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2023年、デジタル広告施策はどんなことに注目して進めていけばよいのでしょうか?2022年のデジタル広告市場の動向を振り返りながらヒントをまとめました。

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プライバシー保護とデータ活用の両立を叶える技術の利用は進む

インターネット広告市場は2022年も順調に成長

株式会社電通が発表した「2022年 日本の広告費」によると、2022年の総広告費は、通年で7兆1,021億円(前年比104.4%)と1947年に推定を開始して以降、過去最高となりました。
その中でも、インターネット広告費は全体の43.5%を占める前年比114.3%の3兆912億円となり、デジタル広告市場の成長が好調な広告費を支えていることがわかります。

プライバシー保護とデータ活用の両立が成功の鍵

インターネット広告市場が成長するにつれ、生活者の意識には変化が見られます。
そのひとつは個人情報、プライバシー保護に対する関心の高まりです。

ここ数年、2018年のGDPR(EU一般データ保護規則)、2020年のCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など、世界的にプライバシー保護の観点から個人情報の取り扱いに関する法規制が整備されてきました。

日本でも2022年4月に改正個人情報保護法が施行され、企業のマーケティングにおけるデータ活用は本格的に新しい時代へと向かっています。

特にCookie規制、IDFA変更など、サードパーティーデータを利用したマーケティング手法に与える影響は大きく、2022年は様々なプラットフォームがこれらの動きに対応する取り組みや代替技術の開発の発表を行いました。

例えば、2022年1月にはGoogleが「トピックスAPI」を発表。これは2023年後半に段階的に廃止する予定であるCookieのサポート対策となる技術として、注目されています。
また、LINEは2022年5月にトレジャーデータとの業務提携を発表)。LINEが保有するデータとトレジャーデータに格納されたクライアントデータの突合分析により実購買データやオフラインコンバージョンへの広告貢献の可視化が可能となりました。

この他にもFacebook、Twitter、Yahoo!など各プラットフォームが提供を始めている独自の広告識別子である「コンバージョンAPI」や、BI.Garageが提供するMediaStringなどに代表される「コンテキスト広告」など、プライバシー保護に留意しながらのデータ活用を行うための技術の利用が進んでいます。

※)LINE、トレジャーデータと業務提携契約を締結 データクリーンルームソリューションの共同開発ならびに 「LINE」活用促進のための連携を強化|LINE株式会社

2023年はこのような新しい技術をうまく取り入れ、プライバシー保護とデータ活用のバランスをとりながら施策を進めていくことが成功の鍵となりそうです。

特に注目の施策である「リテールメディア」

そのなかでも、注目したいのはリテールメディアです。

リテールメディアとは小売業者の店舗やECサイト、アプリを媒体として行われる広告配信の仕組みのこと。EC大手のAmazonでは2012年頃から広告商品の提供を始めるなど、リテールメディア施策に取り組んできました。
コロナ禍を経て生活者のEC利用が定着したことで、新しい収入源としてこのリテールメディアに取り組む小売業者が増えています。そして、リテールメディアで取り扱われる情報は、どれもそのリテールが保有するファーストパーティーデータであり、プライバシー保護とデータ活用の両立という点でも大きなメリットがあると考えられます。

情報の信頼性を保つことが強く求められる

プラットフォームの広告審査の厳格化が進む

プライバシー保護と同時に、企業(広告主)が発信する情報の信頼性、広告の確からしさについても社会的関心は高まっています。
このような機運をうけ、プラットフォーム側では広告審査の厳格化が進められています。

例えば、2022年上半期、Yahoo!広告での広告審査においては6700万件以上の広告が非承認となっています。広告の審査基準を公開したことにより、2021年下半期の数字よりは減少していますが、2021年上半期と比較すると1000万件以上多く、表示される広告についてYahoo! JAPANが厳しく審査を行なっている姿勢がうかがえます。

また、Googleは広告主の責任の強化に注力。2022年は日本でも、広告主の身元確認を行うプロセスの強化を開始し()、プラットフォーム上の出稿される広告が適切な広告主によるものである状態を作るための施策に取り組んでいます。

日本の広告費に占めるインターネット広告費の割合がもうすぐ5割に到達しようとしている状況において、インターネット広告の健全性を保つため、プラットホームや広告主の責任は今後も大きくなるでしょう。

※)広告主の確認について|Google

2023年、ステルスマーケティングに関する法規制がスタート

さらに、2023年10月からは「ステルスマーケティング」の法規制がスタートします。この規制ではステルスマーケティングを「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」、「事業者が自己の供給する商品または役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」と制定。
消費者庁によると、この規制は2023年10月1日より施行開始され、景品表示法第5条第3号の規定に基づき、これらステルスマーケティングと認められるものは、景品表示法における「不当表示」に指定されることとなりました。

ステルスマーケティングについてわかりやすく説明された記事はこちらです
ステルスマーケティング(ステマ)とは?意味・定義から規制への対策・注意点まで分かりやすく解説

このようにアドフラウドやステルスマーケティングといった問題について、生活者の目はいっそう厳しくなってきます。企業のマーケティング活動においては、日頃から信頼できる情報を発信し続けるという姿勢を大切にすることが、今後益々大切になってくるでしょう。

プラットフォームのアップデートや動向のキャッチアップを忘れずに

Twitter、TikTokなど、プラットフォームの動向には要注目

インターネット広告市場をとりまく環境の変化のなかにおいて、プラットフォームは常にそれらに対応すべくアップデートし続けています。

特にTwitterは昨年イーロン・マスク氏がCEOに就任して以降、これまで提供してきた機能が廃止される、新しい機能が搭載されるなど様々な変化が起きており、その動向からは目が離せません。

イーロン・マスク氏就任以降のTwitter社の動向についてまとめた記事はこちら
今Twitterに何が起きている?イーロン・マスク氏CEO就任後の主な出来事まとめ

また、TikTokについては米国などで国家として利用を法規制する流れがあるなど、こちらも同プラットフォームをとりまく環境の変化を追っていく必要があるでしょう。

Pinterest広告など新しい広告媒体にトライすることも大切

このようなめまぐるしい変化のなかで、新しい広告媒体への取り組みも大切です。
例えば、2022年はインターネット広告が好調でしたが、その中でも、検索連動型広告が前年比 122.2%の 9,766 億円と増加。インターネット広告費全体の4割近い39.4%を占めていることから、依然として検索連動型広告は強いと言えます。

そんな中、検索連動型広告と近い広告として注目されているのがPinterest広告です。Pinterest広告は2022年に日本でも利用できるようになったばかりであり、今後広告出稿量の拡大が予想されているプラットフォーム。SNSのひとつと捉えられがちですが、Pinterestは自らを「ビジュアル探索ツール」と位置付けており、ユーザーが自分の選んだキーワードで生活を豊かにするアイデアやヒントをビジュアル(画像、動画)で検索できる場であるという特徴があります。そんなPinterestのフィードに配信される広告は、ユーザーそれぞれの趣味や興味関心、検索ワードに関連した広告が配置されるため、検索連動型広告と類似する部分が多い広告である言うことができ、2023年ますます活用が進むと予測されます。

動画広告需要は引き続き高まる。特に「縦型ショート動画」に注目

コネクティッドTVが普及するも、動画広告需要のメインはスマートフォン向け動画広告

インターネット広告市場において、もはや動画広告市場を無視することはできません。
2022年、動画広告市場は引き続き拡大。サイバーエージェントの発表では、2026年の動画広告市場は2022年の動画広告市場の2倍以上に成長すると(※1)予測されています。

動画広告の出稿先のデバイスについては、テレビ番組見逃し配信サービスである「TVer」など動画配信サービス利用者の増加などを受け、2022年はインターネットに接続されたコネクテッドTV向け広告需要が大幅に成長。とはいえ、動画広告需要のメインはスマートフォンであり、スマートフォン向け動画広告需要は前年対比132.7%の4,621億円にのぼり、動画広告需要全体の83%を占める見込みとなっています。

ソーシャル広告では動画共有系サービスでの広告出稿が好調

また、ソーシャル広告(SNS/ブログサービス/ミニ(マイクロ)ブログ/動画共有サイト/ソーシャルブックマーク/電子掲示板などに出稿された広告)においては、YouTubeやTikTokなど動画共有系サービスでの広告出稿が好調です。
動画共有系サービスへの広告は2020年は1,585億円※2)でしたが、順調に成長し、2022年には3,052億円となり、ソーシャル広告の35%※3)を占めています。

※1)サイバーエージェント、2022年国内動画広告の市場調査を実施|株式会社サイバーエージェント
※2)2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析
※3)2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析

動画広告は必須!特に縦長ショート動画クリエイティブに注目

これらのことから、2023年も引き続き動画広告への取り組みは必須となってくるでしょう。
ただ、動画広告とひとくちに言っても、配信先によって動画を見ているユーザーのモチベーションは異なります。そのため、動画広告のゴールをしっかりと定め、それに適したプラットフォームや動画のフォーマットを選択することが重要です。

現在、動画視聴の中心が引き続きモバイルであること、YouTubeショートやTikTok、Instagramリールが人気である状況を加味すると、縦長ショート動画クリエイティブはぜひ取り組みたい注目のフォーマットとなるでしょう。

いかがでしたか?
今回は2022年のデジタル広告市場を振り返り、2023年のデジタル広告施策で注目したいことについてご紹介しました。
ぜひ今後の施策にご参考ください!

これから