世界の人口の3分の1を占めると言われているZ世代。なぜ今Z世代に向けたマーケティングが重要なのか。Z世代へ向けたマーケティングで大切にしたいこととは?この記事ではZ世代の特徴や価値観からそのポイントを紐解き、事例とともに解説します。
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Z世代とは?いまZ世代へ向けたマーケティングが重要なわけ
Z世代の定義
Z世代(ジェネレーションZ)とは1990年後期から2010年代に生まれた世代をさす消費区分のこと。1960年から70年代に生まれた人をさす「X世代」、1981年から1995年頃までに生まれた「ミレニアル世代(Y世代)」に続く世代として、アルファベット順から「Z世代」と呼ばれています。
また、ミレニアル世代の次の世代であることから「ポストミレニアル」と呼ばれることもあります。
Z世代のマーケティングに取り組むべき理由
今、Z世代へ向けたマーケティングが注目されているのには大きく3つの理由があります。
理由①Z世代の人口増加
Z世代は世界の人口の3分の1、およそ77億人を占めるまでに成長しており、今後もどんどん拡大していく見通しです。
理由②これからの消費・労働の中心を担う
Z世代の最年長は26歳前後と、これからの消費・労働力の中心を担う重要な世代であることから、企業のマーケティング活動においてZ世代の特徴や消費行動を理解する重要性は高まっています。
理由③独特の価値観
また、Z世代はこれまでの世代とは異なったユニークな価値観を持っているという特徴もあります。そのため、これまで行われてきたマーケティング手法を取り続けることが難しく、Z世代に向けた新しいマーケティング活動が求められているのです。
Z世代の特徴・価値観をその時代背景から読み解く
では、Z世代には具体的にどのような特徴があり、どんな価値観を持っているのでしょうか?
Z世代の時代背景
- 1990年のバブルが崩壊から数年後に誕生
- 1995年 阪神淡路大震災
- 1997年 消費税3%から5%に引き上げ
- 2001年 米、9.11同時多発テロ
- 2006年 ライブドア事件
- 2007年 iPhone初代モデルの発表
- 2008年 リーマン・ブラザーズが経営破綻。世界的な金融危機(リーマン・ショック
- 第44代アメリカ合衆国大統領にバラク・オバマ氏就任
- 東日本大震災
世界の人口が70億人に到達
LINE、サービス開始
Facebookブーム - 2013年 韓国で初の女性大統領として朴槿恵氏が就任
- 2014年 消費税が5%から8%に引き上げられる
パキスタンのマララ・ユスフザイさん(17)がノーベル平和賞受賞
こうした出来事の中で誕生し、成長してきたことを背景として、Z世代には次のような特徴や価値観があると言われています。
①デジタルネイティブである
Z世代は、物心がついた時から身近にインターネットがある環境の中、PCやタブレット、スマホなどのデジタルデバイスに触れながら成長してきました。そして、情報の収集・交換から勉強、買い物などに至るまで、あらゆる行動をインターネットを活用して行なっています。そのため、Z世代はデジタル・ネイディブ(=生まれつきのデジタル世代)と呼ばれています。
②様々なSNSやインターネットを使いこなす
デジタルネイティブであるZ世代は、SNSにも明るく、あらゆるサービスを利用し、複数のアカウントを器用に使いこなしています。
Z世代を対象にした株式会社ネオマーケティングの調査(※)では、普段チェックする情報源、最もチェックする情報源ともにSNSが高いという結果もあり、Z世代におけるSNS利用率の高さがうかがえます。
③発信力が高く誰もがインフルエンサーになりうる素質を秘めている
同時に、幼い頃よりSNSが生活にあったZ世代は、SNSを通して情報を発信することに抵抗が少なく、SNSで自分の意見や出来事を表現、発信することにも長けています。自分の経験や面白いことなどをシェアし、共有しあうことが好きなZ世代は、誰しもがインフルエンサーとなりうる素質を持っているのが特徴です。
④多様性を尊重する一方で、周囲の反応を気にする
Z世代の幼少期には、アメリカ合衆国で初めてアフリカ系、有色人種、ハワイ生まれのバラク・オバマ氏の大統領就任、韓国で初の女性大統領に朴槿恵氏が選ばれるなど、ダイバーシティ(多様性)を意識するような出来事が起きています。
また、Z世代はインターネットを通して、日本のみならず海外の人と交流したり、情報を取り入れたりする行動にも親しんでいることから、グローバル感覚が強く、多様性を尊重する価値観をもつ世代であると言えます。
実際、日本のZ世代を対象とした意識調査(※)では、自身の行動や考えに対して「多様性は大切だと思う」という回答(あてはまる、ややあてはまる)は8割に及んでおり、多様性への理解を重視していることがわかります。
他方、「人に迷惑をかけたくない」「人と競争するのが苦手」「周囲から浮かないようにしたい」と考える人の割合も多く、多様性は認めつつも自分が突出することに対しては抵抗感がある同調主義の傾向も見られています。
⑤気候変動、経済格差など社会問題への関心も高い
世界を震撼させた米国同時多発テロや、リーマンショック、大きな震災などを経験しながら成長してきたことを背景として、Z世代は様々な社会問題に関心の強い世代であるという特徴を持っています。
また、Z世代は学校教育の場でも環境、社会問題などについて学ぶ機会があったことから、これらを自分たちの将来の課題として主体的に捉えている傾向があります。
⑥経済に対しては楽観的ではなく堅実な金銭感覚をもつ
また、バブル崩壊後の不況の中で生まれ、リーマンショックをみて育ったZ世代は堅実な金銭感覚をもっています。経済や将来の見通しに対してシビアな感覚を備え、貯蓄や節約に関心の高い人が多いのも特徴です。
同時にインターネットを利用した情報検索能力も高いことから、数ある商品を比較し、自分に適したもの、お得なものを選びとることができます。
Z世代マーケティングで大切な7つのこと
こうした特徴、価値観をもつZ世代へ向けたマーケティング施策を行うためにはどのようなことに留意すればいいのでしょうか。
①商品・サービスの利用に意味をもたせ、共感してもらう
商品やサービスそのものの機能、メリットを享受するだけでなく、その商品やサービスを利用すること自体に意味を求める消費、それが「イミ消費」です。
具体的には、商品・サービスの利用によって「環境保全」「地域振興」「震災復興」「社会問題解決」「健康維持」などの付加価値を求める消費行動のことをさします。
デジタルネイティブとして生まれ情報検索能力に長け、多様な価値観に触れて育ち、社会問題への関心も高いZ世代は、特にこの「イミ消費」を行う傾向が高いと言われています。
例えば、SHIBUYA109labが発表したデータ(※)では、Z世代のおよそ7割が、SDGsや社会問題解決に取り組んでいる企業に対してポジティブな印象を抱いていることがわかります。
この結果からも、商品そのものの価値や機能を訴求するとともに、企業の姿勢や人格を伝えたり、商品やブランドのストーリーを届けたりすることが有効だとわかります。Z世代に意味や意義を感じ、共感してもらうアプローチが大切なのです。
※)Z世代のSDGsと消費に関する意識調査|SHIBUYA109lab
②オンラインでのクチコミ形成
デジタルネイティブであるZ世代の多くは、SNSやインターネットを駆使して自分の欲しい商品やサービスの情報を集めています。
例えば新しいブランドや商品をどこで知りますか、との問いに対して「Instagram」「Twitter」がそれぞれ上位5割近くを占めるといったアンケート結果(※)もあり、SNSをきっかけとして商品やサービスを認知するユーザーが多いことがわかります。また、新しく知った商品やブランドについての情報収集にもインターネットを利用する割合も高く、Z世代に商品やサービスを知ってもらう上でオンラインで接点をもつ施策は必須です。
中でも、SNSやインターネットで情報を検索した際、実際に商品を使っている人やサービスを利用している人の自然なクチコミがあることは、押し付けがましくなく商品やブランドの良さを知ってもらえるため効果的です。
クチコミを利用したマーケティング施策についてはこちらの記事もぜひご参考ください
▶クチコミマーケティングとは?最新の種類と成功ポイントを解説【2022年最新ガイド】
※)Z世代のSNSによる消費行動に関する意識調査|SHIBYA109lab
③インフルエンサーも積極的に活用
Z世代の約60%がインフルエンサーが紹介した商品を購入した経験があるというデータもあることから(※)、インフルエンサーの活用も効果的な施策だと言えます。
特に、購入した理由について、インフルエンサー自体が好きだから商品を購入したという意見だけでなく、インフルエンサーの説明がわかりやすいから商品を購入したという回答が30%近くあり、インフルエンサーのフォロワー数だけでなくその投稿の質も大きく関わってくることがわかります。
Z世代が共感できるようなインフルエンサーを起用し、Z世代の目線で商品を紹介してもらうことで効果的なインフルエンサー施策を行うことができます。
インフルエンサーマーケティングの手法を事例をもとに紹介しました
▶インフルエンサーマーケティングの成功事例11選&ポイント解説【施策目的別】
※)Z世代のSNSによる消費行動に関する意識調査|SHIBYA109lab
④多様なチャネルでアプローチ
また、Z世代は複数のSNSプラットフォームを、目的に応じて使い分けています。そのため、「このプラットフォームならばこのターゲット層にリーチできる」といった考え方ではなく、それぞれのプラットフォームをターゲット層のユーザーがどんな目的で利用しているのかを起点にしてコミュニケーション施策を設計する必要があります。
⑤情報の信頼性を担保
また、Z世代は幼い頃からインターネットに触れているため、インターネット上のデマの流布などに対しては敏感です。インフルエンサーを起用した際にはきちんと「PR」の文言を載せる、企業から発信する文言の誇大表現は控えるなど、情報の信頼性を担保していくことも大切です。
⑥買いやすい選びやすい導線設計
Z世代は、インターネットを駆使して効率的に情報を探すなどタイパ(=タイムパフォーマンス)を重視する世代だと言われています。その傾向は購買行動にも影響しており、買い物に対する意識調査では「一ヶ所ですべて買い物ができる方が良い」と答えているZ世代は44%となるなど、買い物に対する効率化も大切であることがわかります。
そのため、購入までの導線設計をわかりやすくし、Z世代がストレスを感じることなく購入できるようにすることが必要です。
サブスクリプション型のビジネスをしている場合には、「解約のしやすさ」にも注意しましょう。
⑦リアルを絡めた接点も大切
また、生まれながらのデジタル世代であることの反動から、リアルで接点への欲求も強いと言われています。そのため、オンラインで完結せず、オンラインからリアル、リアルからオンラインなど、両方を絡めた施策を行なっていくことも有効です。
Z世代へ向けたマーケティングの成功事例
最後にZ世代をターゲットとしたマーケティングの成功事例をご紹介します。
事例①Z世代のインサイトを理解したコミュニケーション設計で認知拡大|SEA BREEZE(株式会社資生堂)
資生堂が販売しているデオドラントブランド「SEA BREEZE」。若年層をターゲットとした商材であるこちらのマーケティングには、Instagram、Twitter、YouTubeといった複数のプラットフォームでのコミュニケーションを採用。公式HPでは店頭で見つからない商品はこちらでとの文言とともに複数の購入チャネルを案内しています。
また、ひとつの商品で複数のボトルカラーの商品を用意し、「推し活に最適」といったメッセージも発信。「推し」のイメージカラーと同じ商品を選べるという切り口は、Z世代の心理をうまく捉えたメッセージとなっています。
Twitter上での商品認知の拡大やクチコミ創出、オウンドメディアへの誘導の仕方にお悩みならこちら
▶大手アカウントが導入しているechoesの支援内容とは?
事例②リアルとデジタルを融合した施策で受験生とのエンゲージメントを高める|カロリーメイト(大塚製薬株式会社)
Z世代の受験生はSNSで「勉強垢」と呼ばれる勉強に関する情報交換や発信を行うアカウントをもっているユーザーも多くいます。こうしたZ世代の受験生の行動に注目した施策を行なっているのがカロリーメイトのInstagram施策です。
同ブランドではInstagramで通常のアカウントと平行してカロリーメイト@勉強垢(@caloriemate.study.official)を運用。日々、受験生の栄養バランスを助けて受験生を応援するというメッセージを伝える情報発信を行なっています。
また、同ブランドでは受験シーズンに「#絵馬メイト」と銘打った企画も実施。受験生から絵馬に書きたいメッセージを募集し、それらを実際の巨大絵馬に書き奉納しました。
デジタルで募集したメッセージを実際のリアルな絵馬に昇華するこの企画はZ世代のインサイトに沿っており、「受験生に寄り添う」という同商品のメッセージを体現している事例です。
事例③Z世代の共感を呼ぶインフルエンサー、コラボ施策を実施|株式会社WEGO
続いてご紹介するのは、アパレルブランド「WEGO」のSNS活用施策です。同ブランドの支持層は高校生を中心としたZ世代。そのため、Instagram、Twitter、TikTokなど様々なプラットフォームでターゲット層とコミュニケーションをとっています。
中でも特徴的なのは、Z世代に人気のインフルエンサーとコラボした投稿や、人気コンテンツとのコラボ商品を多数発表し、コラボをきっかけとしたファンを獲得している点です。
また、WEGOはショップの店員自体がインフルエンサーであり、ショップ店員に会いたいという目的で来店する顧客も少なくありません。こうした社内インフルエンサーの活用も、ブランドとファンとの結びつきを強化しています。
コラボ企画で新規ファンを獲得し、SNSを通してZ世代のユーザーが興味を持ったり共感できるコンテンツを発信して好意度をあげている事例です。
WEGOのInstagram施策についてお聞きしたインタビュー記事です
▶【大切なのはお客様が求めるものを問い続ける姿勢】WEGOが語るInstagramマーケティング成功のポイント!【2021/Instagram×EC・最前線②】
事例④TikTokを活用し、Z世代と積極的なコミュニケーションをとる|ロート製薬株式会社
Z世代にとって関心の高い情報を発信し、さらにコメント欄で丁寧なコミュニケーションを行なっているのがロート製薬株式会社のTikTokアカウントです。
同アカウントでは、学校生活におすすめの日焼け止めやニキビ治療薬の正しい塗り方など、Z世代に役立つ知識やノウハウを投稿しています。また投稿に寄せられたコメントにも丁寧に対応しており、中には化粧品業界に就職したいというユーザーにアドバイスをするなど、商品とは直接関わりのない事柄についても誠意のある返信をしているのも見受けられました。Z世代に寄り添い、ブランドや会社に親しみを与えている事例です。
ファンとコミュニケーションを取っている施策事例をまとめています
▶ファン作りにつながる・マーケティング施策事例10選
TikTokの縦型動画もカンタンに制作できる動画マーケティングサービスとは?
▶非デザイナーでスキルがなくてもクリエイティブが量産できます
事例⑤商品やSNSを通してサスティナビリティを考え実践|湖池屋
商品を購入すること、キャンペーンに参加することで地方創生に取り組んでいるのが、湖池屋です。同社から発売されている「JAPANプライドポテト」の中には、熊本 地鶏炭火焼き味があります。こちらのパッケージには「阿蘇を世界遺産へ」との文言が記されており、湖池屋の公式Twitterアカウント(@koikeya_cp)で行われているリツイートキャンペーンは商品名ではなく「 #阿蘇を世界遺産へ」のハッシュタグを拡散させるものとなっています。また、オンライン限定で販売されている「今金男しゃく」という商品には、農林水産省が推奨する「GIマーク(※)」をプリント。さらに、サスティナビリティについて説明する動画の発信や、サスティナビリティをテーマにしたすごろく商品を販売するなど、商品、情報発信を含めて包括的にこの課題について考え、様々な角度から実践していることが伝わります。「イミ消費」の傾向が強いZ世代からの支持を得た事例です。
※GIマークとは:登録された産品の地理的表示と併せて付すもので、産品の確立した特性と地域との結び付きが見られる真正な地理的表示産品であることを証するもの(出典:地理的表示及びGIマークの表示について|農林水産省)
いかがでしたか?
今回はZ世代へ向けたマーケティングについて、事例もあわせて解説しました。これからの消費や労働を担う中心世代であるZ世代に向け、効果的なアプローチを行うためにご参考ください!