スタッフコンテンツ活用パターン4選

いま、アパレルやコスメ・美容業界などを中心に、スタッフによるSNS投稿や、スタッフが作成した商品紹介やレビューといったコンテンツ活用が注目されています。

この記事では、スタッフによるコンテンツが注目される背景や、ブランド・店舗運営における重要性、具体的な成功事例を紹介します。非対面接客を充実させるためのスタッフ投稿の活用方法や、その効果的な運用ツールについても解説。デジタル顧客接点の強化を図ろうと考えている企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

企業×スタッフコンテンツの活用とは

近年、おもに

  • アパレル
  • コスメ
  • 美容
  • 小売

といった業界で、スタッフが作成したコンテンツの活用が注目されています。

たとえば、店舗やブランドの公式SNSアカウントとは別途、従業員が自らのSNSアカウントを持ち、所属や勤務先を明示しながら、個人としてInstagramやTikTokなどを活用。店舗の取扱商品を紹介するケースなどが当てはまります。スタッフ個人のSNS活用により、顧客との直接的なコミュニケーションが可能となり、多くのフォロワーを獲得する事例も見られます。

また、スタッフ個人のSNSだけでなく、企業公式アカウントのライブ配信などでもスタッフを前面に出し、従業員をフィーチャーする施策が増えてきています。これにより、顧客との距離が縮まり、より親しみを感じてもらいながら接点を持つことができるでしょう。

このような取り組みは、顧客との信頼関係を深めるための新しいアプローチとして、多くの企業で取り入れられています。従業員のリアルな声や日常を共有することで、ブランドの魅力や、商品の良さをより身近に感じることができるのです。

スタッフコンテンツが注目される背景

スタッフコンテンツへの注目が高まっている理由は、どうしてなのでしょうか。その背景を紐解きます。

コロナ禍の影響で、世の中はデジタルトランスフォーメーション(DX)の波に乗り、生活者の行動も大きく変わりました。特に生活者は、買い物や商品選びについての情報を、デジタル上で求めるようになりました。買い物の前に信頼する情報は、「第三者のクチコミ」というデータもあります。

このような背景から、スタッフコンテンツは大きな価値を持つようになりました。特にアパレルやコスメ業界では、スタッフが生活者に近い視点で、商品の使い心地・着ごこちなどを語る事例が数多く見られます。企業に所属しているスタッフの投稿と言えども、生活者視点に立って語られる第三者のクチコミ的な要素が強く、生活者からは、信頼性の高い情報源として受け取られていると言えます。

さらに、コロナ禍で多くの店舗・企業は、営業を自粛せざるを得なくなったため、その間にSNSやその他デジタルチャネルでの情報発信を強化するリソースを増やすことができました。このような状況を背景に、国内のSaaS企業などが、スタッフコンテンツ投稿をサポートするデジタルツールを開発・提供する動きも活発化しています。

このように、社会的な背景や生活者の行動変化、そしてテクノロジーの進化が、スタッフコンテンツの注目を高める要因となってると言えるでしょう。

それでは具体的に、スタッフコンテンツを前面に押し出している企業事例を見てみましょう。

例①アパレル「アーバンリサーチ」で人気のスタッフアカウント

人気セレクトショップ「アーバンリサーチ」の公式オンラインショップには、店舗スタッフが着用イメージやコーディネート例を発信する名物コーナーがあります。

ここで顧客から高い支持を得ているスタッフは、「アーバンリサーチ」公式によって前面に押し出されており、オンラインショップ内に人気スタッフへのインタビュー記事を掲載したり、そのスタッフの個人Instagramアカウントも紹介されています。

個人Instagramアカウントのプロフィールでは、勤務先店舗を公開しつつ、「中1の男の子ママ」といった個人的なプロフィールも添えられています。生活者から見て、たとえば「自分と似た立場だな」など、どのような人物なのかイメージしやすく、より親近感が湧きます。たとえ実際に会ったり話したりしたことがなくても、どんな人がアーバンリサーチの服を愛用していて、実際の生活の中で着こなしを楽しんでいるのか、詳細にイメージしやすくなるでしょう。

企業がマーケティング施策を実行する際には、“理想の顧客像”として「ペルソナ」を作成します。このアーバンリサーチの人気スタッフのInstagramアカウントを見ていると、「アパレル店舗に勤めていて、勤務先のブランドのアイテムを愛用、プライベートや子育ても大切にしながら楽しんでいる」といった具体的なユーザー像が端的に伝わってきます。

アーバンリサーチにとってスタッフコンテンツの活用は、「企業にとっての『ペルソナ』を、さらに解像度を上げ、なおかつ顧客とも共有・可視化しているもの」と言えるのではないでしょうか。

例②資生堂美容部員の人気アカウント

化粧品大手の資生堂でも、美容部員一人ひとりによるInstagramでの情報発信を重要な施策として位置づけています。

たとえばこちらの「まいやん@資生堂」さんのInstagramアカウントは、顔写真とともに年齢・所属(勤務)先を明記し、「奥二重メイク」「つや肌」「垢抜けメイク」など、どんなメイクが得意なのか(好みなのか)を前面に押し出しています。メイクに関して同じような趣味嗜好を持つ生活者が「この人の情報は自分に合いそうだから、フォローして、情報を追いかけてみよう」など、日頃から接点を持つべき理由を端的に理解しやすいと言えます。その結果、Instagramではフォロワー3.2万人を擁するアカウントに成長しています。

企業がスタッフコンテンツを活用するメリット

企業がスタッフコンテンツを活用するメリットについて、さらに詳しく解説します。

生活者から見て、より親近感を持てる

スタッフの日常や仕事の様子を共有することで、生活者は企業・ブランドに対する親近感を感じやすくなります。企業の背後にいる実際の人々の顔や声を知ることで、企業が遠くない存在として認識されるためです。

顔・実名・所属を明示することで、生活者が信頼・安心感を持てる

企業によるスタッフコンテンツ活用は、匿名で行うよりは、スタッフの顔・実名・所属先(勤務店舗など)を明らかにしているケースが多いと言えます。生活者から見ると、企業・店舗の「中の人」が可視化でき、どんな人がその店舗で働いて、普段からどんな情報発信をしているのか分かるので、より信頼感・安心感を持てるようになるでしょう。

「このスタッフさんに接客してほしい」と来店動機が生まれる

SNSの影響力が高まり、特にInstagramは多くの人々の購買行動に大きな影響を与えています。株式会社ホットリンクの調査によれば、Instagram利用者の約46%が、Instagramをきっかけに購入・来店を経験しているとのこと。Instagramは世の中の多くの人にとって、購買・来店の動機となっているのです。

このような背景から、企業がデジタル顧客接点をいかに構築・充実させるかが非常に重要となってきています。生活者は商品・サービスを選ぶ際、SNSのクチコミやスタッフ投稿などを参考にしているため、顧客接点は「購買時」や「購買後」だけでなく、「情報収集」や「購買・来店前」から始まっていると言えます。そのようなカスタマージャーニーの中でスタッフ投稿を充実させることによって、生活者が好感や安心・信頼を持つことができれば、「このスタッフさんに接客してもらいたいから、店頭へ行ってみよう」など、来店動機につながるケースも有り得るでしょう。

ECサイトやオウンドメディアへのコンテンツ活用で、オンラインの顧客接点が充実する

ここ数年のEC化率の上昇に伴い、企業にとってECサイトやオウンドメディアの重要性が増しています。これらのプラットフォームにもスタッフコンテンツを活用することで、顧客接点がよりリアルで信頼性のあるものに磨き上げられるでしょう。

スタッフが実際に商品を使用し、その経験をもとにした「リアルな声」を共有することで、消費者は商品の魅力や使い心地を、より具体的に理解することができます。また、スタッフは企業の一員であると同時に、日常生活の中で商品を使用する一般のユーザーでもあります。そのため、彼らの投稿はユーザー寄りの視点での情報提供が可能です。これにより、消費者は商品・サービスに対する信頼感・安心感を高めることができます。

さらに、スタッフが自らの経験や知識を活かしてコンテンツを制作することで、外部のライターやクリエイターを雇用する必要がなくなります。これは、企業にとってコンテンツ制作のコストや時間の削減、そしてオリジナリティあるコンテンツの提供という大きなメリットをもたらします。

スタッフ一人ひとりのモチベーションアップにも

スタッフ自身が作成したコンテンツがきっかけで、お客様の来店数増加などの手応えを実感できれば、それは彼らの情報発信の質や熱意をさらに高める要因となります。このような直接的なフィードバックは、スタッフの日々の業務へのモチベーション向上に大きく寄与するでしょう。

スタッフコンテンツの活用チャネルとその典型事例

スタッフコンテンツの活用チャネルとその典型事例について、大きくわけて以下の4パターンがあります。

SNS投稿

スタッフが自らの個人SNSアカウントを持ち、企業公式アカウントとはまた別の視点で情報発信を行う事例が増えています。また企業公式アカウント内であっても、スタッフを前面に出して商品・サービスを紹介するケースも見られます。

特にInstagramの人気が高く、写真・動画を利用して商品の詳細を魅力的に紹介することができます。また、TikTokも縦長ショート動画を活用して商品の魅力を伝える手段として注目されています。

ワークマンのスタッフのInstagram

こちらのアカウントでは、ワークマンの商品をスタッフの視点から紹介しています。顔や名前、具体的な勤務先店舗は明らかにしていませんが、実際にワークマンで勤務するスタッフの一員として、取扱商品の最新情報などを発信しています。

JEANASIS mamiさんTikTok

アパレルブランドJEANASISのスタッフ・mamiさんのTikTokでは、同ブランドの商品をショート動画で魅力的に紹介しています。例えば、新着商品のコーディネート例や、着用イメージをわかりやすく伝えている様子が伺えます。

LIVE配信

LIVE配信は、商品・サービス紹介において非常に効果的な手段です。特にInstagramでは、手軽に動画をアップロードして商品の詳細を紹介することができ、商品の詳細や使用感をより具体的に伝えることができます。

InstagramのLIVE配信は、リアルタイム視聴だけでなく、後からアーカイブ視聴も可能です。リアルタイムで見ることができなかった消費者も、後から情報を収集し、購買の参考材料とすることができます。

3COINS原宿Maikoさんインスタライブ

雑貨店・3COINS原宿のMaikoさんは自身の個人アカウント上でInstagramのLIVE配信を定期的に行っています。たとえば「トラベルアイテムが大量入荷中」などテーマを設定し、3COINSで取り扱っているバッグ、コスメなどの魅力を詳細に発信。商品に対する共感や理解が深まると、「店頭で探してみようかな」「実際に手にとってみてから、買うかどうか検討したい」など、来店のきっかけとなるでしょう。

ECサイト埋め込み

たとえばアパレルなどで、スタッフによるコーディネート例(写真やコメント)をECサイト内に埋め込むと、購買の参考材料として非常に効果的です。生活者は、スタッフが実際に着用しているアイテムのコーディネートを参考に、「自分と身長や体格が近い」「服の好みが似ている」など、各自のスタイルに合わせて商品を選ぶことができます。

ルミネECサイト内のスタッフコーデ

ルミネの公式通販サイト「i LUMINE(アイルミネ)」では、スタッフによるコーディネートが多数掲載されています。スタッフが実際に着用しているアイテムのコーディネートを見ることができ、どのアイテムが人気かも一目で分かります。また、各アイテムの詳細ページに直接遷移することができ、購入もスムーズに行うことができます。

スタッフレビューの活用

コスメ業界において、商品レビューや感想は、消費者の購買意欲を高める有効な手段となっています。実際に商品を使用したスタッフ(美容部員)のリアルな評価や感想は、消費者にとっての購入の参考情報として非常に価値があります。企業・ブランドのオウンドメディア内でスタッフのクチコミやレビューを見せるのも有効です。

コーセーの総合美容情報サイト「Maison KOSÉ(メゾンコーセー)」

コーセーの美容情報サイトでは、同社の商品に関するスタッフのレビューや感想が掲載されています。実際の使用感や効果を知ることができ、生活者にとって購買の参考情報として非常に有益です。

スタッフレビュー
[出典]メゾンコーセー

スタッフコンテンツには、単なる「PR」以上の価値がある

スタッフコンテンツは、「商品・サービスを販売する立場の感想」であると同時に、「自身の日常生活の中で、その商品・サービスを愛用する人の感想」となる場合も大いにあるでしょう。背後にある商品愛や、コミットメントまでも伝えることができるので、単なる商品・サービスのPR以上の価値を持っている、と言えるのではないでしょうか。

このようなコンテンツは生活者から見れば、企業が公式に発信する情報と比較してさらに信頼性が高く、親近感を感じやすいはずです。

スタッフコンテンツの活用は、企業が顧客との関係を深化させ、ブランドの信頼性と親和性を向上させる重要な要素だと言えます。

なお、スタッフであるという身分を隠して企業のPRを行う行為はステルスマーケティングに該当しますので、その点には十分留意が必要です。

この記事が、スタッフコンテンツの効果的な活用に向けた一助となれば幸いです。

スタッフ投稿の活用に役立つ!UGC運用ツール「Letro」

昨今のマーケティング施策において、ユーザー生成コンテンツ(UGC、クチコミやレビューなど)の活用は非常に重要です。本記事で述べてきたように、スタッフが手掛けるSNS投稿やレビュー、商品紹介などもまた、生活者にとって購買の参考情報として非常に価値がある情報です。

スタッフ投稿を効果的に活用できるツールとしてアライドアーキテクツのUGC運用ツール「Letro」をご検討ください。

Letroの特徴

1.簡単にUGCの埋め込みができる: Instagramのスタッフ投稿(正方形、リール投稿)をLetroを使用して、ECサイトやLP・広告へ簡単に掲載できます。

2.UGCコンテンツの見せ方を最適化できる: 新規LP、引き上げメール、ECサイトなどの顧客接点ごとに、最適なスタッフコンテンツを最適な見せ方で掲載できます。

3.UGCの効果計測ができる: ページごと、スタッフコンテンツごとの効果を計測し、成果を評価することができます。どのコンテンツの成果が高いかを可視化し、特定のUGCを優先表示したり、表示UGCを入れ替えたりする最適化が可能です。

4.UGCを中心にLP改善ができる: アライドアーキテクツが持つ支援ノウハウをもとに、スタッフコンテンツに合わせたLP要素の改善も並行して実施可能です。

Letroは、スタッフコンテンツの簡単な埋め込みから効果計測、最適化まで、一貫してサポートが可能なため、デジタルマーケティング施策の強化に非常に役立ちます。

詳しくは、Letroの公式ページをご覧ください。
https://service.aainc.co.jp/product/letro/lp/gl/

この記事の著者

景山 真理

景山 真理

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、Webメディア・紙媒体で活動しています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、デジタルトランスフォーメーション。
Website:Mari Kageyama Writing Works

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