ライブコマースとは?_OGP

ライブコマースは、ライブストリーミング技術を活用し、リアルタイムで商品の取引を行う新たなECのあり方です。

中国をはじめ、日本国内でも短期間に驚くような売上高を達成した事例が数多く出てきており、EC事業者としてライブコマースに関心を寄せている担当者の方も多いのではないでしょうか。

この記事ではEC事業者に向けて、ライブコマースの現状とその将来性について解説するとともに、日本国内の企業による実施事例や今後の展望についても掘り下げます。

事例を通じて、ライブコマースの可能性を理解していただき、新たなビジネスチャンスを探求する一助となれば幸いです。

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ライブコマースとは?

ライブコマースとは、インターネットを通じてリアルタイムで商品の販売を行う新たな形態のEC(電子商取引)のことです。ライブストリーミング技術を活用し、商品紹介から購入までのプロセスを一貫して視聴者に提供します。

ライブコマースの特徴とメリット

リアルタイム性

ライブコマースはリアルタイムで行われるため、生活者は商品に関する質問を動画を視聴しているその場で行うことができ、回答もすぐに得ることができます。例えば「商品の後ろ側を見せて」「もう少し近くに寄って見せて」など、テキスト情報だけではわからないこと、気になることなどを即座に確認できます。これにより生活者は、商品購入前に十分な情報を得ることができます。

インタラクティブ性

ライブコマースは視聴者との双方向の対話を可能にします。これにより、生活者は商品についての詳細な情報を得るだけでなく、納得感・信頼感を持って購入の決定を下し、決済に移ることができると言えるでしょう。

パーソナライズ

ライブコマースでは、生活者の購入履歴や行動パターンに基づいてパーソナライズされた商品推奨を行うことも可能です。

これは、ライブコマースの「リアルタイム性」「インタラクティブ性」と、従来のECの「データ活用」という特性を最大限に活用することで実現します。

ライブコマースプラットフォームでは、生活者がどの商品を見て、どの商品を購入したか、どのライブストリームを視聴したかなど、行動データを収集できる場合があります。さらに、生活者がライブストリーム中にどのようなコメントをしたか、どの商品に「いいね」をしたかなど、細かな反応を収集できるケースも。これらのデータは、生活者の興味や嗜好を理解するための重要な情報源となるため、「パーソナライズ」も実現できるのです。

事業者がライブコマースに参入するうえで理解しておくべき留意点

ライブコマースには、従来のECには無かった特徴・メリットがある一方で、これから参入しようとする事業者にとっては、いくつかのハードルも存在すると言えます。例えば、以下のような点が挙げられます。

技術的な課題

ライブコマースを実施するためには、高品質のビデオストリーミングと安定したインターネット接続が必要です。これらの環境を整えるためには、企業にとって一定の投資が必要となるでしょう。

コンテンツ制作の手間

ライブコマースでは、商品の魅力を最大限に引き出すためのエンターテイメント性の高いコンテンツが求められます。これには、専門的なスキルと制作・準備にかける時間が必要となります。

リアルタイムの対応

ライブコマースはリアルタイムで行われるため、視聴者からの質問や要望に対して即座に対応する必要があります。これには、適切な人員配置とスタッフのトレーニングも必要だと言えるでしょう。

ライブコマースの市場規模

ライブコマースの市場規模は現状、どれほどの規模にまで成長しているのでしょうか?

グローバルなライブコマース市場の規模

グローバルなライブコマースの市場規模を把握する上で、近年におけるライブコマースの急速な発展度合いや認知度が非常に高い、中国のデータをピックアップして見てみましょう。

2022年、中国のライブコマースの総収益は、1兆2,000億人民元 (1,800億米ドル) に達し、視聴者数は合計6億6,000 万人に達するという数字が報じられました。2021年の iResearch(中国のコンサルティング会社)のレポートによると、2023年にはさらに4兆9,000億人民元 (7,200億米ドル) まで増加すると予想されています。これは中国国内の電子商取引総売上高の11.7%を占め、経済に新たな刺激を与えると大いに期待されています。(※1

(※1)China’s Livestream Industry: Impact on Market and Business Strategy

日本のライブコマース市場の規模

日本の2020年における物販系BtoC-EC市場規模は12兆2,333億円です。EC市場規模の1年ごとの伸び率を、7%と仮定したうえでライブコマースの市場規模を推計してみましょう。

2027年の物販系BtoC-EC市場規模は計算上、19兆6,440億円と見込まれます。この市場規模に1.5%を掛けると(米国のECにおけるライブコマース比率は現状3%程度だと言われている。日本におけるEC市場のトレンドは一般的に、「米国に3年程度遅れている」と言われているため、米国よりも控えめな数値を用いて試算)2,947億円となり、あくまで計算上の推論ではありますが、日本でも最大3,000億円近い市場規模を今後期待できる、と考えられます。

市場規模の成長要因

ライブコマース市場の成長は、新型コロナウイルスの影響によるオンラインショッピングの需要増加、スマートフォンの普及、インターネット接続の高速化、SNSの利用拡大など、テクノロジーの進化と生活者の行動変化により推進されています。

また、ライブコマースはリアルタイムで商品の魅力を伝え、生活者との直接的なコミュニケーションを可能にするため、従来のECと比較して購買率が高いという特徴も市場成長を後押ししていると言えます。

ライブコマース先進国:中国の事例

ライブコマース先進国とも言える、中国の例を詳しく見てみましょう。

中国におけるライブコマースの歴史と発展

中国におけるライブコマースは、2015年11月11日「独身の日」商戦を契機として始まり、現在では6億人以上のユーザーがいる市場となっています。「ライブ配信を利用してマーケティングや商品のプロモーションに活用しよう」とスタートし、2015年にはスマートフォン向けのプラットフォームが大量に生まれ、2016年に勢いが爆発しました。

2017年にはライブ配信サービスのユーザーが3.92億人にも上り、主要なプラットフォームがユーザー獲得競争を繰り広げました。

2018年にはライブコマースのプラットフォームはすでに500個を超え、ユーザーはさらに増加し続けている現状があります。

(参照:中国におけるライブコマースの発展&可能性|Business China

中国の主要なライブコマースプラットフォームとその特徴

中国には多くのライブ配信プラットフォームがあります。

例えば、

  • 淘宝直播(Taobao)
  • 抖音直播(TikTok)
  • 快手直播(KuaiSho)
  • 小红书(RED)
  • bilibili
  • 微信ライブ

など、様々なプラットフォームが活用されています。

中でも特に「淘宝直播(Taobao、タオバオ)」のソーシャルバイヤーライブ配信者で、例えばコスメなどの商品を購入したい顧客とオンライン上で接点を持ち、顧客に商品を紹介する役割を担っている人)は注目を浴びています。「タオバオ」では1日6万件を超えるライブ配信が行われ、年間の取引額が1億元を超える配信者を81人も生み出しているそうです。(2018年時点

中国のライブコマースにおける有名な成功事例

中国のライブコマース市場を牽引しているのは、viya(薇娅)氏とAustin(李佳琦)氏という2人の著名インフルエンサー(「KOL=キーオピニオンリーダー」とも呼ばれる)だと言われています。

2020年の1〜3月だけで、2人の売上額の合計は1,080億円に達したと言われています。特にviya氏は宇宙ビジネス関連の企業と連携し、約7億円の小型ロケットの販売に成功したことでも話題になりました。

一方のAustin氏は、15分間に15000本もの口紅を販売するなど、コスメに特化した男性ライバーとして知られ、その一日の最大売上は431億円にのぼったこともあると言われています。

日本国内で利用できるライブコマースのプラットフォームとアプリ

日本国内でも現状、数多くのライブコマースプラットフォームが利用できます。それぞれのプラットフォームは、特色や利用者層が異なります。

【SNS型】

日本で幅広いユーザーに日常的に利用されているSNSプラットフォームを活用すれば、無料でライブコマースが実施できます。

プラットフォームが既にユーザーに認知されているので集客しやすい点が大きなメリットです。

ただし、ユーザーがECの購入画面にたどり着くためには、SNSプラットフォームから離脱して、外部のサイトに移動する必要があります。

無料ではじめられる|Instagram

若年層を中心に日本でも利用ユーザーの多いInstagram。「インスタライブ」の機能を活用することで、商品紹介や販売が可能です。

無料ではじめることができ、本来ビジュアル(写真・動画)コンテンツのためのプラットフォームであるため、ファッションやコスメ、インテリアなど、ビジュアル面からユーザーの関心を引き付ける商材を扱うライブコマースと相性が良いと言えます。

配信可能時間に制限がない|YouTube

世界最大の動画共有プラットフォームで、ライブ配信機能も充実しています。視聴者とのリアルタイムなコミュニケーションが可能で、広告収益の獲得も可能です。

利用者数が多く視聴者を集めやすい、URLを共有した人だけが見られる限定配信機能、投げ銭機能、そして、配信可能時間に制限がないなどのメリットが挙げられます。

【SaaS型】

ライブコマース用に作られたプラットフォームのことを指します。「SNS型」と異なり外部のEC販売サイトに移動せず、同一プラットフォーム内で商品購入に進むことができるため、視聴者は配信を見ているその場でストレス無く買い物をすることができます。

月1万円から利用可能|HandsUP(ハンズアップ)

17LIVE株式会社が運営するライブ配信プラットフォーム「17LIVE」から生まれたライブコマースプラットフォームです。

開発費やサーバー費用などが不要で、月額10,000円(税別)から利用可能という低コスト性が魅力です。

一般的に、多くのプラットフォームは自社のECサイトとの連携を前提としていますが、Hands UPではそのような制限がありません。簡易的なECショップを自由に設立でき、既存のECサイトを持っていない方でもライブコマースの展開が可能です。

自社オリジナルの双方向ライブ配信サイトも作成可能|LIVEPARK

地方創生・観光・地域イベント事業やECなどと、全国のテレビ局や大手プラットフォーマーを組み合わせ、ライブ配信でビジネスの課題解決に取り組む会社「株式会社LivePark」が提供するプラットフォームです。
ライブ配信とECを一体化したプラットフォームで、リアルタイムの商品購入を可能にします。デザイン、機能をカスタマイズして、自社オリジナルの双方向ライブ配信サイトやページも作成できます。

導入〜効果的な活用までの運用サポートを一気通貫で提供|ライコマ

ライブコマースを手軽に始められるプラットフォームで、配信者と視聴者のコミュニケーションを重視しています。ライブコマースの本格運用を目指す企業向けに、独自のツール提供から、導入〜効果的な活用までの運用サポートを一気通貫で提供するソリューションサービスで、月額3万円から始めることができます。

長い開発や難しい作業は一切なく、気軽に自社ECサイトへ導入可能|TAGsAPI

ECサイトにライブコマースを簡単に追加できるプラットフォームで、ライブコマースを自社サイト内で行うことができるようになり、自社ブランドの強化に役立ちます。
必要な作業はECサイトに短いコードを加えるだけ。新たにサイトやストレージを用意する必要はありません。長い開発や、難しい作業は一切なく、気軽に導入できる点が特徴です。

インフルエンサー・タレントを配信者に起用したい企業におすすめ|SHOPROOM

ライブ配信プラットフォームとして知られる「SHOWROOM」のライブコマース機能を活用したツールです。
SHOPROOMでは、視聴者にとって人気の配信者が紹介する商品を購入することが可能です。アイドルや、有名人がプロデュースする商品に関するライブ配信コンテンツも。
インフルエンサーやアイドル、タレントなどを配信者に起用したライブコマースを提供したい事業者に向いていると言えるでしょう。

【ECモール型】

ECモール内でライブ配信機能を提供しているタイプです。ECモール自体の集客力を生かしながら多くの生活者に配信を見てもらえるメリットがあります。

著名ファッション誌とのコラボ配信なども実施|au Wowma! ライブTV

auのECサイトで、ライブ配信を通じた商品紹介や販売が可能です。各商品ジャンルに精通した出演者 (プラットフォーム公認のタレントやインフルエンサー) が生放送でおすすめの商品を、実演を交えながら紹介し、視聴者と双方向かつリアルタイムでコミュニケーションをしながら買い物をしてもらえるライブコマースサービスです。若年女性向けの著名なファッション誌「CanCam」とコラボレーションした特別番組なども開催実績があります。

テレビショッピングのような形式で商品を紹介|ABEMA Shopping

ABEMA Shopping
[画像引用]https://www.abemashopping.jp/about/
[ABEMA ShoppingのURL]https://www.abemashopping.jp/

インターネットテレビ局「AbemaTV」の子会社「買えるAbemaTV社」が運営しています。
ABEMAのショッピングチャンネルで、テレビショッピングのような形式で商品を紹介します。AbemaTV視聴者にアンケートを通じてリアルな声を聞き、その声をもとにスキンケア製品を開発・販売するD2C事業や、タレントコラボ事業なども手掛けています。

日本の企業によるライブコマース事例

日本企業によるライブコマース事例と、そのラーニングなどを紹介します。

2020年より定期的に実施|ユニクロ

2020年にユニクロは「UNIQLO LIVE STATION」というライブコマースを立ち上げました。ファッションモデルやタレントがユニクロの衣服を着用し、ライブストリーミングを通じて視聴者の質問や悩みに対応しながら、衣服の特性、着心地、そしてコーディネートについて説明を行っています。

参照:ユニクロとジーユーがライブコマースをスタート、ECサイトとアプリで展開|ネットショップ担当者フォーラム

店舗スタッフが出演|無印良品

無印良品も、直近の数年でライブコマースの取り組みをはじめています。
その一例として、2021年12月初旬に実施したライブ配信では、「冬のおうち時間」に役立つ商品の紹介を目的としており、無印良品東京有明のスタッフが商品の担当者と共に出演。配信中には、『あたたかファイバー着る毛布パジャマ』『コードレスアロマディフューザー』『フィットするソファ』などの商品の特長と、それらを冬のおうち時間にどのように取り入れるかを紹介しました。また、視聴者からのチャットによる質問にも応え、紹介した商品の購入リンクも提供しました。このライブ配信は、無印良品のライブコマースページ、公式Instagram、そして無印良品東京有明の公式Instagramで行われました。

毎月のライブコマースで売上増|ニトリ

ニトリホールディングスは、2023年3月期の国内通販売上高が前期比28.3%増の911億円となりました。これは、毎月ライブコマースで季節に応じた商品を販売し、配信中にクーポンを配布するなどしてユーザーの購入を促進した結果だとも言われています。2023年3月期中には、合計86回のライブコマースを実施し、累計視聴者数は260万人以上に達しました。また、ニトリは「快眠サポート特集」や「新生活お薦めベッド特集」など、季節のニーズに対応した企画を実施し、商品に詳しいスタッフがライブコマースに出演したり、クーポンを配布したりすることで、購入を促進しています。

参照:ニトリHD、通販売上28.3%増の911億円 ライブコマースを86回開催、累計260万人超が視聴|TECH+

自社スタジオを利用したインフルエンサーによるライブコマースで完売続出|しまむら

しまむらは、2023年2月期のEC売上高が前期比46.4%増の41億円となり、期初計画の40億円を上回りました。これは商品のバリエーションを拡大し、ライブコマースなどの販促を強化したことが増収に寄与した結果です。自社スタジオを利用したインフルエンサーによるライブコマースが効果的で、完売商品も続出し、その効果が明らかになっています。

参照:しまむら、EC売上は46.4%増の41億円 4事業そろい商品拡大、限定商品やライブコマースが好調|日本ネット経済新聞

ライブコマース専用のWebサイトを立ち上げ|ヤーマン

美容と健康機器で知られるヤーマンは、2021年9月にライブコマース専用のWebサイトを立ち上げました。同社は中国のライブショッピング市場で得た知識を最大限に活用し、初めてのユーザーでも理解しやすい情報提供と、質と量の両面で優れたライブストリーミングを提供しています。

参照:ライブコマース情報発信特設ページ『YA-MAN ライブショッピング』を公開

ライブコマースを通じて顧客エンゲージメントを向上、ロイヤルカスタマーを醸成|ミルボン

ミルボンは、美容業界向けの製品を提供するメーカーとして、ライブコマースを活用しています。ライブコマースの配信を通じて商品の魅力やおすすめの使い方など、情緒的な部分を伝えることに重きを置いています。また、視聴者とのインタラクティブなコミュニケーションを通じて、店頭では不可能なリッチな接客体験を提供し、顧客にとってより納得感のある心地良い購買体験を生むことを目指しています。
その結果、ライブコマースの視聴を通じて、ブランドに対する好意形成、商品理解、購入意向など、好意的な態度変容を起こす顧客が約9割に達しています。
ライブコマースを通じて顧客のエンゲージメントを向上させ、ロイヤルカスタマーを醸成する一助となる活動を行っています。

参照:わずか半年で2万人以上が視聴 ミルボンが売上とエンゲージメントを向上させたライブコマース活用|Markezine

ライブコマースの未来と可能性

ライブコマースは世界中で急速に成長していると言えます。

特に中国ではここ数年の急速な市場規模拡大が目覚ましく、米国や日本も今後、その動きに追従していくと考えられ、日本国内では直近の数年以内に最大で3,000億円近くにまでその市場が拡大していくことも期待できます。

ライブコマースは従来のECでは不可能だった、新たな商品の見せ方や、消費者とのリアルタイムな双方向のコミュニケーションを可能にし、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性が大いにあると言えます。

そのため、その動向を注視し、可能性を最大限に活用することが重要です。

この記事の著者

景山 真理

景山 真理

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、Webメディア・紙媒体で活動しています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、デジタルトランスフォーメーション。
Website:Mari Kageyama Writing Works

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