BeReal

”BeReal(ビーリアル)” – Z世代に火がついている最新SNSアプリ。
「BeReal」の特徴から、大学生が捉える魅力や他SNSとの違い、そしてZ世代マーケティングにおける活用可能性について紹介します。

Z世代に大流行!「BeReal(ビーリアル)」とは?

Z世代を中心に人気を博している「BeReal」 はどのようなアプリなのでしょうか。
「BeReal」は、「本物の友情を築こう」というコンセプトのもと、2022年にフランスでリリースされたソーシャルメディア・アプリです。

「BeReal」の特徴は、加工なしのリアルな瞬間を共有する点にあります。
他のSNSアプリと違い、投稿のタイミングを自由に選ぶことはできません。1日1回、ランダムな時間にアプリ通知が届き、その時点で2分以内に「自分が何をしているか」を撮影し投稿するという仕組みです。

App Stor公式画像より
画像:App Store公式画像より

投稿できるのは、外カメラと内カメラで同時に撮影した写真・動画。すなわち、通知が送られた時に撮影者が見ている光景と、その時の撮影者自身のリアクションを一度に捉えた写真・動画です。スマホに保存してあるものは投稿できないため、加工アプリで加工したものは使えません。また、2分以内であれば何度でも撮り直しできますが、投稿には「5回目の再撮影」など表示されるので、撮り直したことは相手には分かるようになっています。

さらに、自分が投稿しなければ他の人の投稿を見ることができません。こうした仕様は、「通知を逃すまい」という動機につながり、一種のゲーム感覚で楽しめます。

これらの「盛れず・映えず・時間制限アリ」といった制限こそが、徹底的にリアルを共有させる仕掛けであり、従来のSNSとは真逆の発想でユーザーの心を掴んでいると言えます。

最新Z世代トレンドは「BeReal」が1位

LINEヤフーが2024年1月18日に発表した「若年層の流行に関する定点調査(2023年下半期)」の結果によると、最新の12月期調査では「BeReal」が1位になっており、2024年注目のサービスとなることがうかがえます。

大学生がリアルに語る「BeReal」の魅力、他SNSとの違い

BeRealは、Z世代の若者にとって新たなコミュニケーション手段となっています。今回は、大学1年生4人にインタビュー。オンライン座談会形式で、「BeReal」を使いはじめたきっかけ、独自の魅力、利用シーン等をリアルに語っていただきました。

周囲で使っている人が増えたことが、利用のきっかけ

ーいつくらいから、どのようなきっかけで利用し始めましたか?

Rさん:
2023年の7月くらいに、みんながやっているからという感じで始めました。

Aさん:
私も同じ感じで、2023年5月くらいに、友達に「みんなやっているからやりなよ」と勧められて始めました。

Yさん:
ここにいる3人が始めていて、私も2023年の8月くらいに始めました。

Sさん:
サークルの人に勧められて、2023年6月くらいに始めました。

インタビュー

「ミッション感覚」「リアル」「日常の記録」が魅力

ー周囲で使っている人が増えてきて、大体2023年の夏頃に使い始めたのですね。皆さんが感じる「BeReal」の良さ、魅力を教えてください。

Yさん:
2分間以内に撮らなきゃいけないのもあって、リアルが伝えられる。Instagramとかにはない良さがあると思います。

Rさん:
最初は、時間内にとることの何が楽しいのだろうと思っていたのですが、通知がいつ届くかわからないというのもあって、ミッション感覚で面白いなと。投稿できるとバッジが稼げて、それを貯めるために、盛れてなくても撮らないとという気持ちになります。

Sさん:
Instagramだと自分が盛れた写真しか投稿する気にならないのですが、「BeReal」だったら構えず何でも投稿できるし、友達のリアルな動向を知れるのが面白いです。

Aさん:
私は友達と遊んでもあまり写真とか撮らないタイプなのですが、「BeReal」のおかげで「この日何した」というのが記録に残せています。美容院に行く時に、過去の自分の投稿から似合っている前髪を探して、参考にしたりしています(笑)

Instagramとの使い分けは?

ー他SNSと比べた「BeReal」ならではの特徴は何だと思いますか?

Aさん:
無加工で日常を記録に残せることです。Instagramだと着飾っておしゃれに投稿するけれど、「BeReal」は加工も切り取りもないので、ありのまま。「みんなの今」がわかるのが良いです。

Rさん:
「BeReal」ではリアルを見せられる友達しかフォローしてなくて、Instagramはもっと広い範囲の友達をフォローしているので、「BeReal」は自然体な写真を、Instagramは盛れている写真をと、見せるものを使い分けています。

ー普段どんな投稿をしていますか?

Rさん:
どこかに出かけている時はその場所の写真、休みの日は寝起きの写真が多いです。Instagramだと載せない写真も載せてますね。

Aさん:
最近は家にいることが多いので、韓ドラを外カメで撮って、内カメで天井を撮っています。

「BeReal」は疲れない?

ーSNSで他の人の盛れている投稿や楽しそうな投稿をみると、劣等感を感じたり、不安になったりして疲れてしまう人もいると言われています。過去にそういう経験はありますか?BeRealではSNS疲れはありますか?

Aさん:
劣等感はないですけど、自分がバイト行く前に友達がディズニ―に行っているのを見ると「いいな」といった感じ。嫌になることはなく、ジェラシーくらいですね。

Rさん:
始めた頃はちょっと盛っている自分を見せようというのがあって、BeRealもInstagramと同じ感じって思っていたんですけれど、やっぱりリアルを伝えられる友達しかいないから、今はすっぴんも見せられるし、Instagramよりも気を遣わず使えています。

Yさん:
私も同じで、最初はこだわって何回も再撮影していて、多い時は5-6回再撮影していたけれど、今は全然こだわらず、そのまま載せる感じなので、他のSNSより疲れないです。

情報ゲットだぜ「Instagram」、情報が早い「X」、スリルいっぱい「BeReal」

ー最後、少し難しい質問なんですが、BeReal、Instagram、Xに枕詞つけるとしたらなんでしょうか。

Rさん:
食べ物屋さんとか行きたいお店はInstagramで調べるので、情報ゲットだぜInstagram!

Aさん:
Xは、一番情報が早いと思うので、情報が早いX。

Rさん:
2分以内に撮らなきゃというゲーム感覚があるので、スリルいっぱいBeReal!

ー今日はわざわざ集まってくださり、ざっくばらんにお話いただき、ありがとうございました!

大学生へのインタビューを通じて、BeRealの面白さや他SNSとの自然な使い分けを垣間見ることができたのではないでしょうか。インタビューからも、BeRealの大きな魅力は「日常のありのままの瞬間をリアルタイムで共有できる」点にあることがわかります。

Z世代マーケティングと「BeReal」

「今、何をしているか」を共有する仕組みは、リアリティと一体感をもたらし、スピーディーで直接的な情報交換を好むZ世代を惹きつけているのではないでしょうか。

マーケティング戦略として、Z世代にアプローチする際に「BeReal」は有効なのでしょうか?

Z世代の特徴とは?

デジタルネイティブとして生まれたZ世代は、あらゆるサービスを器用に使いこなし、情報検索能力に長けています。また、多様な価値観に触れて育ち、社会問題への関心も高く、社会問題を自分たちの将来の課題として主体的に捉えている傾向があります。

Z世代の特徴、Z世代マーケティングが重要なわけをさらに詳しく知りたい方はこちら
Z世代マーケティングで成功するには?事例5選+ポイント解説

情報の信頼性の担保、ブランドストーリーの共有が重要に

このような特徴をもつZ世代に向けたマーケティングで留意すべきことの1つに「情報の信頼性の担保」があります。
幼い頃からインターネットに触れているため、誤情報やデマへの警戒心が強いです。
企業の発信内容に関しても過大な表現を避けるなど、情報の正確性と信頼性の担保が重要であると言えます。

また、Z世代に向けたマーケティングでは「商品・サービスの利用に意味をもたせ、共感してもらう」ことも効果的です。
SHIBUYA109labが発表したデータでは、Z世代のおよそ7割が、SDGsや社会問題解決に取り組んでいる企業に対してポジティブな印象を抱いていることがわかります。

このような結果からも、ただ商品の機能を強調するだけではなく、商品やブランドの背後にあるストーリーを伝えることが有効だとわかります。Z世代に対しては、その製品やブランドがもつ意味や価値に共感をしてもらえるようなアプローチがより重要なのです。

「BeReal」企業のマーケティング活用の可能性は?

とりわけZ世代向けのマーケティングにおいて、「BeReal」は、従来のSNSにはない、新しい形のマーケティングチャンスを秘めていると言えます。「BeReal」のマーケティング活用の可能性をいくつか見てみましょう。

ブランドの透明性と信頼性の向上
「BeReal」はリアルな瞬間を共有する特徴を活用し、商品やサービスの製造の裏側、製造工程を共有することで、ブランドの透明性を示すことができるでしょう。

エンゲージメントの強化
ブランドのリアルなシーンが共有されることで、ファンとの交流やコミュニケーションが活性化され、ファンとより深いつながりを築くことができるでしょう。

リアルタイムマーケティング
ランダムな通知にあわせた限定的なオファーや限定コンテンツの提供等といった、独自のキャンペーン活用も増えてくるのではないでしょうか。独自のキャンペーンやコンテンツ提供を通じて、生活者との即時性のある接点を作り出すことができるでしょう。

「BeReal」に公式アカウント機能が登場、広がる企業の活用

2024年2月に、公式アカウント機能「RealPeople and RealBrands」が追加されました。
この新機能の追加とともに、海外の著名アーティスト、ブランド、スポーツチーム、大学といった多彩な方達の公式アカウントが開設されています。

2024年1月25日に公開された「BeReal」のプレスリリースによると、以下のように発表されています。

公式アカウント保持者は、他のユーザーと同じように、不定期に通知が届くタイミングで投稿しなければならず、これにより編集無し、台本無しのリアルな舞台裏を公開、著名人の生活や、普段見る機会のないブランドの活動を垣間見ることができます。
また、BeRealユーザーのBeRealに公式アカウントをタグ付けすることで、著名人&ブランド側もBeRealユーザーの投稿を見ることができ、著名人&ブランドとファンの交流、コミュニケーションを活性化させる機能となっています。

2024年3月には、人気YouTubeクリエイター コムドットのリーダーやまとが日本人として初の公式アカウントを開設しました。今後日本においても企業やブランドの公式アカウント保持も進んでいくと予想されます。

まとめ

この記事では、「BeReal」の特徴から、実際に利用する大学生が捉える「BeReal」魅力や他SNSとの違い、そしてZ世代マーケティングにおける活用可能性について紹介しました。

これまでのSNSで好まれていた「盛れる」「映える」といった傾向から真逆の発想で人気を博している「BeReal」の利用実態を知ることで、企業のマーケティングでも活かせるポイントが見えてきたと思います。
「BeReal」の台頭は、今後のマーケティング活動においても、よりリアルに透明なコミュニケーションが求められるようになっていることを教えてくれているのではないでしょうか。