世界最大級のデジタルマーケティングイベント「ad:tech tokyo 2012」 1日目キーノートの内容をレポートします!
 
こんにちは、SMM Labの小川です。
第4回を迎えた日本最大級の国際的デジタルマーケティングカンファレンス「ad:tech Tokyo(アドテック東京)」が、10月30~31日に東京国際フォーラムで開催されました。現時点におけるデジタルマーケティングのベストプラクティスを議論し、情報・知識を交換する世界的なイベントということで、そのエッセンスをみなさんと共有すべく、SMMLabが参加したカンファレンスの内容をご紹介します!

まず初回は、1日目午前中に行われた2つのキーノート、Facebook  Mark D’Arcy氏と、ユニリーバ Babs Rangaiah氏の講演内容をレポートします。
 
Creativity in a connected World
Facebook グローバル・クリエイティブ・ソリューション・ディレクター Mark D’Arcy氏
 
facebook
 
まずオープニング・キーノートのスピーカーとしてFacebookグローバル・クリエイティブ・ソリューション・ディレクターのMark D’arcy氏が登場、Facebookという実名制のグローバルプラットフォームが実現させた新しい世界、そしてこれからの企業のマーケティングにとって大切なことについて語りました。
 
JAPAN=FUTURE
 

 
日本の技術やアイディアは世界の中で卓越しています。日本にとって当たり前のことでも、世界の中ではとても先進的なものであったりします。日本とは、まさにFUTURE(未来)なのです。Facebookは、このFacebookというプラットフォームを、日本の皆さまが世界中の10億人のユーザーとつながる場にしてほしいと考えています。
 
Facebook=OLD
 
facebookold
 
ではどのようにFacebookという場で人々とつながればよいのでしょうか?
Facebookの旅路はまだ1%しか終わっておらず、今も急成長しているプラットフォームではありますが、本来はとてもシンプルなものであり、古くて人間的なものなのです。
Facebookを理解するためには、まずは家に帰って家族とよく会話をしましょう。そして友達と語り、遠く離れた母親に電話をしてみましょう。Facebookとは、リアルな行動がまさにネットで行われているということなのです。それはソーシャルメディアだから特有のものではなく、時代を超えて普遍的なものです。新しい点は、Facebookによってそれが年齢や立場や国境などを越えて、世界中で可能になっているということなのです。
どうやって人の人生をより良くしていくのか。そして関係をリッチなものにしていくのか。それは時間とは関係なく普遍の価値であるはずです。1960年にBill Bernback氏が言ったように、どんなに現代化し、テクノロジーが変わっても、人の深い洞察にフォーカスするという点は変わらないのです。
 
bill
 
Facebookという実名制のプラットフォームは、人々がそれまでの「匿名性」ではなく、本来の姿のまま、ネットワークでつながることを実現させました。それにより大きな変革が起こり、ついには月間ユーザー10億人に到達しました。日本の月間ユーザーは1, 500万人ですが、これは日本のビジネスにとってどんな意味があるのでしょうか?そして日本を世界でどのように成長させることができるのでしょうか?
 
ALL Business = Local Business
 

 
世界の人々は例外なくローカルビジネスと関わりがあります。そして、ローカルビジネスにはパーソナリティーがあり、昔ながらの関係性があり、特別な体験をすることができるでしょう。
Facebookは、企業をこのような「リレーションシップ」の意味で刷新しています。人々は、これまで以上に大きなパワーを持ち、同じ土俵の上で発信できるようになっています。そして、ビジネスもまたこのソーシャルウェブの上で展開し始めているのです。
 
3 BIG Shift in commnunication
 
communication
 
「広告」は、「注目を得る」という意味で、100年間変化がありません。しかしながら、リレーションシップ、そしてコミュニケーションの意味においては、3つの大きな変化が起きています。
 
1.DISRUPTION→CONNECTION
人々は今、いつでもどこにいても「アクセス」したいと考えています。これからの広告は人々のつながりやムーブメントにフォーカスすることが重要であり、それこそが競合優位性になります。
 
2.SEARCH→DISCOVERY
現在クラウド上にどんどんデータが生まれています。2003年から50億ギガバイトものデータが増えており、今後もさらにペースを増してデータが増え続ける「ビッグデータの時代」と言われます。そのような情報の洪水の中にあって、忙しい現代人は「効率性」を求めているとFacebookは考えています。そしてその効率性とは、まさに友人の叡智にかかっているのではないでしょうか。
 
3.HEAVY WEIGHT→LIGHT WEIGHT
今までの広告では、複雑で美しいものを作りたがる傾向にありました。しかし、現代の人は忙しくて、広告提供側が期待するほど見てくれない、本当に一瞬しか見てくれない、というのが現実です。
それに対し、Facebookのコミュニケーションでは、「ライトであること」を重視すると良いと考えています。人々がブランドにエンゲージしてもらうために、そしてたくさんの人々に拡張性を持たせるために、「オーディエンスの時間の価値を守る、尊重する」ことを大切にするべきです。
 
人々の会話に入るために
 

 
Facebookは、これからのマーケティングをもっとシンプルで楽しいものにしていきたいと考えています。演台から一方的に多くの聴衆に語りかけるよりも、ディナーパーティーで色々な人と会話をする方が生産的で楽しいはずです。
現在、Facebookのニュースフィードでは、24時間365日、常に自分用の新聞が更新されています。ユーザーは、Facebookアクセスの中で最も多い、40%もの時間をニュースフィードで過ごしており、10億人もの人が様々な会話を繰り広げています。
ではどうしたらこの会話に企業が参加できるのでしょうか?それを考えるには、まずは「なぜあなたはFacebookに参加したいのか?」「なぜあなたはこの対話に参加できるだけの価値があるのか?」を考えることが大切です。企業・ブランドがユーザーの対話に参加する目的を見つけることができないなら、参加することそのものには意味がありません。まずは自らの目的、存在意義、中核に立ち返ることが大切なのです。
 
Creativity on Facebook Principles for Success
 
Facebookとしては、企業がFacebookに参加する上で、以下の点が大切であると考えています。
 
creativity
 
1.Be authentic
言うこととやることが違うと思われてはいけません。ソーシャルの無限のつながりの中で、嘘はすぐに暴露されます。そしてユーザーはその情報が信憑性のあるものかどうかを一瞬で見ぬきます。例えば「環境」に対して特に思いがない会社であれば、無理によく見せようと「環境」に関する投稿をするのはやめましょう。全てはブランドの「ハート」から来るべきです。
 
2.Be useful
ユーザーは、自分にとって価値があることを言ってほしい、そしてユーザーが自分の友人の前でスマートでいられることを教えてほしいと思っています。
 
3.Be Entertaining
面白みの要素はとても大切です。それがなければ誰にも注目してもらえません。共有したくなるモチベーションに働きかけるコンテンツを創りましょう。そして、リアルタイムでコンテンツにエネルギーを投入し、正しいことを何度も何度も繰り返して行うことが大切です。
 
4.Be relevant
関係性を保ちましょう。そしてそれが本当に投資効果を生んでいるのか?をきちんと測りましょう。
 
5.Be Timely
リアルタイムでアクションしましょう。今話していることを今投稿するという姿勢が大切です。
 
6.Listen
Facebookが企業のマーケターに提供できる最も大きなことの一つは「傾聴できる」という点です。Facebookではどうしても「話す」ことに主眼が置かれがちですが、話す・発信することだけではなく、きちんと人々の話を「聞く」ことを大切するべきです。
 
そして最も基本的なこととして、企業がFacebookを使う時に、以下2点は忘れないでいてもらいたいと思います。
 
whycare
 
いったい誰がそれを気にするのか?
いったい誰がそれをシェアするのか?
 
日本がFacebookを活用していくために
 

 
日本には、様々な分野で、数々の際立ったブランドがあります。そして日本のファンはブランドに対して深いエンゲージメントを持っていると考えています。他の国とはエンゲージメントのレベルが違うのです。日本では、「なぜFacebookを使うのか?」の問いに、「自分を表しているからこのブランドが好きだ」「ディスカバリーのために」「クーポンを使いたいから」と回答しています。また、27%の人がFacebookの情報を見て購入した経験があると言います。
さらに、日本は世界で最もモバイルが進んでいる国です。Facebookも、ここ数カ月はサービスを「モバイル」から考えることに注力してきました。これからもユーザーのモバイルエクスペリエンスを上げることを非常に重要だと考えています。そして日本というマーケットに大変期待をしています。
 
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Facebookは、たった8年間で世界中でもっとも大きなリアルのコミュニティーになりました。これからも決して今の環境に満足せず、あくなき改善を続けていきたいと考えています。
そしてこれからのソーシャルでつながった世界では、話すと同時に、聞く耳をもったブランドが活躍していくだろうと思っています。「広告」とは人々の間に割って入るものではありません。繋がりを作るものなのです。
Facebookは、これからもブランドと人をつなぐ橋でありたいと考えています。
 
Unilever Re-Frames Marketing for the Digital Age
ユニリーバ グローバルメディアイノベーション バイスプレジデント Babs Rangaiah氏
 
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次に、ユニリーバのRangaiah(ランガーヤ)氏が登場。ユニリーバが考える「マーケティングの変革」について語りました。
 
TIME TO REFLAME
 
インターネットは、写真の撮り方、情報の入手の仕方、電話のかけ方やビデオの見方に至るまで全ての物事を変革しました。現在全世界で20億人がオンラインにいると言われています。特にモバイルとソーシャルのコネクトが「行動の変化」に与える影響は非常に大きいと感じています。
従来よりユニリーバは世界で広告を展開してきました。そしてその広告において、今までの「30秒の集中したCMの世界」から劇的な変化がコンシューマーの間で起きているのです。
ユニリーバは、今は広告の中心にデジタルを置いており、世界中でイノベーションを起こしたいと思っています。そしてこれからのマーケティングは、単なる「ROI」を追求するものではなく、消費者を最優先し、生活のあらゆるところで消費者に素晴らしいブランドエクスペリエンスを与え、一生のためのブランドを作るものでなければならないと考えています。
 
REFLAMEに関する事例
 
・DOVE AD MAKEOVER
 

 
DOVEは女性の美をお手伝いする企業です。一方で、世の中の広告はネガティブな広告が多かったのが事実です。そこでDOVEでは、ネガティブな広告ではなくポジティブな広告を出せないかと考えました。結果的にこのキャンペーンは2億5000万件以上のメディアインプレッションを獲得。ポジティブなメッセージのほうがより多くの信頼を得ることが分かりました。
 
・Facebookとのパートナーシップによるアフリカへ飲料水を届けるキャンペーン
 

 
Facebookを通じて寄付ができる仕組みを提供しました。ユニリーバ単独ではできないが、小さなアクションを積み重ねれば大きなことができます。毎日のデジタルアクションは、世界を変えることができるのです。
他にも目覚まし用のモバイルアプリケーション公開のエピソードや、ゲームSIMSとのコラボレーション、日本におけるAXEキャンペーン事例などが紹介されました。
 
次回はad:tech tokyo 2012 1日目午後のセッション内容をご紹介します!
 
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