特長を活かすという観点から、Facebookを通常の広告施策やコーポレートサイトではできないことをトライアンドエラーで試してみる新しいマーケティング施策と位置付けています。
※「Vプリカ」:Visaバーチャルプリペイドカード。これまで利用先限定のものはあったが国際ブランドであるVisaが付いたバーチャルプリペイドカードは、国内初(2011年6月時点)。
 
ーー従来はどのような広告・マーケティング施策をされていたのでしょうか?
鎌倉:以前はTVCMなどのマス広告や各イベント協賛によるPRも実施していましたが、現在ではWEBに特化した広告展開を行っています。具体的には、代理店を通じた純広告や、ネットワーク広告の運用、アフィリエイト、リスティングの運用、自社展開のキャンペーンの告知(HPやメルマガ、紙媒体等)を行っています。
 
ーーFacebookがソーシャルメディア初の取り組みとのことですが、Twitterやブログなど他のソーシャルメディアに取り組む予定はありますか?
鎌倉:現在はFacebookのみの運用です。TwitterやMixi等の他の企業ページも気になっていますが、運用負荷との兼ね合いもあり、検討中です。
 
ーーFacebookページ開設の目的は?
鎌倉:先述の通り、Vプリカの認知向上がきっかけにありましたが、Facebookページ上でのユーザーとの双方向コミュニケーションを通じて、当社のことをよく知ってもらい、ファンになってもらうというブランディング目的と、アンケートキャンペーン等でできるだけ生の声を収集し、いただいた声を商品・サービスに反映し、改善につなげたいという目的があります。
 
ーー現在Facebookページはどのような体制で運用されているのですか?
鎌倉:メイン1名・サブ1名という体制です。二人とも他の業務と兼業していますので、負荷をできるだけ軽減しつつ運用出来るように、コンサルティングをお願いしているアライドアーキテクツさんにもご協力頂いています。
 

ーー鎌倉様がご担当者になられた経緯を教えてください。
鎌倉:もともとFacebookを始めたいと言い出したのが私なので、私が企画しそのまま運用担当となっています(笑)。ちょうど経営トップ層の理解もあり、「やってみなさいよ」ということになったので、この点は、会社の良い風土だと思います。むしろ、諸々の段取りや施策との兼ね合いで立ち上がりがずれ込んでしまったので、「遅い!」と言われてしまったくらいです。
 
ーーFacebookマーケティングを開始される際、運用計画は立てられましたか?また、どのくらい細かく、どのくらい先までプランニングされましたか?
鎌倉:スタートするにあたり当面3ヶ月のざっくりとした運用計画を立てました。目標をどのラインに立てるか、コミュニケーションの方向性、日々の投稿の計画や頻度、キャンペーンのスケジュール、ウォールの監視運用等の取り決めを行いました。また、事前にコミュニティガイドラインの作成も行いました。詳細については実際に始めてみて、実施しながら感覚を掴んでいった形です。
 
ーーキャンペーンの企画やウォールの内容等はどのように決めていますか?
鎌倉:キャンペーン情報や商品・サービスの紹介だけでなく、質問形式の投稿を行ったり、キャラクターを出してみたりと日々試行錯誤しながら決めています。内容自体は、当社だけでなく、アライドアーキテクツさんと意見交換をしながら面白いと思ってもらえるものを企画しています。
 
ーー現在の御社Facebookページの状況についてどのように評価されていますか?
鎌倉:予想以上に集客もでき、Vプリカの認知に主軸を置いた運用という点からもまずまずの出来と評価しています。今後も継続して実施していきますが、ユーザーにとって人に教えてあげたいと思えるような魅力ある情報の発信をどうしていけるかが今後の課題だと思っています。
 
ーーここで鎌倉様の上司として、Facebookマーケティングの運用進捗を管理されていらっしゃる武井様にも少しお聞きしたいと思います。今の段階で、Facebookでの取り組みをどう評価していらっしゃいますか?
管理する立場からするとどう評価したらいいか、仕方が難しいですね(苦笑)ただ、Vプリカは全く新しい商品だったので、Facebookはその特性やメリットを上手く伝えることが出来る媒体なのではないかと期待していました。その点では徐々にではありますが、期待に添う形に近づいているという感覚はあります。
 

ーーFacebookマーケティングは評価が難しいと感じていらっしゃるとのことですが、具体的にはどの辺が難しいとお感じですか?
社内で運用者が孤独になってしまうのではないかと心配になってしまうこともあるぐらい、やっている業務が見えにくいということがありますね。管理者としてはその辺りを理解しながら現場と協力し、通常業務とのバランスを考え潤滑に運営していく工夫をしていることを、上層部に上手く伝えていくように努力しています。
 
ーー管理するお立場から今後のFacebookマーケティングをどのようにお考えになりますか?
カード会社としての認知を広めたりブランドイメージを高めたりする活動に関しては、やはり「クチコミ」の影響は大きいと感じています。今後「クチコミ」を活用したマーケティングの重要性がさらに高まった時には、やはりFacebookは欠かせないツールとなると思いますので、上手く連動させることが出来るように今から準備しておきたいと思っています。ただ、例えばカード会員数など明確に数字の目標があるものに関しては、リスティングやアフィリエイトなど、経験値から効果を仮定しやすい施策が手堅いので、Facebookだけというのではなく、既存のWEB広告とのバランスが大切だと思っていますね。
 
ーー理解ある上司と熱意ある担当者という素晴らしいチームでご運用されていらっしゃいますね!さて、鎌倉様ご自身は担当者として、2011年8月8日にFacebookページをオープンされてから今までを振り返ってみて、どのようなご感想をお持ちですか?
鎌倉:恐る恐る始めたFacebookですが、開始してみて良かったと思います。やはり実施してみないとわからないこともありますし、Facebook自体が実名登録制ということもあり、企業としても割と入りやすかったと思います。
 
ーーFacebookページの運用に関して、取り組み前と現在とで社内の評価・状況・予算、担当者としての心境など変化した事はありますか?
鎌倉:スタートするに当たり、運用面での課題等、社内においても慎重論はありましたが、現在では、認識も変わっていることを感じますし、新たなコミュニケーションツールの1つとして捉えられるようになったと思います。社内の他の重要施策との兼ね合いもある中、継続して予算も取得できました。担当者としては、欲が出るものでさらに盛り上げていきたいとの思いも強くなりますし、次のフェーズまで到達したら何が待っているのか?という点でも楽しみですし、当分は手を離せそうにありませんね(笑)
 
《次回へ続く》
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武井秀樹氏 プロフィール
ライフカード株式会社
営業二部 カード企画推進課
課長補佐
鎌倉早佑理氏 プロフィール
ライフカード株式会社
営業二部 カード企画推進課
マーケティングマネージャー
ライフカード 公式サイト  http://www.lifecard.co.jp/
ライフカード Vプリカ公式サイト http://vpc.lifecard.co.jp/
ライフカード Facebookページ https://www.facebook.com/LIFECARD.Officialpage
インタビュアー :藤田 和重(アライドアーキテクツ株式会社 SMMLab)
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■参考リンク
アライドアーキテクツ株式会社
モニプラファンアプリ
http://fan-app.monipla.jp/
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