CLOとは

日頃の業務で何気なく使っている専門用語。でもその言葉の意味、ちゃんと理解して使っていますか?

ソーシャルメディアマーケティングラボが、なんとなく分かっているつもりでも、実はよくわからなくて「もやもや」している?!今さら人に聞くのはちょっと恥ずかしい、ウェブマーケティング用語を分かりやすく解説します。

CLOとは moyamoya-prof

用語説明

CLO(Card Linked Offer=クレジットカード連携型特典)

クレジットカードやデビッドカードなど決済での購買動向や、利用者の属性情報に基づいてそれぞれの興味・嗜好に合ったクーポンや特典を提供するマーケティング施策。
アメリカでは2008年頃から始まり、100社以上の金融機関と、40万以上の小売店、1億5000万人以上の利用者がいる。
国内では昨年2013年から、クレディセゾンを皮切りに、三井住友カードやセディナ、JCBなどの国内カード会社が続々と取り組みを始めている。

効率的なターゲティングと効果検証が可能なO2O施策

CLOはカードの利用データを活用することで、特典を提供するターゲットを細かくセグメント出来るだけでなく、カードの利用履歴から配信特典の効果が検証できる点で、新たなO2O施策として注目を集めています。

消費者にとっては、カード決済で自動的に特典が適用されるため、クーポンを持ち歩く煩わしさや、利用忘れがなく、自分の趣味・嗜好にあったサービスを受けることができるというメリットがある一方、決済情報という個人情報を企業のマーケティング活用に提供することに抵抗感があることも忘れてはなりません。

スマホ普及による多様なデータ活用で進化

消費者に決済情報を提供するだけの価値を感じてもらえる特典設計が重要です。例えば購入履歴データを元に、既に他店で購入済みの商品と同類のものの割引を提供されるよりも、WEBサイトなどの閲覧履歴データなどから推測される「これから買いたいもの」に対する特典のほうが魅力的であり、施策効果も高いと考えられます。
そのため最近では、決済情報の他にも企業の保有するPOS情報や、SNS等のソーシャルメディアからのデータ、天気や交通などのオープンデータなどの活用も進んでいます。

また、初期はWeb明細画面等に配信するものが主流でしたが、最近はスマートフォンアプリとして提供されるものも登場し、GPSやWiFi、Beaconといった位置情報と連動したプッシュ通知によって、利用を促進するサービスも増えています。

国家戦略を背景にCLOはキャッシュレス時代の重要施策に

日本はアメリカに比べ、クレジットカードの利用者が少ないと思われていますが、民間最終消費支出に占めるクレジットカード決済の割合は、1990年代前半の4%程度から現在は20%程度と、着実に成長しています。

さらに、政府は2014年6月に閣議決定した「成長戦略」の中で、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等の開催等を踏まえ、キャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性の向上を図る。このため、訪日外国人の増加を見据えた海外発行クレジットカード等の利便性向上策、クレジットカード等を消費者が安全利用できる環境の整備及び公的分野での電子納付等の普及をはじめとした電子決済の利用拡大等について、関係省庁において年内に対応策を取りまとめる。」とし、それを受けて経済産業省は今年7月、2020年までに「世界で最もクレジットカード利用が安心・安全な国 日本」を実現する目標を掲げました。
参考:経済産業省「クレジットカード決済の健全な発展に向けた研究会 中間報告書」
http://www.meti.go.jp/press/2014/07/20140711002/201407110022.pdf

このように政府全体でキャッシュレス決済普及への対応策を検討する機運も後押しとなり、オムニチャネル時代のマーケティング施策として、CLOへの注目は更に高まると考えられます。

イラスト:速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、
デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。
広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ