こんにちは、SMM Lab研究員の瀬戸口です。
ソーシャルメディア関連の広告ツールとして、日ごとに存在感を大きくしているFacebook広告。みなさんはご利用になったことがありますか?Facebook広告は従来のバナー広告に比べてあまりパフォーマンスがよくないと言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか?ソーシャルメディア専門の独立系マーケティング会社TBG Digitalが、「Global Facebook Advertising Report Q3 2011」を発表していたので抄訳でご紹介します。

TBG DigitalがFacebook広告をサポートした192カ国・全216のクライアントから得た2550億のインプレッションより、まとめた内容は以下の5つです。
(1)Facebook広告のインプレッションが向上
(2)Facebook広告のCPCが低下
(3)ブランド広告が増加
(4)5つのセクターで、Facebook広告の盛り上がりが顕著
(5)キーワードターゲティングで1Likeにかかるコストを最大$0.45(10/20現在約34.5円)削減できる
では、順に見てみましょう。
(1)Facebook広告のインプレッションが向上

via 「Global Facebook Advertising Report Q3 2011」
上記の図の通り、第2四半期から第3四半期にかけての5つの主要マーケット(アメリカ, イギリス, フランス, ドイツ, カナダ)において、Facebook広告のCTR(Click Through Rates:広告がクリックされた回数を、表示された回数で割ったもの)が18.5%増加したようです。ファン獲得のための広告とアプリケーション宣伝用の広告がほとんどの割合を占めています。これは後ほど説明する5つのセクターが多くを占め、他のセクターより高いCTRを示しました。
(2)Facebook広告のCPCが低下

via 「Global Facebook Advertising Report Q3 2011」
第2四半期から第3四半期にかけての5つの主要マーケット(アメリカ, イギリス, フランス, ドイツ, カナダ)において、CPC(Cost Per Click:1クリックにかかったコスト)が10.8%低下しました。

via 「Global Facebook Advertising Report Q3 2011」
CPM(Cost Per Mille=Cost Per Thousand:広告が1, 000回表示されるあたりの料金)が7.1%増加。特にイギリスとアメリカでCPMが増加傾向にあります。
(3)ブランド広告が増加

via 「Global Facebook Advertising Report Q3 2011」
ファンを獲得するためのブランドキャンペーンが第2四半期の47%から第3四半期では53.7%に増加しました。これは世界中のインプレッションの半分がブランドキャンペーンである、と言い換えることができます。ファン獲得以外の広告キャンペーンは36.7%にとどまりました。ソーシャルゲームなどのアプリ宣伝広告がその他を占めます。レポートによると第2四半期から第3四半期にかけて、アプリ広告は150%の増加が見られるようです。これは、Facebookでのファン数がクリティカルマスに到達すると、次はそのファンとブランドのエンゲージメントを高めるためにアプリを導入するのではないか、と説明しています。(もちろんその際は、ブランドのファンのみを対象にしたFacebook広告が出稿出来ます。)よって、Facebook上でこれから活発になってくる広告分野は「アプリ関連広告」ではないかと予想しています。
(4)5つのセクターで、Facebook広告の盛り上がりが顕著

via 「Global Facebook Advertising Report Q3 2011」
Faceboo広告において、以下トップの5つのセクター(分野)でインプレッションが、第3四半期において117%増加しました。
エンターテイメント:増加率が一番高い。
   第2四半期では1%以下のインプレッションだったものが、8%まで成長。
フードとドリンク:9%から14%に増加
ビューティーとフィットネス:総インプレッションが4%増加
自動車:0.2%から2.4%増加
ゲーム:9.5%から11.6%へ増加(2.07%増)

via 「Global Facebook Advertising Report Q3 2011」
Retail(小売など)が大部分を占めています。レポートでは、このセクターはクリスマス商戦などホリデーシーズンの第4四半期で更に増加するだろうと述べられています。

via 「Global Facebook Advertising Report Q3 2011」
CTRも他セクターと比較すると大きくリードしています。これは、このセクターにおけるユーザーとのエンゲージメントの高さを意味しており、今後も、このセクターは引き続き成長するものといえそうです。
(5)キーワードターゲティングで1Likeにかかるコストを最大$0.45(10/20現在約34.5円)削減できる

via 「Global Facebook Advertising Report Q3 2011」
Facebookユーザーにブランドのファンページをいいね!してもらう(ファン獲得)ための利用においては、スポンサー付き広告が主流になってくると述べています。広告の掲載写真とタグラインなどのクリエイティブを決められるだけでなく、配信先を年齢・性別・興味などでセグメントし、ターゲティングすることも可能です。

via 「Global Facebook Advertising Report Q3 2011」
こちらは、スポンサー付き広告の平均CPF(Cost per Fan: 1ファンを獲得するのに費やしたコスト)を表しています。一番成績のよかったブランドは、成績の一番悪かったブランドに比べ1ファン獲得に対して$1.20(10/20現在約92円)安くなりました。キーワードターゲティングも、成績の良いブランドと悪いブランドを比べると$0.45(10/20現在約34.5円)の差がありました。
上記のデータは米国を中心としたデータなので、そのまま日本の状況に当てはめられるものではありませんが、Facebookで行われている広告の全体図が少しご理解いただけたのではないかと思います。
Facebookの広告担当者トップで元Google Analyticsを担当していたGokul Rajaram氏によると(インタビューはこちら)、この先Facebook広告がますますソーシャル化される流れは間違いないようです。アメリカでは、Facebookページをマーケティングツールとして活用するために、Facebook広告を出稿してまずは「ファンを集め」、集まったファンとエンゲージメントを高めるためにコミュニケーション密度を上げていくという流れが一般化してきています。今までであれば、ファンとブランドとのコミュニケーションの手段は、DMやメールでの一方通行のコミュニケーションでしかありませんでしたが、Facebookページは双方向のコミュニケーションを実現し、ライフタイムバリューを上げ、ロングエンゲージメントの醸成ツールとして期待されているのです。
ただし今現在、FacebookのCTRはGoogleの検索連動型広告(0.7%)に比べると、0.08%と低いのも事実。
参考:http://f-commerce.weblogs.jp/home/2011/04/6.html
しかし、Facebookのソーシャル広告は生まれてからまだ2年半、スポンサー付き広告はわずか半年しか経っていないことを考えると、これからの動向を注意深く見守る必要があると言えます。
■参考記事
・マーケティング効率を最大化する『Facebookエコシステム』の3ステップ
・インフォグラフィックスで理解するファンとの関係性