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東南アジアで成功する越境EC戦略のポイント~ASEANのEC市場動向から実践的進出ノウハウまで~【セミナーレポート】

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投稿日: 2016年8月10日

越境ECの進出先として注目を集める東南アジア。各国のECの将来性や、国内企業が越境ECで成功するためのポイントなどを、現地の「今」を知るスピーカーが解説したビジネスセミナーをレポートします!

 

東南アジアで成功する越境EC戦略のポイント~ASEANのEC市場動向から実践的進出ノウハウまで~【セミナーレポート】

 

企業のソーシャルメディア・マーケティングを支援するアライドアーキテクツ株式会社と、東南アジアにおけるオンライン調査を手掛けるDI Marketing社は7月21日、「東南アジアにおけるEC戦略セミナー」と題する企業向けセミナーを開催しました。

株式会社コーセーコスメポートの海外事業責任者や、東南アジアで展開する大手通販支援会社aCommerce社の創業者らがスピーカーとして登壇。東南アジア各国のECの現状や将来性のほか、日本企業が東南アジアでの越境ECで成功するためのノウハウなどを解説しました。

会場では、オンライン調査データや購買データに裏打ちされた各国の消費動向の情報、実践的な越境ECのノウハウを聞き逃すまいと、熱心にメモを取る聴講者の姿が目立ちました。

 

【プログラム】

第一部

「今、ASEANの魅力」

株式会社コーセーコスメポート 戦略事業部 副部長 山崎 秀樹氏

 

第二部

「アジア通販事業経験から得た『成功通販の共通点』~物流・決済・商習慣のリアル~」

aCommerce Thailand CEO Tom Srivorakul氏(メインスピーカー)

DI Marketing CEO 加藤 秀行氏(通訳兼スピーカー)

 

第三部

「Facebook広告を活用した段階的APAC進出プラン」

アライドアーキテクツ株式会社 アドテク事業部 部長 村岡 弥真人

 

 

 

第一部「今、ASEANの魅力」
データから読み解くASEANへ進出すべき理由

 

セミナーの第一部では、東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるEC市場の将来性や、日本の企業がASEANへ進出する際のポイントなどについて、化粧品やトイレタリーの製造販売を手がける株式会社コーセーコスメポートの戦略事業部・山崎 秀樹副部長が解説しました。

 

株式会社コーセーコスメポート 戦略事業部 副部長 山崎 秀樹氏

株式会社コーセーコスメポート 戦略事業部 副部長 山崎 秀樹氏

 

■中華圏の外需頼みは岐路

山崎氏は冒頭、日本のメーカーや小売企業がASEAN進出を検討すべき理由の一つとして「中国頼み」の日本経済が岐路を迎えている現状を、マーケットデータを示しながら次のように解説しました。

 

“(1)中国人観光客数は引き続き増加しているが、1人当たりの消費額はマイナス傾向で、「爆買い」の勢いは停滞気味。需要が無くなりはしないが鈍化または微減の見通し。

 

(2)中国への越境ECがブームとなりつつあるが、実際に成功している日本企業はまだそれほど多くない。中国政府が輸入規制の強化を検討しているとも伝えられており、不透明感が漂う。(山崎氏)”

 

山崎氏はこうした現状を踏まえ、中国からのインバウンドや中国向けの越境ECだけを頼りにするのではなく、輸出先としてASEANを視野入れることが重要だと強調。「日本の企業が売上拡大を目指すのであれば、事業のポートフォリオを強化するために、将来的に成長する可能性が高いASEANに今から投資しておくことが必要ではないか」(山崎氏)と指摘しました。

 

■ASEANは人口ボーナス続く

続いて、ASEAN各国の消費動向や人口動態といったさまざまなデータを示しながら、各国のEC市場の将来性について解説しました。

 

“ASEAN諸国の多くは国民一人当たりのGDPが、現時点では日本や中国と比べて小さいものの、国民の平均年齢が20代後半から30代前半と若いため、人口ボーナス(人口増加によるGDPの拡大)が当面続く可能性が高い(山崎氏)”

 

さらに、国の面積あたりの小売店(実店舗)の数が日本と比べて少ないことから、将来のEC化率は日本よりも大幅に高まる可能性を秘めているとの見解を示しました。

 

人口動態や国の面積あたりの小売店の数などを示し、ASEANにおけるECの将来性の高さを説明

人口動態や国の面積あたりの小売店の数などを示し、
ASEANにおけるECの将来性の高さを説明

 

■商習慣の違いに配慮が必要

ASEAN各国は文化や宗教観が国ごとに大きく異なり、消費されやすい商品と消費されにくい商品の差がはっきり現れる傾向にあることから、「ASEANへ進出を検討する際は、自社の取扱商品に関する各国の消費動向を十分に分析することが重要」(山崎氏)であることも強調しました。その上で、各国の文化や消費支出の特徴などを解説しながら、企業が進出先を選ぶための方法を解説しました。

 

データを示しながらASEAN各国の市場動向を解説

データを示しながらASEAN各国の市場動向を解説

 

山崎氏は講演の総括として、「ASEANは現時点ではブルーオーシャンとは言いにくいかもしれない」としながらも、「企業のポートフォリオを強化するためには十分に可能性がある地域。人口動態やEC化率が高まりやすい外部環境を踏まえれば、将来はブルーオーシャン化していく可能性が十分にある」と締めくくりました。

 

 

 

第二部「アジア通販事業経験から得た『成功通販の共通点』
~物流・決済・商習慣のリアル~」
東南アジアの大手通販支援企業CEO、東南アジア調査会社CEOが解説

 

第二部では、ASEANで通販支援を手掛けるaCommerce社のCEOを務めるTom Srivorakul氏がスピーカーとして、ASEANでオンライン調査を手掛けるDI Marketing CEO 加藤 秀行氏が通訳兼スピーカーとして登壇。aCommerce社の事業内容の説明から始まり、ASEANにおけるECの特徴や、越境ECで成功するためのポイント、消費者動向の調査結果、クライアントの成功事例などを解説しました。

 

aCommerce Thailand CEO Tom Srivorakul氏。 タイで著名な連続企業家。過去4社を起業し、3社の売却に成功。aCommerce社は5社目の挑戦。

aCommerce Thailand CEO Tom Srivorakul氏。
タイで著名な連続企業家。過去4社を起業し、3社の売却に成功。
aCommerce社は5社目の挑戦。

 

 

 

DI Marketing CEO加藤 秀行氏。 オンライン定量調査に強みを持ち、東南アジア各国への定量・定性調査、 パートナーとの提携交渉など、日系企業の東南アジア進出全般をサポート。

DI Marketing CEO加藤 秀行氏。
オンライン定量調査に強みを持ち、東南アジア各国への定量・定性調査、
パートナーとの提携交渉など、日系企業の東南アジア進出全般をサポート。

 

 

■ASEAN向けECを一貫支援

まず冒頭で、2013年の創業以来、インドネシア、タイ、ベトナム、シンガポールなどでECサイトの構築、ネットショップの運用、オンライン広告運用、決済、通関手続き、ロジスティクス全般、顧客対応、SNS運用、商品の販売許認可の取得などを代行するaCommerce社の事業内容が紹介されました。「ECに関する業務をワンストップで受託するのが強み」(Tom Srivorakul氏)「進出サポート・調査・テストマーケまで含めたワンパッケージが日系顧客の信頼を得て、取り組みが増加中」(加藤氏)とのこと。

 

【aCommerce社の概要】

・ECに必要な業務をワンストップで代行

・顧客はファッション、家電、食品、化粧品など幅広い

・1日の注文処理件数は平均5万件、ピークは10万件

・クライアントは中小企業からロレアル、ユニクロといった大手まで

・各国のECモールに対応しており、在庫や注文の一元管理が可能

・取扱高は毎年、前年比2倍以上で成長

・国際的な大手配送会社と提携している他、都市部では自社配送も実施

・現地の販売許認可の取得も代行

※参考:aCommerce公式サイト
http://www.acommerce.asia/

 

■ASEANのEC市場概要と消費動向

続いてTom Srivorakul氏が、ASEANのEC市場の特徴や、各国の消費動向を踏まえ、ECで成功するためのポイントを解説しました。

 

【ASEANのEC市場の概要】

・売れ筋は食品、化粧品、家電、アパレル

・半数以上はモバイルで注文(スマホ利用者は2.2億人)

・ASEAN各国に合計200以上のマーケットプレイスが存在

・宅配ロッカーや店頭受け取りも普及しつつある

・BtoBのECも急拡大している

 

【ECの消費動向】

(1) 品揃えを最も重視

ECで重視する項目の1位は「品揃え」、2位は「配送費用」、3位は「好きなブランドが見つかるか」、4位は「値段」。3年前の調査では「値段」が1位だったが、「最近では顕著に『ECでしか手に入らない商品』を重視するユーザーが増えておりトレンドに変化がみられる」(加藤氏)。

 

(2) 配送日数を重視

配送日数は平均3~5日。配送日数が1日伸びると売り上げが10%下がる。

 

(3)支払いはCODが主流

ASEANの消費者は代金を先払いすることに対する心理的なハードルが高いため、商品を受け取ってから現金やカードで支払うキャッシュ・オン・デリバリー(COD)が主流。決済手段としてCODを取り入れた直後に売り上げが40%も伸びた事例もある。

 

さまざまなマーケットデータを示しながら東南アジアのECの動向や、成功事例を解説していく

さまざまなマーケットデータを示しながら東南アジアのECの動向や、成功事例を解説

 

■東南アジアでのオンライン販促の成功事例

Tom Srivorakul氏はクライアントの成功事例も紹介。大手消費財メーカーがEC限定のバンドル販売で大成功した例や、アメニティーメーカーがオンライン限定プレゼントを実施して売り上げを伸ばした例などを挙げながら、東南アジアで成功した具体的な企画を公開しました。また、化粧品などの販売許認可を現地で取得する前に、Facebook広告を使ってテストマーケティングを行う方法など、実践的なノウハウも公開。多くの聴講者が熱心にメモを取る姿が見られました。

 

最後にTom Srivorakul氏は、越境EC支援の委託費用などを説明したのち、越境ECのパートナーとしてaCommerce社を選ぶメリットとして「迅速にASEANの市場に参入できる」「必要に応じて業務をワンストップで委託出来る」「aCommerce社が持つ膨大なマーケットデータを活用できる」ことを挙げ、加藤氏が「事前調査、プレマーケティングから本格進出まで低価格でサービスを利用できる」とまとめました。

 

講演後には聴講者との質疑応答も実施。「ASEANのECでメールマガジンは有効か」「現地の物流や配送のインフラの現状は」「現地語に対応したクリエイティブの制作を委託できるか」「ベトナムの決済インフラの状況」など、実務に役立つ活発な質疑応答も行われました。

 

聴講者との活発な質疑応答も

聴講者との活発な質疑応答も

 

 

 

第三部「Facebook広告を活用した段階的APAC進出プラン」
試験販売から本格進出まで一貫支援

 

セミナーの第三部では、アライドアーキテクツ株式会社・アドテク事業部の村岡弥真人部長が、アジア太平洋地域(APAC)で越境ECを始める際のテストマーケティングの手法などについて解説。同社が手掛ける越境ECのサポートについても説明しました。

 

アライドアーキテクツ株式会社 アドテク事業部 部長 村岡 弥真人氏

アライドアーキテクツ株式会社 アドテク事業部 部長 村岡 弥真人氏

 

■まずはFacebook広告でテストマーケティング

村岡部長はAPACへの越境ECを行う際の課題として、「各国の文化や宗教観が日本とは大きく異なるため、現地の消費者にどのような商品が受け入れられやすいのかが分かりにくい」ことがあると指摘。その課題を解決するには、海外進出を「市場調査」「本格的な越境EC」「現地における支店開設や現地法人設立」の3つのフェーズに分け、まずは低コストで市場調査を行うことが重要だと説明しました。

 

“当社がAPACへの越境ECをサポートする際は、Facebook広告を使ったテストマーケティングを推奨している。過剰な在庫リスクを取らず、まずは現地で売れる商品のシグナルを探す(村岡氏)”

 

村岡氏によると、東南アジア各国はFacebookの利用率が高く、国によってはインターネットユーザーの94%を占めるとのこと。そのため、Facebook広告を使って、どの国で、どのような商品が売れるのかを調査することが有効なのだそうです。

 

東南アジア各国におけるFacebook利用率の高さを説明

東南アジア各国におけるFacebook利用率の高さを説明

 

■現地のクリエイターによる広告制作の利点

続いて村岡氏は、Facebook広告を使ったテストマーケティングの方法やポイントについて解説しました。

 

【テストマーケティングの方法】

・現地語の広告を配信し、消費者をECサイトへ誘導

・受注した商品は日本国内の倉庫から直送

・送料を企業が負担するなど利益は度外視

 

Facebookに出稿する広告の効果を高めるには、現地語で制作するのはもちろんのこと、現地の文化や価値観を踏まえたビジュアル・クリエイティブが必要となります。その課題を解決するため、アライドアーキテクツは広告クリエイティブの制作を現地のクリエイターに依頼し、現地の消費感覚にあった広告を出稿することができる広告制作サービス「ReFUEL4」を提供しています。

 

“当社は、93カ国に約1万2000人のクリエイターを抱えており、言語や文化に精通したクリエイターが、広告やランディングページを制作している。広告の運用や効果測定、Facebookメッセンジャーを使った顧客対応も現地語で行う(村岡氏)。”

 

村岡氏は、Facebook広告を活用した成功事例として、音楽ストリーミング大手のSpotifyがマレーシアで配信した広告を紹介しました。

 

Spotifyが実施したFacebook広告で特にCPI(Cost Per Install)が優れていたのは、マレーシアのナショナルアニマルであるトラの画像を使った広告だったとのこと。マレーシア国民の多くがトラに親しみを感じることを理解している現地のクリエイターを起用したからこそ、トラを利用するアイデアが生まれ、大成功したそうです。

 

■パートナーと共に本格進出を支援

越境ECに取り組む企業がFacebook広告でテストマーケティングを行った後は、本格進出を検討することになります。その際、本格的なマーケティングや商品の販売認可の取得、ECサイトの構築・運用、物流・配送などは、DImarketing社およびaCommerce社が共同して手掛けます。村岡氏は、3社が連携して東南アジアへの進出をワンストップで支援することで、日本のメーカーや小売企業の成功を後押し出来ることを強調し、講演を締めくくりました。

 

セミナー終了後には、スピーカーに質問する聴講者や、聴講者同士で越境ECに関する情報交換を行う姿も見られ、書籍やインターネットだけでは得にくいリアルな情報に触れられることがセミナーの魅力だと改めて感じる一幕でした。

 

<取材・執筆>
ライトプロ株式会社 渡部 和章
http://writepro.co.jp/

 


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