ユーザーがSNSなどに投稿した写真(UGC)をWebサイトや広告のクリエイティブに活用することで、クリック率やコンバージョン率を向上させる取り組みへの注目が高まっています!

 
今回は通販化粧品ブランド「ライスフォース」などの成功事例を交え、最新のUGCマーケティングを解説したセミナーのレポートをご紹介します。
 
株式会社アイム HC事業部事業部長 兼 国際部部長 山下 省三 氏(写真左)と、アライドアーキテクツ株式会社 マーケティング事業本部「ブツドリソーシャル」プロダクトマネージャー 久保田 潔(右)

株式会社アイム HC事業部事業部長 兼 国際部部長 山下 省三 氏(写真左)と、
アライドアーキテクツ株式会社 マーケティング事業本部
「ブツドリソーシャル」プロダクトマネージャー 久保田 潔 氏(右)

 

パネルディスカッションとビジネスセミナーにEC事業者ら40人以上が参集

ソーシャルメディア・マーケティング支援を行うアライドアーキテクツは、通販化粧品ブランド「ライスフォース」を手がける株式会社アイムの山下省三事業部長をゲストに招き、UGCのマーケティング活用をテーマとしたセミナーを開催しました。
※UGC=User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ
参考:UGCとは?~今知っておきたい!要注目のマーケティング・キーワード~
http://smmlab.jp/?p=36113
 
UGCを広告のクリエイティブに活用するメリットなどについてディスカッションしたほか、実際にUGCを活用して、バナーのクリック率やコンバージョン率の向上に成功した事例などを紹介しました。
また、アライドアーキテクツの鬼山真記氏が講師を務めたセミナーパートでは、同社のクライアントが取り組んでいるUGCマーケティングの成功事例を踏まえ、UGCを広告クリエイティブに活用するメリットや、成果を上げるためのノウハウを解説しました。
 
当日はEC事業者ら40人以上が参加した

当日はEC事業者ら40人以上が参加した

 

【パネルディスカッション】UGCを活用すべき理由とUGCマーケティングの成果

 
パネルディスカッションに登壇したのはアライドアーキテクツの西田貴一取締役と久保田潔氏、株式会社アイム・HC事業部の山下省三事業部長の3人。「UGCを広告クリエイティブに活用すべき理由」「UGC活用の効果」「今後のUGCの可能性」などをテーマにディスカッションしました。
アライドアーキテクツ株式会社 CTO 西田 貴一

アライドアーキテクツ株式会社 CTO 西田 貴一 氏

 

滞在時間が2倍、コンバージョン率が1.5倍に向上した理由

 
山下氏は通販事業で取り組んでいるUGCマーケティングの現状や成果について、「アイムは2015年11月から、Instagramなどに投稿された『ライスフォース』に関する写真を、ECサイトや広告のクリエイティブに活用しています。消費者が生活の中で撮影した商品の写真を使うことで、使用者のリアルな感想を表現し、共感を呼ぶ効果を期待してUGCの活用を開始しました」と語りました。
山下氏によると、「ライスフォース」の広告のランディングページ下部にUGCを掲載したところ、掲載部分の閲覧時間が大幅に増加。その結果、ユーザーのサイト滞在時間は従来比2倍、コンバージョン率は1.5倍に向上するなど高い成果を上げました。
 
ヒートマップ分析の結果を使い、UGCの掲載部分の閲覧時間が大幅に伸びたことを説明した

ヒートマップ分析の結果を使い、UGCの掲載部分の閲覧時間が大幅に伸びたことを説明した

 
西田氏は広告のランディングページにUGCを使ったことでユーザーの滞在時間が伸びた理由について、「流入したユーザーのコンテキスト(文脈)に合わせた画像を使ったためではないか」と指摘。広告のクリエイティブにUGCを使った場合、リンク先のサイトにもUGCを使うことで、「ユーザーのブランド体験に一貫性が生まれ、コンバージョン率が高まる可能性がある」と仮説を述べました。
 
 

UGCは数多く試し、ABテストで絞り込むべき

 
広告のクリエイティブに使うUGCを選ぶ基準について山下氏は、「まずは用意したものを全部試してみて、ABテストを行って絞り込んだ方が良いと思う」と述べました。その理由として、「自分では良いと思った写真の効果(クリック率など)が低いことはよくある」と説明しました。
UGCとの向き合い方については、「 #ライスフォース のハッシュタグ検索の結果が、お客様が抱いているライスフォースのブランドイメージなのだと思う」と語りました。
アイムはUGCを収集し、ECサイトなどに掲載する際、アライドアーキテクツが提供しているUGC活用ツール「ブツドリソーシャル」を利用しています。「ブツドリソーシャル」はUGCの収集と運用、ABテストなどを行うツール。山下氏は、専用ツールを使うことで効率的にUGCマーケティグを実施できるようになったと説明しました。
 
「ブツドリソーシャル」のプロダクトマネージャーを務める久保田氏は、「SNS上のコンテンツを活用してECサイトのコンバージョン率を高める」といい、機能の特徴を次のように説明しました。
 
【「ブツドリソーシャル」の特徴】
・ハッシュタグなどを使いInstagram上の画像を収集する
・サイトにJavaScriptコードを1行埋め込んで画像を表示
・掲載画像の差し替えを管理画面で簡単に行える
・効果測定機能を使って画像のABテストを実施できる
・カゴ落ちしたユーザーにリカバリーメールを配信できる
・ユーザーのクリック履歴や行動履歴を分析できる
 
 
アイムも利用しているUGCマーケティングツール「ブツドリソーシャル」

アイムも利用しているUGCマーケティングツール「ブツドリソーシャル」

 
「ブツドリソーシャル」はアイムの他にも、化粧品メーカーや食品通販、アパレルメーカーなどが利用しており、いずれもコンバージョン率アップなどの成果が出ていることから、UGCのマーケティング活用がジャンル限定ではない有効施策であることがうかがえます。
 
 

アンバサダーの育成に必要なこととは?

 
続いて西田氏は、良質なUGCを生成してくれるアンバサダーの存在も必要だと指摘した上で、どのようにアンバサダーを探しているか山下氏に質問しました。
山下氏は、「ブランドのことをしっかり理解した上で、商品の魅力が伝わる写真を投稿してくれる人に依頼したい」と回答。フォロワーが多いインスタグラマーを斡旋するサービスもあるものの、すべてのインスタグラマーがブランドへの理解と愛情を込めた「良質な写真」を投稿してくれるとは限らないことから、自分たちでアンバサダーとなってくれそうなユーザーを地道に探していると説明しました。
 
アンバサダーを地道に発掘していることなど、アイムのUGCマーケティングの取り組みを詳しく解説した

アンバサダーを地道に発掘していることなど、アイムのUGCマーケティングの取り組みを詳しく解説した

 
西田氏は、UGCマーケティングとは「ユーザーから力を貸してもらうことだと思う」と述べた上で、UGCは企業がコントロールできないというリスクはあるものの、「SNS上で商品のことを話題にしてくれているユーザーを味方にしていくのが良いのではないか」と語り、パネルディスカッションを締めくくりました。
 
 
 

【ビジネスセミナー】UGCを広告に活用して成果をあげるポイントは?EC企業の成功事例を踏まえ解説

 
続いて、アライドアーキテクツ・アドテク事業部の鬼山真記氏が登壇し、「ユーザーコンテンツを活用したSNS広告について」と題するセミナーを行いました。UGCをSNS広告に活用して高い成果を上げたEC事業者の事例をもとに、ダイレクトレスポンス広告のクリエイティブ制作のポイントなどを解説しました。
 
アライドアーキテクツ株式会社・アドテク事業部 鬼山真記氏

アライドアーキテクツ株式会社・アドテク事業部 鬼山 真記 氏

SNSユーザーの行動の特徴とは?

鬼山氏は冒頭、SNSでクリックされやすい広告を作るには、SNSユーザーの心理を理解する必要があると述べ、SNSユーザーの特徴を次のように説明しました。
 
■ソーシャルメディアはプライベートな空間
Facebookなどのタイムラインはユーザーにとって極めてプライベートな空間なので、企業の宣伝活動は原則的に嫌われると心得ておくべき。
■SNSユーザーはメリットのある情報しか見ない
SNSは食事中やテレビの視聴中、就寝前など「ながらスマホ」の状態で利用されることが多い。ユーザーは受動的にサービスに向き合っているため、よほど自分にメリットがある情報しかクリックしない。
“リスティング広告などで有効な「残りわずか」「50%オフ」「キャンペーン中」などのフレーズはSNSでは嫌われやすい。逆に、「乾燥肌に効く5つの美容テクニック」など、ユーザーのメリットが具体的にわかるクリエイティブはクリックされやすい(鬼山氏)”
 
 

SNS上でユーザーから好まれる広告とは

続いて鬼山氏は、SNS上でユーザーから好まれる広告の要素として、「知って得する情報」「友人や知人のクチコミ」「友人や知人のリアルな体験」を挙げました。この3つの要素を踏まえて広告のクリエイティブを作ることが有効だと説明した上で、同社がクリエイティブ制作を支援して成果を上げた通販会社の事例を紹介しました。
 

【成功事例】製薬会社の通販事業

商品:ダイエット系の特定保健用食品
販売方法:ツーステップ・マーケティングで定期会員を獲得
課題:潜在顧客へのオンラインでのリーチ
<施策>
それまで使用していたオンライン広告のクリエイティブは、商品の機能や価格を約50文字で説明する「スペック訴求型」だった。さらなる広告効果の改善を図るため、クリエイティブを「記事風」に変更。300~400文字を使い、雑誌記事のような文体で商品を紹介する内容にした。
<結果>
Facebookの「関連度スコア」が従来の2~3点から、7~10点へと跳ね上がったほか、クリック率が3%から8%へと上昇。クリック単価は20円という驚異的なパフォーマンスを示し、CPAは計画の8000円に対して5000円まで下げることに成功した。このときはリマーケティングを実施せず、Facebookの類似ユーザーへのアプローチのみだった。
 
Facebookの「関連度スコア」が7~10点に上昇したほか、CPAも大幅に改善するなど高い成果を上げた
 

Facebookの「関連度スコア」が7~10点に上昇したほか、CPAも大幅に改善するなど高い成果を上げた

 
鬼山氏によると、飲料通販を手がけている別の企業でも同様の施策を実施したところ、先の製薬会社と同じく関連度スコアやクリック率が向上。このようにユーザー視点でのメリットに着目したクリエイティブ制作の手法は汎用性が高い施策=SNS広告の勝ちパターンであることが実証されたそうです。
そこでさらに広告クリエイティブをユーザーコンテキスト化する取り組みとしてUGCの広告活用を提唱。カゴメ株式会社が手がけている野菜ジュースの通販事業では、広告のバナーにUGCを活用したところ、CVRが162%改善するなど高い成果を上げたことも紹介しました。
 
 

カゴメは広告のバナーにUGCを活用して成果を上げているカゴメは広告のバナーにUGCを活用して成果を上げている

 
 

SNS広告を成功させるための独自ソリューション「Letro」

続いて鬼山氏は、UGCマーケティングを効率的に実施するために同社が開発したツール「Letro(レトロ)」を紹介しました。
「Letro」はInstagram上のUGCを収集し、投稿者への利用許諾申請、広告運用、効果測定まで一貫実施できるツール。Instagram上のオーガニックなUGCを収集するだけでなく、商品サンプリングなどを通じてハッシュタグ付きの投稿を促すプロモーション機能も備えています。
 
「Letro」はUGCの収集、投稿者への利用許諾の申請、広告運用、効果測定まで一貫して行える

「Letro」はUGCの収集、投稿者への利用許諾の申請、広告運用、効果測定まで一貫して行える

 
鬼山氏は「Letro」を利用しているEC事業者の成功事例を紹介。化粧品通販のエクスパンドは、バナー広告にUGCを活用したことでクリック率が従来の1.6倍、流入数は2倍に増加したそうです。
 
「Letro」を利用しているエクスパンドの成功事例

「Letro」を利用しているエクスパンドの成功事例

 
 

ユーザーの気持ちを理解してクリエイティブを作る

 
鬼山氏はセミナーの終盤に、SNS広告に取り組む際の注意点として、改めて「ユーザーから好かれるコミュニケーションの方法を理解すること」と強調しました。また、ダイレクトレスポンス広告の媒体としてSNSを利用する企業が増えていることや、その中から高い成果を上げたケースも出てきていることに言及した上で、アライドアーキテクツは「Letro」などのシステム提供も含め、EC事業者のSNS広告施策も積極的に支援していることを説明し、セミナーを終えました。
 
■取材・執筆
ライトプロ株式会社 渡部 和章
http://writepro.co.jp/


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